第6話 リンクスの悩み事
~~~~~~~~月日は流れ~~~~~~~~
シュミは、10歳なる年明けにリンクス(父さん)が、珍しく真剣な面持ちで、これからの事を聞いてきた。
「シュミ、これからどうするのか決めないと、生きてはいけなくなる。戦闘術の学校に入学するか、学校が嫌なら村で、農夫をするか?そろそろ考えておく必要があるぞ。」
リンクスは、日頃からシュミが修練をしている姿を、毎日見ているが、剣術や槍術等では無く、 木で作られた人型を、黙々と殴ったり、蹴ったりしているのを見かけて、不安になっているみたいだ。
(時々踊っているみたいだが、あれは何の意味が有るのだろうか?)
型を踊りと、勘違いしてる位だから、この世界では武術を見た事は、無いのだろう。
「父さん。僕はやりたい事があるのです。人とは違う道になるので、戦闘術の学校に行っても、習うべき事がないのです。この世界には無い、戦闘術を試してみたいのです。」
シュミは、真剣な顔で、リンクスに答えた。信じてもらえるかは、分からない。
でも、シュミはどうしても、無手がやりたいと、真剣に思っている。
何故ならカッコイイから!ではなく、経験が有り辛い修練をしていても、楽しいく感じられるからだ。
リンクスは、エールを一気に飲み干し。
「あの木の人型を殴ったり、蹴ったりしてるのがそうなのか?戦闘術として使えるのか??
魔物の種類によっては、石よりも硬い皮膚を、持っている物や、魔法唱えてくる物もいるんだぞ!
武器が有れば、刀身や鋒に微力な魔力を注げば、ある程度の硬さが有っても切れるが、素手ではそうもいかないだろう?」
(動物や魔物ではあるまいし、己の身体1つで戦えるはずがない!
魔物の様に鋭い爪や牙があるわけないのだから。)
リンクスは、魔物の力や怖さは 嫌って程経験がある、何度も死にそうになり、それをギリギリ乗り越えて、今に至るのだ。
「父さんが、言いたい事は何となく分かります。ですが今、僕がやろうとしている事を、もう数年試したいのです。」
シュミは、勿論素手の拳で、通用するとは思っていない。
色々悩んだ結果ナックルや、トンファーの試作品を作ろうと考えていた。
この2種類が、1番効率的に打撃、与えれるからだ。
以前の世界でヌンチャクや三節棍を、何度か試したことがあるが、上手く扱えず、数度頭を割りそうになっり、自らの身体を、攻撃してしまった経験があるからだ。
魔力がある世界では、身体強化やナックル・トンファーに魔力を込めれば、かなりの打撃力になるのだ。
そして魔力を利用して、発勁に近い事が、出来る事に気付いていた。
リンクスは 、シュミの真剣さに少し驚いた。今までこんなに力強く自分の意見を言ったことがなかったからだ。
数年前では、内向的だったのに ここ数年は、言わなくとも身体を動かし、家の手伝いをすすんでやってくれている。
いきなり態度が変わった為 何か悩みを抱えているのでは?っとリンクスは、心配をしていた。
(シュミをここまで夢中にさせる 戦闘術とは、どんなものだろう??そこまで言うなら時間をあげてみようか?だが、ダラダラとさせてはいけない。無駄な時間を過ごしてしまう。)
リンクスは、エールを注ぎながら
「分かった。2年間シュミが言ってる戦闘術をやってみろ、それで成果が無ければ、町の戦闘術学校に行くか、農夫の勉強するか、どっちか選びなさい。」
リンクスは、出来れば友達を作りに、町の戦闘術学校に行って欲しかった。
だが、シュミがここまで言うのなら、少しは好きな様にさせてあげよう。
少しだけ不安が晴れたのだった。