第21話 ばあ様って意外とチョロイ(笑)
翌朝、国王兵が屋敷にやってきた。戦闘術上級の兵士なので、偉そうに歩いている。
シュミは、おばあ様から呼び出された、シュミの戦闘術の成果を見るための試合の説明を受け、シュミは練習場へと道衣を着て向かった。
練習場っといっても、戦闘術の練習場ではなく。魔術用の練習場で行う。攻撃魔法の練習も出来る為、広さ的には十分な大きさがある。
通常、剣術・槍術等の練習場は、成形された石が敷き詰められているが、魔術の練習場は地面が土で出来ている。
「では、今より練習試合を開始します。当家の孫 シュミと練習試合をしてもらいます。
今日は王国兵の方々に、胸を借りるつもりで練習の成果を見せなさい。」
練習場の特等席に座ってるばあ様が、声をかけた。
「はい」
シュミは短く返事をした。
「では、相手を選びなさい。あなたの相性の良い相手で構いません。」
おばあ様の声が響く
「ちょっとお待ちください。ウォックス伯爵……お孫様は、戦闘術専門学生ですか?」
剣術士が、おばあ様に尋ねた。
「いえ。独自で戦闘術を作り、無手の格闘術とかいう戦闘術の成果を見せてもらう為の練習試合です。」
少し面倒くさそうに、兵士達に説明をする おばあ様
兵士たちは顔を見合わせ、笑った。
「いや、失礼しました。無手ですか?でしたら鎧等は、無用でしたか?」
剣術士が少しおどけて言ってきた。
「どうぞ、その装備のままで、3人同時でお相手お願いします。あと、手を抜かずにお願いしますね。」
シュミは、低い声でいい、笑われたのが気に食わず、ボコってしまおうと決めた。
それでも兵士たちは、笑っていた。
「おい、お前ら本気でやらないとマジで死ぬぞ!」
流石にリンクスもキレかけて、口を出す。
リンクスの声は届いたらしく、兵士たちも笑いを止めた。
「リンクス様が言うのであれば、3人でお相手致しますが 本気でとの事なので、どうなるか知りませんぞ!その時はご容赦ください。」
槍術士が、リンクスへ言う。
「あぁ。存分にやってくれ!勝てたら1人1人に 金貨10枚くれてやろう」
リンクスは、兵士にやる気を持たせる為と、それなりに強い感じを出すために兵士たちに言う。
兵士たちは、賞金の金額にシュミの事をそこそこ出来ると判断する。
ばあ様は、ボラタに本当に大丈夫なのか耳打ちしている。
ボラタは、無言でコクリと頷く。
「では、始めなさい!」
おばあ様が張り切って開始の声を発した。
前衛2人は、猛突進してくる。魔術師は攻撃魔術らしい詠唱を始めた。
シュミは、猛突進してくる2人をひらりとかわし、詠唱している黒魔術師の腹に1発入れた。
黒魔術師は、その場で悶絶し吐血していた。恐らく内臓は破裂している。
クルっと、剣術士に向きをかえ、一足飛びで懐に潜り込み、鎧ごと掌底で破壊する。
鉄で出来た鎧が粉々になり、シュミの掌底は、剣術士の身体に直接触れた為、10メールばかり飛んで行った。
槍術士は、槍を高速に近いスピードで突いてくるが、素手で槍の行く先をずらしながら、間合いを詰めるシュミ。
そして、槍を手刀で叩き折り、回し蹴りで槍術士は剣術士の隣りまで飛んで行った。
時間にして、2分も経たずに素手で3人を倒した。
「え?…………」
おばあ様は、言葉を失っている。
「勝ちましたよ。」
ボラタは、おばあ様の顔を見ながら、シュミの勝ちの報告をした。
「えぇっと………………………それまで………………」
王国兵は、3人も重症であり ボラタが駆けつけ治療をしている。
見学していた執事・召使長・召使い・ユウナも口が開いたままフリーズしている。
そして、執事はハッとして悔しがる一方で、召使長は、ガッツポーズしている。
恐らく賭けをしていたのだろう……そんな光景を横目で見てヤレヤレの格好するシュミだった。
「あっ、えっと。素晴らしい成果ですね。私は、誇らしいです」
おばあ様は、シュミに言う。目の前で起きたことに、思考が追い付いていないようだ。
「はい、ありがとうございます。」
シュミは、軽く会釈する。
執事の肩を落としている所に、その肩をポンポンと叩く賭け事を進めた人物がいた。
「ほっほっほ~剛気じゃのう~。しばらく会わぬうちにナイスガイじゃのう~」
ハボックが、シュミにグーって感じに、親指を立てている。
「あは、ハボック爺さん!」
シュミは、笑顔と同時に少し涙目になりつつ駆け寄る。リンクスも駆け寄っていく
その姿をおばあ様が見て、制止しようと椅子から慌てて立ち上がるが、ハボックがおばあ様に目配せし、ハボックに黙礼をし椅子に座り直す。
「では……解散いたします。シュミ!後で部屋に来るように。お客様を丁重に応接室に、ご案内いたしなさい。」
おばあ様は、さっと立ち上がり自室に帰る
シュミは、ハボックを応接室に案内し、今までの苦労を話し約3時間程していた。
「さて、今日はそろそろ帰ろうかの~!シュミもおばあ様に呼ばれてるじゃろ」
っと言い残し応接室を出た。
ハボックが屋敷を出ようと歩いていると、おばあ様が玄関で待っており片膝をつき敬意を表し膝まずく。
「よいよい。カリヤよ、良き孫をもったのう~。シュミや皆の前では、錬金爺さんで通すので、伯もそのように……」
「は!」
おばあ様【カリヤ・ウォックス】は、ハボックの言葉を守る事に同意する。




