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第5話 "七条将軍"

「紫雨さん、やっと着きましたよ。そろそろそのお団子を食べ終えてくださいね。」


私は紫雨さんを引きずりながらやったの思いで連れてくることができた。

ここは地域の象徴であり、力の象徴でもある上賀城、将軍がいる場所だ。

ふと、彼女の方を見ると、まだ最初のお店で買ったお団子を食べている。


モニュモニュ


彼女は可愛らしい食べ方をしながら、とても幸せそうに食べている。その顔は今までで一番と言えるほど笑顔で本当にほっぺたが落ちそうな感じがする。それはそうとこの人は一体幾つのお団子を持っているのだろうか?あれからまあまあ歩いたが、最初と最後で彼女は全く変わらずにお団子を食べ続けている。


(この人はどっからその団子をだしてるのでしょうか?凄い幸せそうな顔してる...)


「ズズズ…ふぅ...では、そろそろいくとするか、待たせてすまないな」


この人はどっからお茶とか団子とか出してるのだろうかと沙羅は思いながら、城に足を踏み入れるのであった。


この街はお城を中心とした作りでその街の周りは海や山に囲まれている。さらに城の周りはかなり深めの用水路となっていて、城の中にでさえ、用水路で囲まれたものとなっている。

もちろんこの国の中心となる場所なので、厳重な警備が敷かれている。

もし、この城に攻め込むものなら、その者たちは袋のネズミのようなものだろう。


「沙羅様、こちらへ」


私たちは門で待っていた武士にこの国の領主の元へ案内されることとなった。


しばらくして


「沙羅...」


「はい!どうされました?」


「この城の主人はどのような人なんだ?」


私は興味本位でこの国の将軍、七条将軍について沙羅に尋ねることにした。

すると、沙羅は私ののそばまで近寄り私の耳元で話しかけてきた。


「...そうですね、私から見てとても優しくて、綺麗な人ですよ。そして私の中で一番の武人ですよ。

あっ、そういえば言ってませんでしたけど、紫雨さんのことは私の護衛と話していますからよろしくお願いしますね。あ、あともう一つ、一番大切なことを言い忘れるところでした...」


すると、ふと甘い匂いがした。


(ん?この匂いはあんこの...どこからしているんだ...もしかしたら客人用の団子を作っているのかもしれない...

どのような種類のものが出るのだろうか?お城だから高級なものなのだろうか?)


...なのでその時は体調悪いとかいって断ってください!聞いてますか?」


「ん、あぁわかった。」


あんこの匂いでつい、沙羅の話を聞きそびれてしまった。しかし、あんこの匂いは素晴らしいものなので私は仕方ないことだったと思うことにした。

(正直よくわからなかったが、まぁ沙羅のことだ大丈夫だろう...)


そうした会話をしながら案内人に私たちはついていった。




しばらくして私たちはこの城の天守閣まで登ってきた。道中で多くの武士を見かけ、この城がどれだけ大きいものなのかがよくわかった。歩いてきたところだけでもざっと500人程とすれ違っていたことからもよくわかる。

これほどのものを管理するものはさぞかし強者なのであろうと紫雨は思った。


「大守様、沙羅様をご案内してきました。」


「...ご苦労であった、下がってよいぞ」


武士は頭を下げ静かに退出していった。

そしてその天守閣の奥にはこの城の主人であろう人物が待ち構えていた。


「凛華様、お久しぶりでございます。」


「久しぶりだのう沙羅、元気にしておったか?」


二人は親しげに挨拶を交わしている。昔からの付き合いでもあったのだろうか?


「はい、おかげ様で元気にやらせてもらっております。こちらは私の護衛の紫雨です。

私のところで起きた魔物の集団襲撃を一人で返り討ちにした頼りになる存在です。」


「ふぅん、そのような小娘がそのような力を持っておるとは信じられんな...」


そういうと、彼女は立ち上がり紫雨のところまで近づいた。

七条凛華、近くで見ると彼女の美しさがよくわかった。長く青みがかった黒髪に、綺麗な水色の瞳、そして顔立ちも整っていて、身長もおよそ175ぐらいはありそうな高さをしている。

和服は黒に白のユリ模様が描かれたものとなっていて、とても彼女に似合っていると思ってしまった。


「小娘.....少し妾と手合わせをしてくれぬか?」


私と彼女が見つめあっているところに突然言われた予想外の言葉だった。


「凛華様!?いきなり大丈夫なんですか?

あと、いくらなんでも紫雨が凛華様のお相手をするのは難しいですよ、それに紫雨は少し体調悪いですし」


何やら沙羅は慌てながら彼女を止めようとしているようだ...なにか都合の悪いことでもあるのだろうか?


「心配するでない沙羅、紫雨のあの目を見てみろ、あれはいくつもの戦場を潜り抜けてきたものの目をしておる。

しかも妾相手でも勝てるという意思も感じられる。

妾は将軍の前に一人の武人であろうぞ、妾も心が滾るというものじゃ、小娘もいいな?」


凛華は強者の笑みを浮かべながら私を見てきた。おそらく彼女は一度も負けたことがない

そう感じるほどのものがあるような気がした。

もしかしたら負けるかもしれないという気持ちが私の興味を引くことになった。


「わかった...私でよければ、喜んで誘いに乗らせてもらおう。しかし一つだけ気になるのだが、もしこれで将軍がこの手合わせで怪我をしても、私達は罪には問われないのであろうか...」


もしかしたら沙羅は私が彼女に怪我をさせることを心配させているのかもしれない...

ならば大丈夫かどうか彼女に聞くべきだと私は思った。


「妾相手に怪我をさせてしまう心配をしておるのか?面白い奴だな、安心するとよいぞ、この手合わせでいかなる怪我もおぬしの責任にはならないと誓うとしよう。沙羅、手合わせの審判を頼む。」


(...これで、沙羅の心配していたものは無くなったな、これでいいだろう沙羅)


二人の強者は笑みを浮かべ己の力を互いにぶつけようとしている。果たして勝負の行方はいかに...


(勘弁してくださいよ二人とも...凛華様も初対面で手合わせしようとする癖を治してほしいとお願いしたのに...

あと紫雨さんも断ってて言ったのになんで受け入れているんですかしかもなんだかドヤ顔ですし...もうどなたか助けてください...)



















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