No.2神とその後
こんにちは。タルトです。
前エピソードからこれを読もうと思ってくださってありがとうございます。
皆様が予想していたものより上をいく作品であればうれしく思います。
では。
皆さんごきげんよう。我は星を統べる神メーティスである。
実は我、叡智をつかさどる神なのである。叡智・・・。その言葉は美しい。実に美しい。我がつかさどるにふさわしいものなのだ。
また、叡智をつかさどるとはどういうことだかわかるだろうか。全ての事象を見通し、全て我の思い通りになる。しかしながら想像したことがあるか?1を聞いて100理解してしまうことがどれだけ退屈であるか。
例えば最近、話題になっている、見た目は子供、頭脳は大人な映画を見に行ったのだ。神々の戯れ・・・まあぶっちゃければ女子会である。最近頑張っている後輩たちへのお礼と息抜きを兼ねてな。
どうじゃ。結構いい先輩じゃろ?こう見えてそこらへんはうまくやっているのじゃよ。
しかしな、この映画の醍醐味は犯人捜しをして、自分で推理を楽しみながら、見ることなのじゃ。数々のヒントを見ながら、あれが怪しい、こいつは味方だの考えることが楽しいらしいのじゃ。
さて、叡智のえの字も知らないような凡愚にも、我が言いたいことがそろそろわかるのではないか?そう、我、開始5分で犯人が分かってしまうのじゃ。
いやいや、開始5分じゃまだ犯人も出てきてないし事件も起きてないだろって?そうなのじゃ。しかし我は叡智をつかさどる神じゃ。開始5分でいつ頃犯行があっていつ頃犯人が出てくるかがわかってしまう。微妙な描き方やシナリオ、尺。諸々含めてな。5分もあれば十分じゃ。何なら5分見た後それからあるおよそ1時間半近いシナリオをイメージし、語れるのじゃ。
何も楽しくなかったんじゃ。いや、厳密にいうと連れてった後輩が見入っている姿や悩んでいる姿を見るのはとても楽しかったのじゃ。
え?後輩の悩んでる顔や見入っている姿も容易に想像できてしまうのではって?それは違うのじゃ。生き物の思考回路はとても複雑であるしじゃな?99%はわかっても残り1%は予想できんことが多いのじゃ。我はなんでもわかってるが故に、ほんの少しでも想像がつかんような事柄に興味ありまくりなのじゃ。そういう意味では、後輩たちへの息抜きも、実は我が一番楽しんでいたのかもしれん。事実、我はこう見えて話したり、コミュニケーションをとったりすることが大好きなのじゃ。
おっと。すまないのじゃ。ついついしゃべりすぎてしまったのじゃ。しかも最近同僚からかしこまった喋りしてるのに熱くなると語尾に~じゃってなるの可愛いですよねともいわれてしまったしの。気を付けなければ。叡智をつかさどる神の威厳とやらがなくなるのでな。
まあ、そんなことより。今回は初めて他の星の人間を自分の世界に引っ張ってきたときのことでも話すとしよう。まあ、実をいうと5時間前とかの話になるのだがな。
そやつが生まれた時から我は目をつけておった。魂の輝きがちがったのだ。こやつはもしかしたらうちの世界を滅ぼしにかかってる異世界軍をせん滅できるのではないのかとさえ思った。
え?叡智をつかさどる神の星が滅ぼされそうになるなんて実はなんでも知ってるわけじゃないんじゃないかって?ちがうのだ。知ってはおったし、見通してもいた。しかしながら、神の力は強すぎてな、下界に手を出すとロクな目に合わないというのが定石なのだ。だから我も手を出せずにいた。
しかしの。手癖の悪いロキという神がおってな、こやつはどんなことでも自分の好奇心が満たされればよいと考えておってな。こやつが自分の能力を一時的に下界の人間に与えたのだ。
ロキは下界に直接は手を出していない、あくまで様子見として一人の人間に憑依して下界を見て回っただけという名目で長いこと一人の人間に憑いておった。するとどんどんとロキに精神も体も汚染されて行ってな。人知を外れた化け物がうまれたのだ。しかも悪いことに我への恨み妬みまで引き継がれておってな、星を滅ぼしてやろうと奮起しておるというわけだ。
とてもまずい状況なのじゃ!!
下界におりることはまずできんし、かといって星が滅ぶと我の神格が揺らぐのじゃ!特に叡智をつかさどっているのに簡単に星滅ぼされてやんのー(笑)なんて思われた日にはもう生きていけないのじゃ!!!
どうにかせんとと思っていた矢先、遠くの星で一際輝く魂を見つけたのじゃ!!!別に我は法すれすれではない。ただ、引っ越しを促しただけじゃ。下界の人間に過度に触れてもおらん。
だがな。こんな世から消してくれと思ったから連れてはきたが、遅すぎるのじゃ。もう相手軍は18年前から我の星を滅ぼそうと躍起になっておった。じゃから、辞書や銀貨、服に靴といった選別を与えたのじゃ。下界への干渉はこれぐらいがギリギリなのじゃ。本当なら即刻聖剣と聖鎧与えて、とんでもない叡智を吹き込んでやるとこじゃが、そうもいかん。
ただ、運命の強制力というやつかの、あやつはこれからなぜがロキの軍と戦わなければいけないよう歯車が回っておる。そういう意味でもあの逸材は奇跡なのじゃ。
これから待ち受けることを思えばほんの少しは同情するが、うまくいったときには、我とのデートを与えてやろう。下界の人間は恋愛に飢えており、デートが至高のものであるからな。
さて、これからあやつの行く先が楽しみなのじゃ。久々に見通せない、予想できない者が来たのじゃモニタリングを楽しむとしよう。
せいぜい頑張るんじゃの、勇者様よ。
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