第74話 まちカドで見つけた 大事な宝物①
目を覚ますと自分の部屋で寝ていた。
まだ頭がぼーっとして意識がハッキリしない。
戦いの後、貧血で倒れたのは覚えている。
ただその後どうなったのか分からない。
自分の部屋で寝ているということは誰かがここまで運んでくれたのだろう。
体が鉛のように重い。
あれだけの戦いの後だから疲れが残るのも仕方がない。
だけど反省の多い戦いでもあった。
もっといろんな事に気づければここまでダメージを負わなかったかもしれない。
未明子だって怪我をせずに済んだかもしれないのに。
私の中で様々な思いが錯綜した。
未明子の気持ち。
鯨多未来の仇。
仲間を失わなかった事。
フォーマルハウトとの決着。
その中に、鯨多未来の仇という思いがあるのに少し驚いた。
鯨多未来の仇を取るのは未明子の思いだったハズなのに、いつの間にか私の中にも同様の思いが生まれていた。
どうしてだろう?
鯨多未来とはそこまで親しく無かった。
話したのだって数える程だし、心の底を語れば未明子を取られたのを疎ましいとさえ思っていたのに。
もしかしたら未明子と体を重ねるうちにそういう気持ちまで私の中に入ってきたのだろうか。
ならばやっぱりフォーマルハウトをあのままにしておくのは駄目だ。
何らかの形でケジメを取らせないと鯨多未来が浮かばれない。
そんな気がした。
私は体を横に倒すと、窓から入ってくる涼しい風を感じた。
もうすぐ夏休みも終わってこれからだんだん涼しくなっていく。
夏休みが終わればまた未明子との学校生活が始まる。
だけど未明子はこれで普通の生活に戻れるんだろうか。
心を壊してしまった彼女がまた笑える日が戻ってくるのだろうか。
もしそれが永遠に戻ってこないのなら何のために戦ったんだろう。
そんな事を考えると切なくなってくる。
部屋の電気をつけるのに照明のリモコンに腕を伸ばそうとすると、そこでようやく私は自分の体を誰かに掴まれている事に気づいた。
誰かの腕が私を抱え込んでいる。
慌ててその腕の持ち主を見ると、そこには未明子が寝ていた。
だらしなく涎を垂らして隙だらけの顔をして眠っている。
耳にガーゼを固定する為のバンドをしているので、すでに病院には行った後なのだろう。
深く眠っている割には体を掴んでいる腕が硬くて引きはがせない。
しばらく頑張ってみるも、うんともすんとも言わないので諦めてもう一度寝ることにした。
「……お疲れ様」
未明子の柔らかいほっぺを撫でながら、せっかくだからと胸の中に顔をうずめた。
ドクン、ドクン、と心臓の音が聞こえる。
その音を聞いている内にまた眠気が襲ってきた。
すばるが言っていた通り心臓の鼓動を聞いていると安心する。
ようやく訪れた安らぎの時間に身を委ねることを許した私は、再び眠りについた。
ブーッ。
スマホの通知音で目を覚ます。
すでに完全に日が落ちたみたいで部屋の中は真っ暗だった。
寝る前と変わらず、私は未明子の胸の中にいた。
未明子は相変わらず泥のように眠っている。
そうとう疲れたのだろう。
今まで張り詰めていた気が緩んだせいかもしれない。
起こさないように少し力の抜けた腕の中からすり抜ぬけると、電気をつけずにスマホの通知を確認する。
通知は夜明からのラインメッセージだった。
内容はこちらの容態の心配とフォーマルハウトについてだった。
アイツは今日だけ拠点に寝泊まりするように命令されたらしい。
明日からは例のすばるが建てた物件に監禁されるようだ。
明日みんなで集まってその場所に行くので、体調が戻れば参加して欲しいとの事だった。
怪我そのものは完治していて貧血で倒れただけ。
その血液もアニマがあればすぐに補充できる。
回復力が高いのはステラ・アルマのいいところだ。
それにしてもやたら回復が早い気がする。
今までの経験からすると、あれだけ血を失ったらもうちょっと寝込んでいてもおかしくないのに。
具合が悪いどころか体に活力があるし気分も良い。
戦いの後でナチュラルハイになっているのだろうか。
「……鷲羽さん。もう大丈夫なの?」
未明子が目を覚ましたようだ。
振り返ると目を擦りながらあくびをしている。
「ごめんね。うるさかった?」
「そんな事ないよ。……ちょっと寝すぎたかな」
「未明子がここまで私を運んでくれたの?」
「うん。病院で耳の診察をしてもらって基地に戻ったら治療が終わってたから、ちゃんと休める場所の方がいいかなって」
「そうだったのね。ありがとう」
よく考えてみれば私の家の場所を知ってるのは未明子だけだし、合鍵を持っているのも未明子だけだ。
誰かが連れてきてくれたとしたら未明子しかいない。
勝手な思い込みだけど。
フォーマルハウトを倒した後の未明子は私から興味を無くしてしまうんじゃないかと思っていた。
最初はアイツを倒す為だけの契約だったわけだし、一番大きな目的を果たしたら「じゃあ今後は戦いの時だけ会おうね」みたいな事を言われるんじゃないかと不安になっていた。
でもいま私を見ている未明子の目は、何と言うか今までとはちょっと違った。
もっと優しい、他の仲間に向けるような目をしているような気がする。
「あのライトって怪我は治っても失った血液は戻らないんだね」
「え? ああ、そうね。命の危機に瀕する場合は多少補ってくれるみたいだけど基本的には怪我を治すだけの道具ね。失った血液はアニマを使って自分で補充するしかないの」
「うん。セレーネさんに教えてもらったよ。だからかな、鷲羽さんが離してくれなくてさ」
「……なんの話?」
「アニマの補給の為に意識を失った鷲羽さんにキスしてたんだけど、そしたら突然体を掴まれちゃってさ。しばらくキスしたまま離してくれなかったよ」
はぁ!? 何してるの鷲羽藍流!?
うらやま……じゃなかった、怪我して疲れてる未明子に何やってるのよ!!
無意識にアニマ要求してるんじゃないわよ恥かしい!!
「うう……ごめんなさい……」
「別にいいよ。あんなに頑張ってくれたんだし。それよりも、もう大丈夫? アニマは足りてる?」
「え……それは……」
それは、もしまだ足りないと言ったらキスしてくれるんだろうか。
頑張ったって言ってくれてるし、我儘言っても許されるんだろうか。
「……まだちょっと、足りないかも……」
「そっか。じゃあ、ちょっと失礼して」
未明子はベッドから立ち上がると私の隣までやってきた。
そして肩を抱き寄せると、とても、とても優しいキスをしてくれた。
「……ん……」
今までしてくれた事のない優しいキスだった。
いつもは乱暴か、もしくはそっけないキスばっかりだったのに。
このキスは、優しくて暖かくて、感情のこもったキスだった。
私の心臓は嘘みたいにドキドキしていた。
心拍数がありえないくらい上がって、顔も真っ赤になっているのが分かる。
全身が熱くなって、未明子の唇以外のことは何も考えられなくなっていた。
それなのに、未明子は私の手を取ると、自分の指を絡めた。
両手、全部の指を、私の指に絡めてくれた。
そしてギュッと握ると、更に力強くキスをしてくれた。
……どれくらい経っただろう。
私の呼吸が激しくなり過ぎたのを気遣ってくれたのか、未明子が唇を離す。
「ふふふ」
私の顔を見た未明子が優しく笑う。
前にしていたような、優しさと、ちょっと切なさを感じさせる笑顔だった。
「鷲羽さん、顔とろけてるよ?」
「ふぇ……?」
相当情けない顔になっている自覚はある。
だっていま私は自分を支えられるほど芯が無い。
私の全部が未明子に溶かされてしまったのだ。
「私、まだミラの事が大好き。それは変わらない。でも鷲羽さんも大事に思えてきた」
「え?」
「これからもよろしくね」
「……う……うん」
私はいま何を言われたんだろう?
え? 大事?
いま未明子に大事って言われたの?
あんなに私に興味が無いって言ってた未明子が?
私を、大事?
脳の処理能力が追い付かなくなって、私はその場にペタンと倒れてしまった。
あ、これ駄目なやつだ。
私はあまりに優しくされると駄目なのだ。
「鷲羽さん?」
「あの……未明子に、まだ言ってないことがあって……」
「何を? って言うか大丈夫? 呼吸激しすぎない?」
「私の特性のこと……」
「特性って、あのサダルメリクちゃんとかフォーマルハウトが持ってるやつ?」
「そう。ステラ・アルマの中には固有武装とは別に特性を持っている個体もあって、私もそれを持っているの」
「鷲羽さんの特性?」
「うん。私、強い力に対して耐性があるの。例えば痛みとかあんまり感じなくて。だからダメージを負ってもそこまで効かないの」
「それ凄いね! だからお腹が抉れても翼を千切られても平気だったんだ」
「でもね、反対に弱い力に弱くて。今みたいに優しく触られたりすると過敏に反応しちゃうの」
「うん?」
「ゆっくり体に触れられたり、優しく撫でられたりすると、その、何と言うか……」
「あ……もしかして性的興奮を感じてしまう?」
「いや、言い方」
だけどその通りだ。
平たく言うと優しく触られると感じやすいのだ。
戦いにおいて便利な反面、日常生活においては非常に気をつけなければいけない特性だ。
「今までえっちする時も乱暴にしかしてなかったから分からなかったよ。……あれ? ツィーさんによく頭を撫でられてるなと思ってたけど、もしかしてあれでも感じてたの!?」
「いや、言い方」
「ちょっとびっくり。そんな面白い特性持ってたなら教えてくれても良かったのに」
「お、教えたら絶対いたずらするでしょ?」
「……それはそうだね。じゃあこうやって頬ずりとかされるのにも弱いの?」
「はわわわわ」
「はわわわわって言う人いるんだ!」
これは私の最大の弱点だ。
絶対に人に漏らしてはいけない秘密だったのに、未明子が優しくしてくれるからつい口からこぼれてしまった。
「じゃあ、今日はお礼もこめて優しくするよ」
「……え? ……え?」
「まだアニマが足りないみたいだし、このまま一戦しちゃおうか?」
「ええ!? だって未明子疲れてるでしょ!?」
「大丈夫だよ。たっぷり寝て回復したし」
「で、でもまだフォーマルハウトのことだって解決してないのに……」
「嫌?」
「……え? ……お……お願いします……」
未明子は私の手を引いてベッドに座ると、優しく私を抱きとめてベッドに寝かせた。
「じゃあ。心を込めて優しくするね」
「ひ、ひぃ。お手柔らかにお願いします……」
フォーマルハウトとの戦いには勝利して生き残ることができた。
だけどまさかその日の夜に未明子に負けて息の根を止められることになるとは思っていなかった。
……次の日。
一晩中仲良ししていた私と未明子は、集合時間に派手に遅刻してアルフィルクに怒鳴られたのだった。
「まあね。分かるわ。基地がある桜ヶ丘と暁家のある新百合ヶ丘の丁度真ん中にある場所だから。立地は最高よね。でもこんな高級住宅街によくこんな大きな家を建てたわね」
すばるが建てた物件は若葉台という場所にあった。
若葉台は多摩ニュータウンとして開発された地域で、アルフィルクの言う通り近年地価が高騰して高級住宅街と呼ばれるほどの発展を見せていた。
そんな高級住宅街である若葉台の駅から歩いて数分ほどの場所に、何ともオシャレな外装の5階建てのマンションが建っていた。
最初はどこかの企業が建てたマンションだと思って通り過ぎてしまう程に立派な建物で、これを高校生の女の子の一存で建てたと言うのはファンタジーが過ぎる話だった。
「わたくしが基地に赴く際の中継地点としても必要でしたからね。少し頑張ってしまいました」
「すばるちゃんが頑張るとマンションが建つんだ。凄いねぇ」
「実際はセレーネさんの協力も得ておりますので暁家だけの力では無いのですが」
「この世界の管理人、こういう事にも協力してくれるのね。頭が上がらないわ」
管理人はステラ・アルマの生活の保障も仕事に含まれている。
別の世界からやってきてその世界でゼロから生きていくのは現実的では無い。
その為の支援をするのだが、その程度は管理人に委ねられている。
住む場所だけを与える管理人もいれば、仕事を斡旋してくれる管理人もいる。
その中でもわざわざ新しい家を建てるのに協力してくれる管理人は初めてだった。
「25部屋ほどありますので、稲見とフェルカドはここに住んで頂くことになります」
「こ……こんな立派なところに住むんですか……ひええ……」
別の世界からこちらの世界に連れてこられた双牛稲見とフェルカドは、昨日の戦いの後、暁家に泊まることになった。
おそらく人生で初めて経験する大豪邸に衝撃を受け腰を抜かしていたそうだ。
ようやく落ち着かない大豪邸を後にしてみれば、これから生活していく場所もまた豪華な建物だった。
「ふ……フェルカド、私ちゃんと掃除できるかな」
「稲見。二人で力を合わせればどんな事でも乗り越えられますよ」
二人は昨日の今日で不健康そうな顔が少し改善していた。
話を聞くとこの数日間ほどんど食事を取っていなかったらしい。
それはこの二人の境遇に関係しているらしいが、それについてはこのあと話してもらえるそうだ。
双牛稲見は16歳。
サラサラのおかっぱ髪に、オドオドした目をして、ずっと自分の体を守るように腕で体を抱えている。
小柄で身長も低く、声にも覇気が無い。
稲見のステラ・アルマであるフェルカドは、黒髪のロングヘアが美しい、白い洋服の良く似合う女性だった。
稲見とは対照的に切れ長の強い目をしていて、常に稲見を守るように立っている。
この二人といつものメンバー。
そして問題のフォーマルハウトがこの場に来ていた。
「ふーん。ここに私を閉じ込めておくのか。眺めは良さそうだな」
「あなたに部屋をあてがうのは非常に不服ですが、かと言ってその辺りをうろつかれても困るので仕方なくですよ。仕方なく」
「へいへい。感謝しておりますよお嬢様」
どんな状況になってもコイツは全然態度が変わらない。
自分が恨みの中心にいる自覚があるのだろうか。
この中の誰がいつ自分を殺しにかかるか分からないのに怖くはないのだろうか。
むしろこんな中で楽しそうにニコニコしているコイツの方が怖い。
「ところで暁さん」
「いかがされましたか? 集合に二時間も遅刻した犬飼さん」
「その節は大変申し訳なく思っております」
「いえ、別に怒ってはおりませんよ。みんなで楽しくお茶しておりましたので」
「絶対怒ってますよね?」
「いえいえ。あんな戦いの後ですものね。それはそれは滾った夜だったでしょうし」
派手に二時間も遅刻した私達はみんなと合流してすぐに平謝りした。
時間に厳しいすばるが怒るのも当然で、理由を問いただされて未明子が正直に全部話してしまったのだ。
私の特性については内緒にしておいてもらえたけど、私達は命を懸けた戦いの後に朝までヤリまくっていた淫乱女子の烙印を押されてしまっていた。
「アルタイルはあんなにお腹がパックリ割れていたのに、まさかその後パックリ足を開いているとは思いませんでしたよ」
「返す言葉もございません」
話しかけたのは未明子なのにやっぱり私にも飛び火した。
せっかくさり気なくすばるの視界に入らないようにしていたのに。
「面白い! すばるちゃんが下ネタで二人をいじめてる」
「すばるくんは怒らせると本当に怖いねぇ」
「いや、あの下ネタは女子として健全じゃないだろ。アルフィルクは爆笑してないで止めろ」
本当に誰か止めて欲しいけど、悪いのは私達なので今日は大人しく嫌味を言われ続けよう。
「それで、ですね。……その、サダルメリクちゃんなんですけど、何で暁さんの後に隠れてるんですか?」
サダルメリクは会ってからずっとすばるの後ろに隠れて誰とも話していなかった。
てっきりまた何かの遊びをしてるのかと思ってた。
「はて? メリクは人見知りなんですよ。犬飼さんと最初に会った時もこんな感じでしたよね?」
「そう言えばそうだった! てっきりキャラを作ってるのかと思ってた」
「でも私とは最初から普通に喋ってたわよね? 樹海でも、すばるの家で二人っきりの時も、別にこんなにオドオドしてなかったわよ?」
「アルタイルはステラ・アルマだから平気みたいですよ。メリクは人間恐怖症なんです」
人間恐怖症!
そう言えばサダルメリクは色んな世界で迫害されてきたと言っていた。
それで知らない人間を怖がってしまうのか。
……ちょっと待って。
と言うことは、この別の世界から来たサダルメリク以上に怯えている小柄な女の子にびびってるの!?
普段あれだけ図太い態度をとってるのに、こんな私でも庇護欲の沸くような小さな女の子が怖いってこと!?
「も、もしかして私のせいですか?」
「お気になさらないで下さい。最初だけですので。しばらくしたら慣れるので大丈夫です」
「あうぅ……ごめんなさい」
「まさか稲見に怯えるステラ・アルマがこの世にいるとは思いませんでした」
「フェルカド!」
フェルカドの言う通りだった。
でもこれから仲間が増える度にサダルメリクのこのビビリモードが見られるのはちょっと楽しいかもしれない。
すばるに案内されてマンションの最上階に上がった。
周囲にも高層階のマンションは建っているが、景色が開けているのでとても眺めがいい。
私的にもこの場所は結構お気に入りだ。
エレベーターを降りて一番手前の部屋に通されると、中は真新しい3LDKの部屋だった。
廊下を通って一番奥に16帖のリビング・ダイニング。
バルコニーからは街が一望できて絶景だ。
「すごーい! ね、ツィー! こんな所に住んでみたいね!」
「五月はどこに行っても同じことを言ってるな」
バルコニーから景色を眺めた五月がはしゃいでいる。
この風景を見たら気持ちは分からないでもない。
「もしお望みでしたらみなさんで住んで頂いても構いませんよ」
「マジ!? 別荘にしていいってこと!?」
「ちょっと待って。それってフォーマルハウトと同じ敷地に住むってことでしょ?」
「お。何だ何だ? 私と同じ建物に住むのは嫌なのか?」
「嫌に決まってるでしょ馬鹿」
「アルフィルク、そこまでにしておきなさい。この二人はここに住むんだよ」
「あ、そうだったわね。ごめんなさい」
アルフィルクが稲見とフェルカドに頭を下げる。
別世界からやって来たこの二人は、例えフォーマルハウトがお隣さんだったとしても現状ここに住むしかない。
とても良い場所だけど隣にあんな奴が住んでいると思ったら良い気分にはならないだろう。
「いえいえ! 私達は全然大丈夫ですよ」
「はい。私達はこの方に救われた立場ですし」
「え?」
「フォーマルハウトに救われた?」
突然のカミングアウトに全員が驚く。
どういう事かとみんなが注目すると、フォーマルハウトは首をかしげて前髪をイジリながら答えた。
「あー……まあ、結果的にそういうことになるか」
 




