第72話 醜い生き物⑨
「鷲羽さんの加速力にアニマを上乗せってできないの?」
フォーマルハウトとの戦いの前。
未明子からそんな質問をされた。
「飛んだり跳ねたりするのにアニマを込められるって事は、パンチやキックも強くできるって事でしょ? それなら加速する力にアニマも乗っけられるのかなと思ってさ」
「できるわね。でも私が普通に加速するのに使用するアニマが数値にすると100くらいよ。10回加速したら1,000も消費するから燃費が悪いのよ。そこにアニマを上乗せしたら更に燃費が悪くなっちゃうわよ?」
「一回ごとはそれでいいかなと思うんだけど、例えばメチャクチャアニマを使って、メチャクチャ速い動きができたら必殺技みたいにならないかなって」
「滅茶苦茶速い動きってどれくらいの?」
「瞬間移動みたいな」
1等星の弱点はアニマのコスパの悪さ。
普通はそれを考慮して如何にアニマを節約するかを考えるのに、未明子の提案はその逆の発想だった。
「うーん。100倍くらいアニマを一気に消費すればできるかもしれないわね」
「じゃあ200倍の2万を一気に使えば完璧だね」
「2万って……。私のアニマの内蔵量が14万って話はしたわよね。一度の攻撃で7分の1も消費しちゃったら後が続かないわよ」
「だからこその必殺技なんだよ。フォーマルハウトと戦う時はまずはその超加速で先制攻撃する」
「相手が油断してる隙に一撃で決めるってことね?」
「ううん。それで指を一本斬り落とす」
「何でよ!? 油断してる内に倒しちゃえばいいじゃない!?」
「そんなの面白くないじゃん。一瞬で倒しちゃったら鷲羽さんの性能が良かったで終わっちゃうでしょ? それよりも相手にやりたい事を全部やらせて、その上で勝てなかったって思わせてやりたいんだ」
「それと指を斬り落とすことにどんな関係があるの?」
「アイツご自慢のコールドライをここぞと言う時の決め手にしてやるんだ」
「コル・ヒドラエね。冷やして乾燥みたいな造語を作らないで。指を斬り落としてリングを奪うってこと?」
「そうそう。自分の武器でやられたらさぞ嫌がるだろうなぁ」
アイツの事だから、私がアイツの武器を奪ったら「姫が私の武器を使ってくれた!」なんて喜びそうな気がするけどそれは黙っておこう。
確かにコル・ヒドラエを切り札にするのは悪くないアイデアだ。
リング1個なら隠しておけるし、あの発射速度と弾速は色んな状況で役に立つ。
「ただし超加速は計画的に使ってね? 強いけど他の戦術を圧迫するのは理解して欲しいの」
「2万だもんね。2等星の平均内蔵アニマを1回で消費すると思うとゾッとするよ」
「そうそう。その感覚があればいいわ。1等星の操縦者はだいたいその辺の価値観が壊れる人が多いから」
「お金持ちには平民の暮らしは分からないみたいなやつかな」
「そ……その例えでいいのかしら……?」
何でも備えておくものだ。
まさかここに至って未明子のアイデア、いや我儘? が逆転の切り札になるなんて。
首を撃ち抜かれたフォーマルハウトは傷を抑えながら立ちすくんでいた。
いくらロボットでも首は急所だ。
そこを撃ち抜かれたらすぐには動けない。
『未明子、大丈夫なの!?』
「……ごめん。大きい声を出さないで……とりあえず戦えはするよ」
しまった。
未明子が耳にダメージを負っているのを忘れて大きな声を出してしまった。
私の声が聞こえているなら鼓膜が破れてはいないみたいで安心した。
「また回復されると厄介だから、いまの内にトドメを刺そう」
未明子はそう言うと、ヨロヨロと立ち上がりフォーマルハウトに向かって走り出した。
平衡感覚を失っているのか真っ直ぐには走れずふらついてしまう。
こちらの接近に気づいていたフォーマルハウトだったが、コル・ヒドラエの攻撃を受けた事に動揺しているのか、それとも傷を治そうと集中していたのか、その場から動かずにこちらを見ているだけだった。
『やって……くれ……たな……!』
コイツのこんなに余裕の無い声は初めて聞いた。
いつも上から目線で人の話は聞かず、何を言っても響かないフォーマルハウトが、いつもとは逆に必死に言葉を伝えようとしている。
『いつ……の……間に……私の……武器を……』
「説明する必要ないだろ。お前はこれで終わりだ」
フォーマルハウトの元まで辿り着くと、左腕に残ったパイルバンカーの杭を胸に当てた。
狙いは核。
体をひねって核を貫かれないようにしているが、空いている右手で掴んで逃げられないように固定する。
「本当はもっと痛めつけてやりたかったけど、死ね」
パイルバンカーの本体に収納されている爆薬が破裂して、その勢いを利用した杭が射出される。
杭はフォーマルハウトの胸に突き刺さり、体を貫通して背中から飛び出た。
……これで終わりだ。
いくらコイツが不死身でも核を破壊されたら絶対に助からない。
じきに体が光の粒子になって霧消していくだろう。
『……ああ……駄目だったな……』
杭に体を貫かれたフォーマルハウトがボソボソと何かを喋っていた。
最後に何を言い残すのか気にはなるが、聞いてやる義理も無い。
『……お…………おしかったな……犬飼未明子ォ!!』
フォーマルハウトが叫んだ。
その叫びと共に体に衝撃が走る。
衝撃の先を見ると、私の腹部に5つの穴が開いていた。
至近距離でコル・ヒドラエを撃ちこまれたのだ。
『ど……どうして……?』
フォーマルハウトは自分の胸に刺さっている杭を左手で握ると、右手で杭を殴り折った。
最後の武器だったパイルバンカーが破壊される。
そして穴の開いている私のお腹に蹴りを入れた。
蹴りの衝撃で吹っ飛ばされ、受け身も取れずに地面に倒れ込んでしまう。
今度はこちらが動揺する番だった。
何でアイツは核を潰されても生きているのだろう?
ステラ・アルマはどんな機体であっても核が壊れたら存在を維持できなくなるハズなのに。
フォーマルハウトは体に刺さっていた杭を引き抜くと、折れた杭をポイと捨てた。
そして首の傷を抑えながらその場にドサリと座り込む。
『犬飼未明子、わざわざ爆薬を使わなければそれで勝ちだったな』
爆薬を使わなければ?
何の話をしているのか分からなかったが、すぐにパイルバンカーの杭を射出する為の爆薬だと気づいた。
爆薬……まさか。
『耳元であんな大きな音がしたら狙いも正確じゃなくなるもんなぁ』
そういう事だ。
耳を痛めていた未明子は、杭を射出する為の火薬の音で怯んでしまい、核への狙いが逸れてしまったのだ。
「……くそ……」
アイツの言う通り火薬に頼らずにそのまま杭を刺しこんでいたら時間はかかっても核を破壊できたかもしれない。
でもそこに気が回る余裕は無かった。
『自分の計算じゃないところで助かると幸せな気分が沸いてくるよ。逆転につぐ逆転。最後は面白かったんじゃないか?』
完全に勝った気でいるフォーマルハウトがヨタヨタと酔っ払いみたいに寄ってきた。
度重なるダメージの蓄積で私はもう動けない。
首と胸にも穴が開いているのにまだ動けるコイツの方がおかしいのだ。
だがそれ故にコイツは油断している。
未明子はその油断したフォーマルハウトに右手の人差し指を向けた。
動けなくてもコル・ヒドラエはまだ撃てる。
ゴガアッ!
……でもその狙いは甘かった。
私の右手は、鈍い音と共に逆側に折れ曲がった。
フォーマルハウトが私の右手を蹴り折ったのだ。
腕の折れ目から機械部分がハミ出し、同時に鈍色の体液が噴出した。
『あああごめん! 思ったより派手に折れちゃったな!』
『……さっき腕を斬り落とすのは嫌だとか言ってなかった?』
『だから蹴ったんだよ。そんなに柔だと思ってなかった。あーあ、姫の細い腕がこんなグロテスクになっちゃった』
人の腕をこんなにしておいてこの言いようだ。
イラつきを通り越して呆れてしまう。
フォーマルハウトは折れ曲がった私の右手の人差し指から、そっとコル・ヒドラエのリングを引き抜いた。
『この指輪は返してもらう。んんー姫の指にハマってた指輪なんて興奮するな。まあとにかくこれで姫の武器は全部なくなっちゃったな! アハハハハハハ』
もう隠している武器も無い。
これで本当の本当に私の武器は全て無くなってしまった。
フォーマルハウトは楽しくて仕方が無いと言った感じでひとしきり笑うと、私が撃ち抜いた首の傷に手をあてた。
手からボンヤリと青い光が出て首の傷を照らす。
すると首に開いていた穴が塞がり、同時に胸に開いた傷も塞がった。
『さて犬飼未明子。武器は無い。翼をもがれて、腹は穴だらけで、右腕は折れた。アニマも尽きかけ。これはもう負けてごめんなさいしてもいいんじゃないか?』
「まだ左手で殴れるし、蹴りもできるけど?」
『いいぞいいぞ。まだ全然嬲り甲斐があるなッ!!』
フォーマルハウトは倒れ込んでいる私に思いっきり蹴りを入れた。
防御もままならず、数十メートル吹き飛ばされて地面を転がる。
吹っ飛ばされて動く事もできずに地面に突っ伏していると、近づいてきたフォーマルハウトに左腕を掴まれる。
フォーマルハウトはそのまま私の体を持ち上げて自分の目の前に吊るした。
『姫をこんなボロボロにしやがって。負けましたと言いなよ』
「まだ負けてない」
『くっそぉ。犬飼未明子を痛ぶってやりたいのにダメージを受けるのは姫なのが気に入らない。姫、変身解きなよ』
『嫌よ』
『ぐぬぬ……』
悔しそうな声を出しているけどパフォーマンスだ。
コイツは何にも感じていない。
ただ私達をオモチャにして遊んでいるだけだ。
『もしかしたら仲間が助けに来るのを期待しているのかもしれないが、アイツらはもうやられてるぞ。なんたって私の鏡像が相手したんだからな』
そんな気はしていた。
夜明達の鏡像を創ったところで足止めにしかならない。
もし本気で私と一対一で戦う気ならあの三人よりも強い相手が必要だ。
それなら自分の鏡像を創って戦わせるのが手っ取り早い。
『これで最後だ。私に恨み言があるならここで全部吐き出すんだ』
「……全部? それは無理だ。お前への恨み言なんて一生かかっても終わらない」
『そうだよな。それくらいの恨みを買ってるもんな。じゃあ一つ提案してやる。犬飼未明子、姫と一緒に私の所有物にならないか?』
「……は?」
……は?
あまりのことに未明子と同じリアクションを取ってしまった。
この期に及んでコイツはまた何を言い出したんだ。
自分の所有物になれ?
『これから私の物として生きていくんだ。そうしたら姫と一緒に可愛がってやるし、毎日君の恨み言を聞いてやる。それこそ君が死ぬまでずっと付き合ってやれる』
「相変わらず頭沸いてるなお前。そんなの私は毎日お前を殺そうとするぞ」
『問題ない。ステラ・アルマとそのステラ・カントルが私に歯向かえないようになる固有武装がある』
『……だから何でそんなご都合武器があるのよ。それどういう状況で使うの?』
『何言ってんだ姫。私達1等星なら場合によっては必須になる能力だろ? 強制的に仲間を増やせるんだぞ?』
……なるほど。
コイツの言いたいことは分かった。
確かに相手の意思に関わらず仲間に引き込めるというのは「場合によっては」必要な能力だ。
だけど言う相手を間違えている。
私の知ってる犬飼未明子はそんな提案には絶対に乗らない。
「面白い武器だなそれ。それお前にも効くの?」
『人の話聞いてないのかよぉ。私が君に使うって言ってんの。私がどうとか言う話じゃないんだよ』
「お前の提案には乗らないよ。ただ、ちょっと考えが変わった」
『何言ってんださっきから?』
この声は未明子が本気でそう思っている時に出る声だ。
何を考えているのか分からないけど、いまのやり取りで未明子の中で何かが変わったらしい。
それよりも私はいかにここから未明子を助け出すかを考えないといけない。
このままだと嬲り殺しか、いま提案された奴隷の未来しか道が無い。
「最初に言っただろ? 私はお前にたくさん苦しんでもらいたいんだ。ミラをあんな目に合わせたお前を、私からミラを奪ったお前を、もう死んでしまいたいと思うくらいに苦しめたいんだよ」
『そう! そういうのが聞きたいんだよ! 君の心の中にどれくらい私の存在があるかって事をたくさん聞かせてくれ! 私を無視できないその心の中を私に見せてくれよ!』
「お前に私の心の中なんて絶対に見えないよ。私に夢中で周りも見えてないお前なんかには絶対にね」
『はぁ?』
ダダダダダダダダダダ
……銃声が響いた。
乾いた銃声が私の耳に届いた。
おそらく耳を痛めた未明子にも。
そして私を吊るしあげて悦に入っていたフォーマルハウトにも。
銃声が鳴ったからには銃弾が発射された。
そしてその銃弾は何かに命中した。
銃弾はすべてフォーマルハウトの脚を貫いていた。
無数の弾丸が脚を削り取り、フォーマルハウトの両脚は穴だらけになっていた。
かろうじて体にくっついているだけで、最早その脚は脚としての機能を失っていた。
『があああああああああッ!!』
フォーマルハウトは脚の支えを失って地面に倒れ込んだ。
吊るされていた私は地面に落とされたが、振り落とされることが分かっていたので今度は未明子が受け身を取ってくれた。
未明子には見えていたのだ、フォーマルハウトを狙う夜明の姿が。
『よ……夜明!? 夜明か!? 何をしてるんだ!?』
「最初に言っただろ? この銃でお前の足を風穴だらけにしてやるって」
『そうじゃない!! 何で君がここに辿り着くんだ!? 私の鏡像はどうしたんだ!?』
「不思議なことを聞くね。どうしたって倒したよ」
『馬鹿な!? 性能は私と全く同じだぞ!? 姫でさえ私に勝てなかったのに君達が勝てるわけないだろ!?』
「知らないよそんなの。お前が思ってるほどお前は強くないんだろ」
夜明は両手の武器で再び射撃を開始した。
フォーマルハウトは急いで目の前にゲートを展開してその射撃を無効化する。
『だけどここに辿り着けたのは君だけみたいだな。他の二人はどうした? 死んだのか?』
「動けないけど二人とも生きてるよ。いまごろお前の残骸で遊んでるかもね」
『そうか。じゃあここで君を倒せばどっちみち私の勝ちだな。射撃しか能が無い君にはこのゲートを抜けないだろう?』
「どうだろうね。何事もやってみるものだよ」
夜明はそこで射撃を中止した。
そして持っていたアサルトライフルとガトリングガンを両方ともその場に捨てたのだった。
『なんだ? まさか降参するのか?』
「この戦いに降参は無いよ。お前が死ぬか、私達が死ぬかだ」
『じゃあ何で武器を捨てたんだ?』
夜明は両手を何もないところで何度か握り込むと、何かを持つような形で固定させた。
「固有武装ってさ、凄いよね。自分だけが強化される雨を創り出したり、敵のコピーを創ったりさ』
『何が言いたい?』
「いやね、そんな凄い固有武装の中でアルフィルクの固有武装は少し地味なんだ。お前は知らないかもしれないが共通武器を収納する為のウエポンラックだけなんてさ」
フォーマルハウトはますます分からないという雰囲気を出した。
そんな固有武装ならばなおさら武器を捨てる理由が無い。
「だから多分私が嘘をついてるんだよ。アルフィルクの固有武装の本質を』
『だから何が言いたいんだ!?』
「じゃあ結論を言うよ。アルフィルクの固有武装はウエポンラックなんかじゃない。アルフィルクの本当の固有武装は、私の想像した武器を創り出す固有武装なんだ」
そう言った夜明の周囲に、突然銃座が現れた。
銃座の周囲にはアルフィルクの体を守るように装甲が張り巡らされている。
そして装甲部分にはこれでもかと言うほどの銃が備え付けられていて、それが全てフォーマルハウトを狙っていた。
その姿はまるで大量の砲身を備えた戦艦のようだった。
「いやー。私は男の子じゃないけど、こういう子供心をそのまま反映したような武器を想像したりするよね。僕が考えた最強の兵器みたいな」
『……はあッ!? だからどうだって言うんだ。結局やることは銃撃だろ!? そんな物ゲートで全部無効化してやるよ』
フォーマルハウトは自分の周囲に無数のゲートを作り出した。
夜明の創り出した銃座に対応できるように、広範囲にゲートを展開する。
「そうこなくっちゃ! じゃあ私の子供心とお前のゲート、どちらが優れているか勝負しよう!」
夜明が手元の引き金を引くと、銃座に備え付けられている大量の銃が一斉に火を噴いた。
それはまさに銃弾の雨と表現するに相応しく、凄まじい数の弾がフォーマルハウトを襲った。
しかしその全ての銃弾がフォーマルハウトの展開したゲートに吸い込まれていき、一発たりとも本体には届いていなかった。
『最後に出てきた奥の手にしては雑だな。こんなの弾が無くなるまで撃ち続けても私には当たらないぞ』
「そうなんだよね。これを創り出すのにアニマをほとんど消費してしまうし、動けない相手にしか使えない。とても実用的な武器とは言えないかもしれないね。でも今のお前には効果覿面だと思うよ」
『どこを見たらそう見えるんだ?』
「お前のゲートは開ける数に限界がある。この銃撃を無効化するには全てのゲートを開かなきゃいけないだろ?」
『良く分かったな! 夜明の言う通りだ。私が開けるゲートの数は最大で10個。だがこれまた君の言った通り、最大で開けばこの銃撃も全部無効化できるぞ!』
「それは良かった。ならやっぱり私達の勝ちのようだね」
『……私……達?』
夜明が援護に来てくれたことで、私達に勝ちの目が出た。
そして夜明が射撃を無効化するゲートを最大限に展開させた事で、私達の勝ちが決まった。
さすが、狭黒夜明。
時間を稼ぐのと気を引くのに最適なのはやはり舌戦。
おかげで私達はここに辿り着く事ができた。
『まさか……!! 姫……!?』
ようやくフォーマルハウトが私達に気づいた。
だけどこっちはとっくに狙いがついている。
このお前がコピーしたファブリチウスで狙いをつけている。
ファブリチウスの砲撃は例え1等星でも撃ち貫く真紅のビーム。
「お前が私の家に来た時に言っただろ? お前は未明子くんが殺す。私達と未明子くんが、お前を確実に殺すから楽しみにしているといい、と。人の話を聞かないからこうなるんだ」
『……くそッ!! くそッ!!』
未明子は一番使い慣れた武器でフォーマルハウトに狙いをつけた。
折れた右腕を支えに、左腕で引き金を引く。
「終わりだ!! フォーマルハウトォッ!!」
ファブリチウスから放たれたビームは
周囲の瓦礫を吹き飛ばしながら直進し
フォーマルハウトの体を飲み込んだ。




