第21話 二つの綺羅星⑤
ハンドグレネードは投擲武器だ。
当然その射程距離はハンドグレネードをどれだけ遠くに投げられるかによる。
出力に特化したステラ・アルマならいざ知らず、普通であれば離れた敵にはとうてい届かない。
いま私と敵が対峙しているこの距離は、まさにその ”とうてい届かない” 距離だった。
この距離でハンドグレネードを投げてくるとは思っていなかっただろう敵は、私がそれを投げた後もその場から離れずにいた。どうせ届かないと思っているのだ。
山なりの軌道を描いて飛んでいくハンドグレネード。
当然ながら、敵のはるか手前に落下しようとしていた。
私は、そのハンドグレネードをファブリチウスで撃った。
出力を抑えたファブリチウスの攻撃を受けたハンドグレネードは推進エネルギーを得て飛距離を延ばす。
本来であれば砲撃を受けた爆弾はその場で爆発する。
しかしあのハンドグレネードは改造品だ。
装甲で守られているから砲撃くらいでは爆発しない。
私はそれを狭黒さんとの戦いで知っていた。
だから同じ改造をしてもらったのだ。
私はさらにファブリチウスを撃つ。
同じように砲撃にさらされたハンドグレネードはどんどん飛距離を延ばす。
もう一撃。
その一撃がハンドグレネードを撃ち抜いた頃には、すでに爆弾は敵のすぐ近くまで届いていた。
ようやくこちらの意図に気づいた敵が距離を取ろうと移動を開始する。
離れれば爆弾の威力は弱まる。
敵もそう思ったから距離を取ったのだろう。
それが普通の爆弾だったなら。
ハンドグレネードを覆っていた装甲が剥がれ、爆発が起こった。
するとあたりはすさまじい勢いで黒い煙に覆われた。
そう、あれはスモークグレネードだ。
爆発で敵を攻撃することを目的とした爆弾ではなく、周囲を黒煙で覆い尽くすための爆弾だ。
あれだけ濃い煙なら、巻き込まれたら何も見えなくなる。
相手からはこちらが見えないし、もちろんこちらからも相手を見る事はできない。
「まあ、私は見えるんだけど」
ファブリチウスを構えて意識を集中する。
その黒煙の中にステラ・アルマの存在を感じた私は、そこに向かってファブリチウスを放った。
私の怒りを表すかのような赤いビームが黒煙に飲み込まれ、爆炎を巻き上げる。
その爆炎が消える前にさらに一発撃ちこんだ。
轟音が響き、再び爆炎が巻き起こる。
二発撃ちこんだ後、ファブリチウスを下ろして、しばらくその煙の中を眺めた。
何かが動く気配はない。
少し黒煙が晴れ出すと、炎のゆらめきと、破壊された街が見える。
その中にぼんやりと影が見えた。
その影は動くことなく立ちつくしていた。
煙が完全に晴れると、それが敵の影だったことが分かった。
砲撃の直撃を受けたのか、腹部が抉れてなくなっている。
右腕についていた円盤も破壊され、黒炭のようになっていた。
いくら反応速度が早くても、あんな何も見えない中で自分めがけて攻撃が飛んでくるとは思いもしなかったのだろう。
私はその破壊寸前の敵に近づいていくと、ファブリチウスを敵の足に向けて一撃放った。
すでに動くことができなかった敵は、その砲撃を受けて手前に激しく倒れこんだ。
なに立ってるんだ。
むかつく。
地面にへばってろ。
うつ伏せに倒れている敵のそばまで来ると、頭に向けてファブリチウスを構える。
撤退するならそれで良し。
このまま最後まで抵抗するなら、容赦なく引き金を引く。
私は非情に徹していた。
こんな姿になった敵を見ても、私の怒りはおさまらなかったからだ。
「犬飼さん」
そう言われて我にかえると、すぐ近くに暁さんが立っていた。
メタルブレードを撃ち込まれて心配していたけど、致命傷ではなかったようだ。
「大丈夫ですか?」
「はい。問題なく倒します」
「そうではなくて、その、お身体の方が……」
おそらく私の顔の右半分は血だらけになっているだろう。
頭も痛いし、全身の骨が軋んでいる気がする。
それに座席は吐瀉物にまみれていて最悪の気分だ。
それでも私は、自分の事よりもミラが怪我をしてしまったことの方が不快で仕方がなかった。
それを思い出しただけでも、もう撃ってしまいそうだ。
「私は大丈夫です。暁さんこそ大丈夫でしたか?」
「はい。メリクの装甲強化のおかげでわたくしへのダメージも大したことはありませんでした」
良かった。
これで暁さんとサダルメリクちゃんまで怪我をしていたらどうしようかと思っていた。
固い装甲に感謝だ。
暁さんの無事を喜んでいると、敵のステラ・アルマの体が光り始めた。
これは変身する時に出る光だ。
どうしていま?
光がおさまると、そこにはロボットの姿はなく、二人の女の子が倒れていた。
一人は私と同じくらいの年齢の子で、ショートヘアがかわいらしい女の子。
もう一人は、少し年上でポニーテールの黒髪の女の子。
そのポニーテールの女の子は右手と両足が焼け焦げていて、左側のお腹が抉れていた。
つまり、この子はステラ・アルマ。
大きなダメージを受けたことによって変身が解けたのだ。
そのステラ・アルマの女の子は、体を這いずらせながらショートヘアの女の子の所まで行くと、残った左手でその子を抱きかかえた。
ショートヘアの子は、意識はあるものの動けないみたいで、されるがままに抱きかかえられていた。
(ステラ・アルマが戦闘で消耗しきってしまった場合、ステラ・カントルの体力が残っていても同じ様にへばってしまうから気をつけるんだよ)
狭黒さんがそう言っていたのを思い出した。
まさにこの状態のことを言っていたのか。
二人はファブリチウスを向ける私の方を恨めしそうに睨んでいた。
私はこれ以上無いくらい最悪の気分だった筈なのに、さらに気分が悪くなった。
ロボットを撃つ覚悟はあったけど、まさかこんな生身の人間に対して銃口を向けることになるとは思っていなかったからだ。
目の前にいる女の子を撃つの?
殺すの?
私は分かりきっていた疑問に押しつぶされそうになった。
ロボットだろうと、生身だろうと、この場で殺そうと、見逃そうと、負けた側の運命は決まっている。
そういう戦いだって説明されただろう?
直前まで撃ち殺す覚悟があったのに、どうしてそれが生身になったからって躊躇するんだ。
「未明子ちゃん!」
「未明子くん!」
九曜さんと狭黒さんがやってきた。
二人とも特にダメージを負った様子はない。
良かった。
でも二人がやってきたからと言って状況は変わらない。
敵の二人の女の子は変わらず涙を流しながら私を睨んでいるし、私の気分は最悪で手が震えている。
「アタシが代わろうか?」
九曜さんがそう言ってくれた。
一瞬、私の心が軽くなったが、それではダメだ。
これから同じことが起こった時に、同じように逃げてしまう。
心の底から代わってほしい気持ちはあるけど、これは私がやらなきゃダメだ。
「いえ。私がやります」
人を殺す。
しかも大好きな女の子を殺す。
ああ。何でこんな戦いが起こってしまったんだろう。
私は誰を恨めばいいんだろう。
それでも私は覚悟を決めた。
私はミラを守るんだ。
ミラと一緒に暮らせるこの世界を守るんだ。
そう心に言い聞かせて
ファブリチウスの引き金を、引いた。
私はオーパ秘密基地の展望スペースに設置されているソファに寝かされていた。
顔についた血を拭いて、出血した傷口を簡易的に治療してもらった。
今は水で冷やしたタオルをかけてもらったおかげで少しずつ具合も良くなってきている。
でも血が出たことよりも、吐いたことよりも、怒りがおさまらない事の方が厄介だった。
ミラを傷つけられたことも勿論だけど、私が殺した二人の最後の表情にどうしても納得ができなかったのだ。
負けたんだから悔しいのは分かる。
痛い思いをしたんだから怒る気持ちも分かる。
これからどうあっても死ぬことになるんだから悲しい気持ちも分かる。
何もかも受けとめきれなくて怖いのも分かる。
だけど憎らしいのは違うだろ。
だって、今回はたまたま私が勝っただけで、私があっち側にいたかもしれないんだ。
ミラに抱きかかえられて、敵の銃口に晒されていたかもしれないんだ。
私は何もズルをしていない。
正々堂々勝負して勝っただけだ。
あの二人だって倒すつもりで撃ってきたんでしょ?
勝つために、自分の世界を守るために、あんな高いところから私達を落としたんでしょ?
こっちだって同じだよ。
そういう戦いだったじゃん。
別に負けて消えるしかない相手に、よく戦ったねって握手してほしいなんて言わないよ。
せめて「あんたがいなければ」みたいに、消えるのを相手のせいにしないでよ。
そっちの方がズルいじゃん。
勝ったところでこの気持ちだ。
結局この戦いに後味のいいものなんて無い。
「未明子!」
変身を解除したミラが一目散に駆け寄ってきてくれた。
長イスに寝転んでいる私の横に座りこんで、だらしなく垂れている手を握ってくれる。
優しい温かさを感じた。
「ごめんね。私がもうちょっと強かったら、こんな目に合わせなくて済んだのに……」
こちらの具合が悪いと分かっていて、ちゃんと小声で喋ってくれる優しさが沁みる。
私はその優しい天使がケガをしていないか確認した。
顔にほとんど怪我はない。
服も以前ほどボロボロじゃない。
でも右腕にいくつか傷ができていて真っ赤に腫れてしまっている。
これは私が防御をする時にファブリチウスを盾にする癖があるからだ。
だから持ち手の右側に多く怪我をしてしまう。
仕方ないとはいえ、ハンドグレネードを間近で爆破させた時にできた傷に違いない。
「ミラこそ右腕に怪我してる。ごめんね。私のせいだ」
「こんなのツバつけておけば治るよ!」
ミラの強がりが面白くて、私は思わず笑ってしまった。
笑った事で嘘みたいに気分が軽くなった。
さすが私の彼女。
じゃあ私もミラにツバつけて治してもらいたいな。
あ、何かだんだんいつもの私に戻ってきた気がするぞ。
「体、痛いところない?」
「全身ギシギシいってるけど大丈夫。10キロマラソンした時よりはマシ」
「あの時の未明子、ゾンビみたいだったもんね」
二人して笑い合った。
良かった。
これがもう一度できたなら、戦かった価値があった。
「犬飼さん、お疲れ様です」
暁さんがサダルメリクちゃんを連れてやってきた。
パッと見た感じ、暁さんもケガはしていないみたいだ。
「あまりお力になれずに申し訳ありませんでした」
「いえ! 暁さんがいなかったら死んでました。こちらこそ助けて頂いてありがとうございます。サダルメリクちゃん、怪我は大丈夫でしたか?」
背中にメタルブレードをしこたま撃ちこまれていたから、傷を負っていないか心配だ。
固い装甲で守られていたとは言え敵の固有武装をまともに食らったのだ。
「ええ。メリクでしたら、ほらこの通り」
暁さんはサダルメリクちゃんの脇に手を入れて持ち上げると、くるっと半回転させてこちらに背中を向けさせた。
「えっ、すばる?」
自分が何をされたのか理解できていないサダルメリクちゃんの背中は、怪我こそないものの服はビリビリに破けていて、背中が大きく露出していた。
破れた下着からのぞく白い柔らかそうな肌が大理石のように輝いて見える。
普段はかわいらしいサダルメリクちゃんだけど、流石にこれはえっちと言わざるを得ない。
「嘘、やだ! すばる、やだ!」
「まぁ、こんなに顔が真っ赤になるんですね。かわいいですよ」
「未明子さん見ないで! 見ないで!」
良かった。
このやりとりが見れたなら、戦かった価値があった。
「すばるちゃん、メリクちゃんがそのまま暴れたら全部脱げちゃうから離してあげなって」
「そうだぞ。そこの変態ワンコが喜ぶだけだぞ」
九曜さんと一言余計なツィーさんもやってきた。
「二人ともお疲れ様です。3対1で勝っちゃうなんて凄いですね」
「だから言っただろう。もし変態ワンコが活躍できなくても私がいれば結果は変わらんと。あの2等星も私が倒してやっても良かったんだぞ」
「ツィーなりに未明子ちゃん頑張ったって言ってるみたい」
「そうは言っとらん」
たとえ格下の3等星だったとしても、3人を相手にするのはそうとう実力差がないと厳しいだろう。
それを傷一つ作らずに戻ってきているのが、この二人の強さを証明している。
自分のことに手一杯だったから仕方がないけど、戦っているところをもっと見たかった。
狭黒さんとアルフィルクは……何やらセレーネさんと話している。
二人とも上機嫌だし、表情の見えないセレーネさんもどことなく嬉しそうだ。
戦いの管理人だから正直私達の勝ち負けには興味がないのかもと思っていたけど、応援はしてくれているらしい。
二人がこっちを見たので、もう大丈夫と手を振ってみた。
いつもはツカツカと美しくアルフィルクが、タタッと駆け寄ってくる。
「凄いわ未明子! 2等星を倒しちゃうし、約束通りにちゃんとミラを守ったわね」
「守れてないよ。右腕を怪我させちゃった」
「何言ってるのよ! 無傷で勝つなんて無理に決まってるでしょ? 私達はこんなのすぐに治っちゃうから気にしないの。それよりも、自分がそれだけ怪我したのに最後まで戦ったのは偉いわ。うん、賞賛に値する」
いきなりメチャクチャ褒め出した。
アルフィルクにここまで言われると流石に気恥ずかしい。
「すごい褒めるじゃん」
「当たり前でしょ。頑張った人は褒められなきゃ。本当、未明子がミラのパートナーで良かった」
そこまで言われると泣きそうになってしまう。
アルフィルク、褒め上手のいいお母さんになりそうだよな。
「未明子くん喜びたまえ! 君の善戦のおかげで今回の戦いは大量のポイントを獲得できたよ」
狭黒さんがタブレットを持ってやってきた。
あのタブレットはこの前武器を購入する時にセレーネさんから渡されたものだ。
「平均すると一戦10000ポイントくらいなんだが、今回は28000ポイントも獲得できたみたいだ」
「戦い方によって貰えるポイントが変わるんですか?」
「明確な査定は分からないが、いくつか法則は見つけたよ。今回は初戦闘のメンバーが撤退していないのと、その上勝利しているのが大きいみたいだね」
本当にこの戦いはゲームみたいだ。
その条件で多くポイントが貰えるなら、普通は初戦で勝つのは難しいってことなのかな。
「他には誰も撤退していないとか、ツィーくんが3対1で勝利したのも稼げた要因みたいだね」
「稼ぎ頭と呼んでくれ。だれか私にパン買ってきてくれてもいいんだぞ」
ツィーさんの戯言は無視してタブレットを見せてもらう。
前回の買い物で残った分と、今回獲得した分を合わせて31000ポイント所持していることになっていた。これだけあれば、一度くらいミラの強化をお願いしても許されるかもしれない。
「じゃあこのポイントは全部ミラくんに注ぎ込むとして、どう強化していくか考えようか」
「え!? 全部ですか!?」
「キリ良く30000ポイントに達しているからね、残しておいても仕方がないし」
「いや、みんなだって頑張ったんだから平等に振り分けた方がよくないですか?」
「今回のMVPは君とミラくんだからねぇ。あと戦略的に見ても未強化の機体を強化した方が全体の戦力アップに繋がるしね」
「私は嬉しいですけど、みなさんはいいんですか?」
狭黒さんが良いと言っても、他の人にだってこうしたいという思いがある筈だ。
私はみんなの顔を見回した。
「わたくしは構いませんよ。夜明さんが言い出さなければ、わたくしが口を挟むところでした。メリクも構いませんよね?」
「うん。ミラに使って欲しい」
「アタシは絶対そうするつもりだったからオッケーかな」
「私はパン買ってくれるならそれでいいぞ」
みんな笑顔で同意してくれる。
私はみんなの優しさでまた泣きそうになった。
「ありがとうございます」
「みんな、ありがとう」
ミラと二人でお礼を言った。
なんていい仲間なんだろう。
あとツィーさんはどんだけ腹ペコなんだ。
「とは言え未明子くんもフラフラだろうから、今日は解散としようか。強化の方向性に関してはゆっくり考えるといい。ミラくん、未明子くんを家まで送ってもらえるかい?」
「はい。私が責任を持って送ります」
「ええ!? そんな悪いよ」
ミラだって怪我をしているし疲れている筈だ。
私なんかに構ってないで休んで欲しい。
「あなた、こういう時は甘えときなさいよ!」
アルフィルクが私の腿をスパーンと叩く。
何か今日キャラ違くない?
いつもそんなだっけ?
「そうですよ。甘える時はしっかり甘えて、次は自分が甘えさせてあげれば良いのです」
そういうのを暁さんが言うと説得力ある。
サダルメリクちゃんもうんうんと首を縦に振っている。
みんながそう言ってくれるなら、今日はミラに甘えさせてもらうおう。
正直まだ足元がおぼつかないし、一緒に帰ってくれる人がいるのはありがたい。
それがミラともなればこれはもうご褒美だ。
「じゃあ、お願いしていい?」
「まかせて! 私が未明子を守るから!」
ミラが目をランランと輝かせながら応える。
こういう時にドヤ顔になるのが可愛いんだよな。
「ざくろっち、今週の定例会はどうする?」
「今日集まったばかりだからね。緊急の要件がない限りは無しでいいんじゃないかな」
「りょーかい! じゃあ今週は予定入れちゃうわ」
あ、九曜さんって狭黒さんのことそんな風に呼ぶんだ。
狭黒だからざくろっちか。
あの二人がそういう話をしているのは珍しい。
「そういえば、戦い…コンチェルターレって、いつ発生するか分からないんですよね?」
「コンチェルターレ浸透しないねぇ。もう好きに呼んでくれたまえ。いつ発生するかは完全にランダムだね。月に何度も起こる事もあれば、2、3ヶ月起こらない時もある。セレーネさんから何も言われていないから明日すぐにって事はないだろうけど、しばらくは平和が続くように願いたいね」
定期的に起こるのも嫌だけど、いつ起こるか全く分からないのも辛い。
こればっかりは日頃の行いが良いことを祈るしかないな。
「じゃあ、ここは私達が片付けておくから、君達は先に帰りたまえ」
狭黒さんは、そう言いながら手を裏返しにしたピースをしてウインクをした。
普段は見せない茶目っ気が出て、少し驚いてしまった。
こういう事もする人なんだな。
まだまだ知らない顔がたくさんある。
「ありがとうございます。では、お先に失礼させていただきます」
私はみんなに深々と礼をして、ミラに支えてもらい何とか立ち上がった。
やっぱり歩こうとするとフラフラしてしまう。
ミラが送ってくれる事にならなかったらやばかったかもしれない。
家に帰るにはあの地獄の坂を登らないといけないのか。
ミラに支えてもらっているとは言え、こんな状態で登るのは骨だな。
ってか、こんなボロボロになってるの家族になんて説明しよう……。
私は、あのお話大好き家族を言いくるめる面倒を思いながらため息を吐いた。
「で、ざくろっち。解散寸前になんだったん?」
「戦闘中、通信ができない時の ”その場に待機” のハンドサイン。何かあの二人に聞かれたくない話でもあったのですか?」
「なんだ夜明、あの二人を仲間外れにするいじめか?」
「い、いじめは駄目だよ」
「いやいや真面目な話だよ。以前ミラくんから相談されていたことがあってね、みんなにも今のうちに伝えておこうと思ったんだ」
「フォーマルハウトについて」
次のエピソードについて、すでに①〜⑤まで書き上げているのですが、
内容に関する微調整の為、次の更新は一週間後の7月10日(月)とさせて頂きます。
内容が内容なだけに、どこまでの表現が許されるのか探り探りとなっていて非常に時間がかかっておりますが、エピソード的に大事な部分となりますので何とか納得できる形に仕上げたいと思っております。
今週の水曜日、7月5日については用語やキャラクターの紹介文などを投稿できればと思っております。
引き続きよろしくお願いいたします。
 




