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第111話 そんなこと どうでもよかった


「……え?」


 ミラは持っていた手帳をその場に落とした。

 それは最早正解を表す行動だった。

 

 それきりしばらく会話が無くなり、未明子とミラはお互いを見つめ合っていた。


 未明子は至って普通だった。

 表情も ”昨日の夜は何を食べたの?” と聞くのと変わらないくらいの感じだった。


 だがミラはそうはいかなかった。

 推理モノで探偵に犯行を暴かれた犯人のように動揺し、指も唇も震えていた。


 実際それはミラにとって暴かれてはいけない秘密だった。

 未明子にだけは知られないように、ひた隠しにしていた秘密だった。


 一瞬、ミラの思考は何とか誤魔化せないだろうかという方向に傾きかけた。


 しかしわざわざこのタイミングで聞いてくるのなら何かしらの確証があるだろうし、何より彼女を裏切ることになる。

 せっかく自分の為に色々と動いてくれたのに、それに対して不誠実な対応をするのは最低の行為だ。


 そう思い至ったミラの体はピタリと震えが止まった。


 そして心を落ち着け、ゆっくりと話し始める。


「……知ってたんだね」

「前からそうじゃないかなって思ってたんだ」

「私、未明子に対して他の女の子を感じさせるような事してた?」

「ううん、他の子を感じるような事は無かったよ。ただ、私以外の誰かとは親密だったんだろうなと思ってた」

「その言い方だともう全部分かってるんだよね?」


 ミラは落としたスケジュール帳を拾って机の上に置いた。

 そして意味もなくページをパラパラとめくる。


「ミラはここに来る前の世界で別の私と付き合ってたんだよね」


 そう言われたミラは、目をつぶりスケジュール帳を閉じた。


「江の島に行った時さ、気になる事があったんだ。お昼を待ってる時に魚のクイズを出してくれたじゃん? ミラは私が江の島に行くって言い出したから問題を調べたって言ってたけど、私がそれを言い出したの前日だよね? もっと前からそんな話が出てたみたいな言い方に聞こえたんだ」

「そんな事もあったね」

「だから私じゃなくて他の誰かと江の島に行った事があるのかなと思ってた」

「なるほど」

「それと暁さんがね、私を犬飼さんって呼ぶのも気になってたんだ」

「へ? それがどうしたの?」

「だって暁さんが敬称をつけるのって人間なら年上、ステラ・アルマなら先輩だけじゃん?」

「そうだっけ?」

「狭黒さん、九曜さん、ソラさんは年上。ツィーさんはイーハトーブの先輩。鷲羽さんとサダルメリクちゃんと双牛ちゃんとムリちゃんは年下扱いで呼び捨て。双牛ちゃんは実際年下だけど。年上だけどチームの後輩になるフェルカドさんは呼び捨てしてるんだよね」

「アルフィルクと私は?」

「アルフィルクは多分さんづけやめてって言ったんだと思う。ミラはイーハトーブのメンバーとしては先輩なんでしょ?」

「私はアルフィルクと一緒に入ったから初期メンバーになると思う。そう言う意味だと確かにすばるさんの先輩だね」

「じゃあ年下でイーハトーブのメンバーとしても後輩になる私に、何でさんづけするのかずっと気になってたんだ」


 未明子は部屋の隅に置いてあるラックまで歩いていくと、引き出しから一冊の本を取り出した。

 それは絵本のような可愛らしい装丁の日記帳だった。


「ごめんね。ミラがいない間に勝手に読んじゃった」

「酷いよ。勝手に読むなんて」

 

 そう口に出しつつもミラは本気で嫌がっている訳では無さそうだった。

 と言うよりも、その表情はすでに観念しているように見えた。


「アルフィルクにこの部屋のスペアキーをもらってさ、しんどい時に上がらせてもらってたんだ。ここが一番ミラの存在を感じられる場所だったから」

「そうだったんだ」

「最初は部屋に入れるだけで良かった。だけど段々と欲が出てきて、もっとミラを感じられる物は無いかって探し出しちゃったんだ」

「それで日記帳?」

「今は片付けられてるけど、この日記帳は2階の寝室で見つけたんだ。ベッド横のチェストに置いてあった」

「……そうだね。確か最後は寝る前に見返してた気がする」

「悪いなと思ったけど、どうしても読みたくて。そしたらこの日記に ”未明子との日々” ってタイトルがつけられてて、私と出会ってからの三ヵ月間が綴られてた」

「内容は恥ずかしいから言わないでね」

「ふふ。でもだいたい私に話してくれてた事じゃん。この日記を読みながらミラとの日々を思い出してたんだ。でもひと通り読み終わって驚いたよ。だってこの日記、私と同じクラスになった日から書かれてるのに、よく見たら03って書いてあるんだもん」


 未明子が日記帳を開いて表紙の裏側を見せる。

 そこにはタイトルと、そのタイトルの横に小さく03という数字が書かれていた。


「どうして01じゃなくて03だったのか不思議だった。でもすぐにこれが3冊目なんだって気づいた。じゃあ1冊目と2冊目には何が書かれてるんだろうと思って探したんだ。それでこの引き出しの中から残りの2冊を見つけた」

「あーあ。もっと分かりにくい所にしまっておけば良かったよ」

「でもそのおかげで私は全部知れた。01と02はこの世界に来る前の世界の事が書かれていた。タイトルはやっぱり ”未明子との日々” で前の世界の私との事が書かれていた」

「そっちは読まれたくなかったなぁ……」

「本当に自分に腹が立ったよ。まさか前の世界で私がミラの事を振ってるなんて思いもよらなかった」

  

 これまで一切感情を見せなかった未明子だったが、ここに来て怒りを露わにした。


「ミラに告白して付き合う事になって、親密になれたのに、戦いの直前で怖くなって別れるなんてありえないよ。本当に同じ犬飼未明子(わたし)なの?」


 その怒りは別の世界の自分に向けられていた。


 未明子にとってミラと世界は同じ重さ。

 ミラがいるからこそ世界は守るに相応しい。  

 そのミラを振って戦いから逃げるなんて、この世界の未明子にとっては屈辱でしかなかった。


「正直フォーマルハウトと同じくらい憎んでるよ。ミラが教えてくれるなら、今からその世界に行って殴り倒してやりたい」

「そ、それはやめて……」

「これを読んで私は別の世界の自分を利用する事を思いついたんだ。ミラを捨てるような奴は私がいいように使ってやろうって」

「その話を聞いた時ショックだった。お願いだからもうやらないでね」

「……ごめん。ミラにそんなこと言っても仕方ないのにね。でも私はこの日記で謎がたくさん解けたんだ」


 ミラと出会ってからミラがいなくなるまで。

 未明子の中でいくつか疑問に感じている事があった。

 それらはミラの日記の記述で解消されたのだった。


 最初に基地に案内された時、どうしてアルフィルクがあそこまで突っかかって来たのか。


 それはミラとアルフィルクが前の世界からの知り合いで、一緒に今の世界にやって来たからだ。

 アルフィルクは前の世界で未明子がミラを振ったことを知っていた。

 だからこちらの世界の未明子を見てステラ・カントルとしてミラを支える覚悟はあるのかと聞いたのだ。


 何故すばるが未明子に敬称を付けるのか。


 その理由はミラとアルフィルクから前の世界での話を聞いていたからだ。

 戦いの前に逃げ出したとはいえ、ミラのステラ・カントルとして契約していたのと同一人物であれば、すばる的には先輩にあたる。

 つまり初めて未明子が基地にやって来た時、みんな未明子の名前だけは知っていたのだ。


 どうしてミラが未明子を中学生の時から知っていたのか。


 それは前の世界で中学生時代の未明子と付き合っていたからだ。

 未明子に振られた後、ミラはこちらの世界にやって来た。

 そして同じ高校に入学したのだ。



「前の世界でも一緒に江の島に行ったんだね」

「うん。あの時は冬だった。寒かったから手を繋いで橋を渡って……お魚クイズはやっぱり不正解だったよ」

「海を見ながら考え事をしていたのは前の世界の私を思い出してたの?」

「……うん。どうしてあの時はうまくいかなかったんだろうなーって。ごめんね、別の人の事を考えてて」

「って事はシーキャンドルに行きたがらなかったのは前の私とそこで何かあったから?」

「日が暮れたからイルミネーションを見にシーキャンドルに登ったの。そこであっちの未明子はネックレスをくれたんだ。初めてのプレゼントだから嬉しかった。ずっと一緒にいられると思った。だからもうすぐ戦いが起こる事を伝えたの。そしたらそこまでは付き合えないって振られちゃった」

「……」


 未明子は心底嫌そうな顔をしていた。

 文句を言いたい気分だが、その相手が自分なのでタチが悪い。 


「龍恋の鐘のところで未明子は腕時計をくれたからさ。ああ、あの時とは違うんだなって」

「……実は直前までネックレスをプレゼントしようと思ってたんだ。腕時計にして本当に良かった」

「それでも喜んでたと思うよ。未明子から貰える物なんだもん」

「もしかして、あそこから帰る時に言おうとしてた ”聞いて欲しいこと” ってそれに関してだった?」

「そう。いまの未明子なら打ち明けてもいいかなって思って」

「私もバカだった!! 勝手に核の事だと思い込んでたッ!!」


 自分で自分の頬を張り倒した未明子は、床に転がって頭を抱えた。


「ごめん! ごめん! せっかく勇気を出して話してくれようとしてたのに!」

「気にしないで。核の話だって嬉しかったから」

「基本的に私はバカなんだ……ミラの気持ちを全然分かってない……」

「そんなこと言わないで。いつだって私のことを考えてくれてるって思ってるよ」


 ミラが床に伏せる未明子の頭を優しく撫でる。

 

「あー情けない」

「そんなに自分の行動に完璧を求めて落ち込まないで?」

「うん……でもこれで最後の疑問も解消されたよ。私が告白した日に言ってくれた ”あなたが好き” と、消える寸前に言ってくれた ”あなたが好き” のあなたはこの世界の私っていう意味だったんだね」

「うん。どの世界でもない、この世界の未明子が好きって意味で言ったんだ」

「そっか。だから何か特別に聞こえたんだ」


 普段名前で呼ぶミラが ”あなた” と呼んだ時、未明子の心は暖かくなった。

 それは本能でそれが特別な意味だと分かっていたからだ。

 未明子はその時の事を思い出して、再び胸が暖かくなるのを感じた。


「ねえ未明子」

「うん?」

「嫌な気持ちにさせちゃった?」

「何で?」

「だって私、前の世界でも未明子が好きで、でも振られちゃって。それが悲しくてこっちの世界に来たんだよ? こっちの世界に来てもやっぱり未明子が好きで、忘れられなくて、言い方悪いけどストーカーみたいじゃん」

「……それの何が悪いの?」

「え? だって気持ち悪くない?」

「気持ち悪くないよ。そんなの嬉しいに決まってるじゃん。だってミラは星の数ほどいる人の中から、それでもやっぱり私を選んでくれたんでしょ?」

「それはそうだけど……」

「嫌な気持ちになったとしたら前の世界の私にだよ。ミラを振るとか気が触れてるとしか思えない」

 

 何で向こうの世界の自分はミラを捨てたのか。

 例え中学生だったとしても好きな女の子にお願いされたなら命くらい惜しむなよ。

 逃げたっていつか世界が消滅するかもしれないって分からないものなのか。


 未明子はどうしても向こうの世界の自分が理解できなかった。


「振られちゃったのは悲しかったけど、普段は本当に優しかったんだよ? アルフィルクとも仲が良かったし」

「……あ」


 それを聞いて一つだけ思いあたる事があった。

 怒りと憎しみに支配されていた脳が急速に冷静になっていく。


 もしも、もしもだ。

 最初に出会ったのがミラではなくアルフィルクだったら。

 アルフィルクに会った後でミラに会ったのだとしたら自分はどちらを好きになったんだろう。


 今だったら迷わずミラだと言う自信はある。

 だけどその状況なら分からない。

 もしかしたら最初に会ったアルフィルクを好きになっていたかもしれない。


 それでアルフィルクにすでにパートナーがいたと知ったら、本心ではアルフィルクを好きなままミラと付き合っていた可能性も考えられる。


 だから覚悟が決められなかったのか?

 

 ――そんな考えが未明子の頭に浮かんだ。


「未明子?」

「あ、ごめんね。少し考え事をしてて……」


 いや。それは不誠実だ。

 そんな中途半端な気持ちでミラと一緒にいたなんてやっぱり許せない。


 一瞬、向こうの世界の自分を許してしまいそうになるがすぐに考えを改める。


「あの時はあの時で楽しかったよ。でも今は未明子がいるからいいんだ。その日記はもう捨てるね」

「え?」

「だって嫌でしょ? 未明子じゃない未明子との思い出が残ってるなんて」

「ダメダメダメ! これはミラの大切な思い出なんだから残しておかなきゃ!」

「でも……」

「私が嫌なのは前の世界の私の態度であってミラの思い出じゃないよ。思い出にもこの日記帳にも罪は無い。だから大切に残しておいて」

「……ありがとう。そうさせてもらうね」


 そう言われたミラは嬉しそうだった。


 未明子は持っていた日記帳を引き出しにしまうと、ミラの隣に座った。


「この話をすべきかどうか迷ったんだ。ミラにとっては触れられたくない話かもしれないと思ったから。でも私がここに住ませてもらうならミラはそれを隠し続けなきゃいけないでしょ? だからいっそ話してしまって、私は平気だよって伝えたかったんだ」

「核の時もそうだったけど、私が気にしているほど未明子は気にしてないんだね」

「だって好きな女の子の事は何でも受け入れてあげたいんだよ。どんな事実だって今のミラを形作った要素でしょ? なら全部受け入れて愛したい。人を好きになるってそういう事だと思うんだ」


 未明子はミラの両手を握りしめた。

 改めてこんなに小さい手だったのかと彼女の華奢さに驚いてしまう。

 

 確かに感じる暖かい体温を愛おしく思いながら、ミラの目を見据える。


「これでようやくちゃんと言える。おかえり、ミラ。戻ってきてくれてありがとう」

「……ただいま。未明子。心配させてごめんね」

「うん。それと、大好き」

「私も、大好き」


 未明子はミラをそっと抱きしめて、キスをした。


 それは再会した時の突然のキスとも、変身の条件を満たす為のキスとも違った、お互いの気持ちを伝え合うキスだった。


 未明子の心の中に暖かく優しい気持ちが流れ込んでくる。

 それはいつか止まってしまった心を癒してくれる安らぎだった。

 

 色の無い視界が鮮やかな色を取り戻し。

 耳にまとわりつくノイズを打ち消し。

 知らない世界に追放されていた意識が元の世界に戻ってくる。


 そんなずっと悪い夢を見続けていたような感覚が霧散した時、未明子は涙を流していた。


 その涙は止まらなかった。

 悲しい涙ではなく、感動している涙でもない。

 理由の分からない涙だった。


 自分ではどうにもならない程の涙はとめどなく溢れて、ミラの肩を濡らした。


「未明子、泣いてるの?」

「本当だ。私、泣いてる……何でだろう?」

「いっぱい頑張ったから疲れちゃったのかな」

「そうかもしれない」

「もう大丈夫だよ。未明子が泣きたい時は私が隣にいるからね」

「……ありがとう」


 結局涙の理由は未明子には分からなかった。

 ただ、今この瞬間ミラと一緒にいられるのが幸せだというのは分かっていた。

 

 そういえば幸せを感じたのなんていつぶりだろう。

 楽しくても嬉しくても、いつもそれをどこか遠いところから眺めていた気がする。 

 でも今はこんなに身近にあるものとして受け取る事ができる。


 もしかしたら生き返ったのはミラだけじゃなくて、自分もなのかもしれない。

 

 未明子はそう感じていた。



 考え事をしてボーっとしている未明子に、今度はミラの方からキスをする。


「キス、いただきました」


 ミラは顔を真っ赤にしながら舌をぺろっと出して、小さくピースする。


「あーもう! かわいすぎる! こんなかわいい生き物がいていいのか!?」

 

 それを見てたまらず叫んだ未明子が、もう一度キスを返した。


 2人は目をとじて、抱き合って、時間を忘れて唇を重ねた。



「……ミラ。今日泊まってもいい?」 

「……へ?」

「泊まる準備してきた」

「……その、泊まるってことは、その、あれだよね」

「うん。約束を叶えるために準備して来た」


 ミラは顔から煙がでるくらい照れていた。

 それを誤魔化すように抱きしめる力が強くなる。

 つられて未明子も強く抱きしめ返した。

 

「まさかここで逃げたりしないよね?」

「しないよ! 望むところだよ!」

「鼻血出てない?」

「で……出てないと思う。いまはまだ……」


 2人はお互いの顔を見合わせて笑い合った。

 

「と……とりあえず夕飯の準備しよっか? 買い物行こう! 未明子は食べたい物ある?」

「何でもいいの?」

「うん。大抵の物は作れるよ」

「じゃあ肉じゃが」

「ほう。彼女に作ってもらいたい料理でよく聞きますな」

「でもそう言われてるだけでそれほど肉じゃが好きな人は多くないみたいだよ。お父さんが言ってた」

「じゃあ何で?」

「私が個人的に好きなだけ」

「そうなの!? それは初めて聞いたよ。未明子なんでも美味しそうに食べるから」

「ミラの家にお泊りする日が来たら一緒に肉じゃが作るって決めてたんだ」

「じゃあほっこり甘い肉じゃがを一緒に作ろうね。ちょっと待ってて?」


 ミラは満面の笑みで立ち上がると、2階に上がって出かける準備を整えてきた。

 

 モコモコの暖かそうなコートにモコモノのマフラー。

 それに左手には未明子がプレゼントした腕時計をつけていた。


「行こう。そして一緒にご飯を作って、お風呂に入って、一緒に寝るのだ」

「寝るのだ寝るのだ」

「おっと今夜は寝かさないぜ?」

「いまミラが寝るって言ったんだよね?」

「寝るってのはあれよ、ほら。きゃー」

「きゃーって」


 玄関で靴を履いた後、未明子はミラに手を差し出した。 


「外寒いからね。手を繋いで行こう」

「そうだね。繋いでいこう」 


 ミラは差し出された未明子の手を握り返した。


 そうして手を繋いだまま、玄関の扉を開ける。


「あ。そういえばさ、前にミラのアニマが溢れてキスできなかった日があったじゃん?」

「あったねえ」

「あの時、私が腋好きって知ってたのってもしかして……」

「前の世界で女の子のどこの部位が好きなのって聞いたら、恥ずかしげもなくそう言ってたよ」

「うおお……別の世界の私の馬鹿野郎!」


 2人はそんな他愛もない話をしながら、扉から出て行った。


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