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HRを2時間してからの放課後。僕と聡太郎は2人で他の生徒の流れに逆らうように階段を上がって1年生の教室がある3階から更に3階分上の屋上扉の前へと向かった。
そこは扉からしか光が入っていなく埃っぽい空気が立ち込めていて、いつもの教室と見比べてまるで廃墟のように感じられた。
流石にここまで人が来るとは思えないのでここなら声を聞かれる心配もなく安心して昨日のことを聡太郎に話すことができる。
聡太郎に促されるまま僕は口を開いた。
「朝にも言ったけど、昨日に告白をされたんだ。入学式が終わってからの放課後に、校門のところ辺りで。初対面の女の子だったよ、」
そこまで聞いた聡太郎は、教室で告白されたなんて話した時と同じくらい大きな声を上げて驚いた。
告白されただけなら話すこともないので何か話すことがあるなら何かあるんだろうと身構えてはいたんだろうけど流石に初対面の人に告白されたと言われたのは予想外だったらしい。
気持ちはわかるよ、初対面の人に告白される要因なんて僕にはないはずだし。
「で、これだけじゃないんだけど。」
そう話を続けようとすると、これ以上あるのかなんて視線が僕を見る。それを無視して話を続けた。
この先の言葉は、あった事実をありのままに話すという行為と言うよりは、罪の自白のような響きだったかもしれない。
「告白をされた時に、断ろうとしたんだよ。ただ、その前に彼女に提案されたんだ。告白の返事を延期して欲しいって。それを断れなかったから、いつまでかは分からないけど彼女と一緒にいることになると思う。」
少しの間が空いて言い終えたと思ったんだろうか、聡太郎が口を開いた。
「そうか。で、樹はどうしたいんだ?」
「……別に、ただ好きになれなかったら告白を断る気だよ。」
それを聞いた聡太郎は少し考えるように俯いた後、「じゃあ、帰るかと言った。」その後に続くように僕も階段を降りて行った。