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鬼神王覚醒  作者: 森豆太郎
2/109

第2話 ◇出会い◇ 2019/01/11

10話まで、1時間間隔で連続投稿中です。

ブックマークを忘れずにお願いします。

◇出会い◇ 2019/01/11


 私の名前は、早矢刺 潤という。


 工業高校を卒業し某法人に就職して技術職として働き始めて11年目の29歳、身長は167cm中肉中背で、休みになると会社の先輩たちや仲間と夏は、バイクで海へ行き、冬はスキーそして、春秋はテニスとアクティブに遊んでいたのだが、昨年素敵な女性と出会って交際が始まり、あっという間に9か月も経って、いつものように会社帰りにデートしようと待ち合わせした時に、彼女から聞いた不思議な出会いからすべてが始まった。



 昨年、入所した新人として他の子たちと一緒に挨拶回りしてきた時に

 「彼女だけ周りがキラキラと明るく見えて、緊張した中での可愛らしい笑い方と控え目な感じに、ひとめ惚れ。」

 しました。


 この娘と絶対に付き合いたいと思い悩んでいたところ、今年は鐘ヶ淵(かねがふち)のもんじゃ屋で毎年恒例の新人歓迎会が開催されると聞きつけたので

 「このチャンスを逃さずに告白する。」

 と心に決めて参加してタイミングを見計らって隣に座って色々話したところ、お父さんが東京に転勤になる予定があり自分の就職と重なりそうだったので、関西の宝塚市からわざわざ東京に就職したということで、今は兄と一緒に暮らしているという事や昔からエレクトーンを習っている事など色々と話してみて、

 「この娘と結婚したい。」

 と決意したのでした。


 歓迎会もお開きになり、どこまで帰るのか聞くと五反田から池上線に乗って石川台という駅まで帰るそうで、ほぼ東京の反対側なので、少し強引でしたが送っていく事にしました。


 道中、色々お話ししましたが、気遣いも出来て、やはり

 「この人しかいない」

 と確信できたので、アパートの前の路地で

 「最初に挨拶に来た時にあなたの周りだけキラキラと輝いて見えて、今日も色々話してみたけれど、貴女のことが頭から離れません。どうか結婚を前提に付き合っていただけませんか。お願いします。」

 と告白したところ、なんとOKを貰えて、それから付き合い始めて9か月だったんです。


 年末年始は、実家で過ごすため東京駅まで見送りに行き、戻ってくるまで電話しかできませんでしたが、年も改まって久々のデートです。


 仕事が終わらず定時から10分ほど過ぎで終わらせることができたので、待ち合わせした八幡神社の境内へ入ると(もや)が立ち込めていて、

 「なんで境内だけ靄?」

 と思いながら待ち合わせ場所に急ぎました。


 神殿前に着いた時には、靄も晴れていて、彼女はすぐに見つけられたんですが、そこで彼女から言われた不思議な話からすべてが始まりました。

 「仕事を終えて、八幡神社の神殿前で待っていたら、急に靄が出てきて、囲まれた瞬間に先月の12/06(木)に起きた記憶を思い出した。」

 と彼女が話し始めたの近くのベンチに移動して話を聞くことにしました。



~博子の話~


 12/06は、新宿駅でいつもより1本早い尾田急線の各駅停車に乗れたので、八幡駅で下車して近くの売店で牛乳とパンを買って職場へ向かって山手通りを歩いて八幡神社前に来たところで、信号が赤になったので、青になるのを待っていたら、何かに誘われたかのように

 「9時まで時間もあるし、たまにはお参りしてみよう。」

 と思って階段を上り始めたらね。


 鳥居の手前にある植え込みに空の器をなめながら震えている真っ白な犬?を見つけたんです。

 「お腹が減っているのかな?」

 と思って売店で買った牛乳を器に入れてあげると、あっという間に飲み終わったのに、物欲しそうにしていたので、一緒に買ったソーセージパンからソーセージを取り出して器に入れてあげると元気に食べ始めたので、お参りしてから会社へ行こうとした時には、居なかったんで、

 「大丈夫だったのかな?」

 と思って出勤したんです。


 その日の仕事帰りに、朝の出来事が気になったので、神社の階段を上って鳥居を潜ると、急に(もや)が、出てきて周りが見づらくなったので、目を凝らして先を見ると神殿から漏れだした明かりに照らされて、(ほうき)で掃き掃除をしている巫女(みこ)さん姿の小さな子供が見えたので、

 「こんばんわ。変な靄ですね。」

 と声をかけると元気な声で

 「ごちそうさまでした」

 と声が返ってきました。


 「ごちそうさま??」

 と思いながら近寄っていくと声の主は、やはり小学生くらいの可愛らしい銀髪(ぎんぱつ)の少女で、更に近寄ると笑顔で

 「今朝のお礼がしたいので是非、母に会って欲しい。」

 と言い出したのです。


 「可愛い巫女さんのお誘いだし」

 と怖いもの見たさもあり女の子に付いていくと、神殿を通り過ぎたところにある古びた館に案内されて、玄関で靴を脱いで、後についていくと、家の中は、外観から想像もできないほど廊下や柱が綺麗に磨かれており、奥行きがある長い廊下から客間らしき部屋に通されたんです。


 そこに上品な佇まいの金髪(きんぱつ)の女性が出てきて

 「我が家の娘が大変お世話になりました。間違って結界から出てしまって危ないところでした。貴女の施しのおかげで、無事に結界内に戻ることができました。本当にありがとうございました。」

 と丁重なお礼を言われたのです。


 そのまま話を聞いていくと母親の名前は

 「金狐(きんこ)さん」、

 女の子の名前が

 「銀狐(ぎんこ)さん」

 という名前であることや金狐さんは、神狐と呼ばれる一族の当主で、その一族が大昔から日本の神社を守っているということ。

 「銀狐さんは金狐さんの一人娘で、神狐一族唯一の血筋で次期当主になることが決まっており、金狐さんに付いて修行中」

 と言うことなどを教えてもらいました。


 その後

 「今日のことは必要になったら思い出していただけるようにしました。」

 と言われたと思ったらいつの間にか(もや)のかかった神殿前に立っていて次の瞬間、優しい風が吹いたと思ったら(もや)が消え去って、神殿の周りには誰も居らず

 「???」

 と思いながらもそのまま帰宅しました。



 そして今日、境内の鳥居を潜ると急に(もや)が出てきたので、目を凝らすと神殿から漏れだした明かりで、(ほうき)で掃き掃除をしている可愛い巫女さんを見つけたその瞬間に

 「銀狐さんだ!」

 と思い出したんです。


 そして、銀狐さんが

 「これから来る男の人は今後、貴女の人生に大きな影響を与える人だから。離れないほうが良いですよ。」

 と言って靄の中に消え去りながら

 「私に会いたくなったら神殿の前から呼んでね~」

 と言われたら靄が晴れたら無くなってんです。



 という話を聞いたところなんだけど、

 ”どうする俺?”

 ”どうなる俺?”



 彼女の話を一通り聞くと、なぜだか

 「自分の目で確認しなければいけない。」

 という思いが強くなり、

 「自分の目で確認したい。」

 と言うと、博子が

 「本当に大丈夫?」

 と聞くので、

 「多分だけど大丈夫だと思う」

 と答えてから改めて

 「ここで出会わなければいけない人だと思うから合わせて欲しい。」

 と頼むと、博子はもう一度、神殿前まで進んで行って

 「銀狐さん。いますか?」

 と問いかけてくれたら再び出てきた靄と一緒に銀髪の巫女さんが現れたので、

 「この子が銀狐さんです。」

 と博子が小声で教えてくれました。


 博子が銀狐さんに

 「銀狐さん。ここにいる私の彼が、金狐さんに会いたいと言っているんだけど、会う事って出来ますか? 一緒に会わせて欲しいです。」

 と言うと、

 「だいじょーぶだよ」

 と何故だかすんなりと奥の館に案内してくれることになりました。


 銀狐さんの後について歩いていくと、一瞬、

 「薄い膜のようなものを突き破ったら空気が変わった。」

 と思ったのです。


 館の玄関で靴を脱いで博子に左腕をつかまれながら一緒にゆっくりと銀狐さんについて奥まで行くと通されたのは、館の客間らしい部屋で、そこには上品な佇まいの金髪(きんぱつ)の女性が、上座に座って待っていたのでした。


 女性の前に用意されていた座布団へ二人で座って挨拶しようとした途端、急に頭全体に広がる痛みと共に意識が真っ白になってしまい博子に倒れ掛かってしまいました。


 数分、頭痛に耐えていると頭が少しずつスッキリし始めて、

 「自分が鬼神一族を束ねるべき当代の鬼神王(きしんおう)なんだ。」

 という事とともに、

 「これから起こる大災厄(だいさいやく)によって、地球生命が滅亡(めつぼう)しかねない危機的状況が迫っている。」

 と理解したのです。


 どうやら先ほど通過した薄い膜のような金狐さんの神域結界(しんいきけっかい)と、この部屋に満ち溢れている霊素(れいそ)に触れたことによって、

 「自分の奥底に隠されていた、鬼神王(きしんおう)という存在が覚醒(かくせい)しその叡智(えいち)と能力を得た。」

 という事らしいんです。


 意識が戻ると、どうやら博子が膝枕して頭を撫でてくれていたようで、優しい波動を感じてとても気持ちが良かったので、思わずニヤついてしまい、このままずっと膝枕していて欲しかったのですが、そういう訳にもいかないことが分かっているので、起き上がって金狐さんと話始めました。


 「ずいぶんと久しぶりだったね。金狐」

 と馴れ馴れしい口調で金狐に話し始めると金狐さんが、

 「普通の人間ではないと思っておったが、やはりそうじゃったか。鬼神王殿だろう?」

 と聞き返されたので

 「そうだ。分かっていたのか。」

 と答える自分。


 「数年前から懐かしい気配が、我が神域を通り過ぎていくのに気が付いてはいたが、お前は何も気が付いていないようだったので、そのままにしていたのじゃが、そこなおなごに出会った際に、おぬしの匂いが全身に纏わり付いて居ったので、何かきっかけがあれば久しぶりに話がしたいと思っていたので、加護を与えて様子を見ておったのじゃ。」

 と金狐から種明かしがあった。


 意味不明な状況に慌てている博子が耳元で

 「どうなっているの?何を話しているの?一体どんな状況なの?」

 と不安そうに聞かれたので

 「どうやら、こちらの金狐さんと俺は、古い知り合いで、とても大切な仲間だったようなんだ。

  しばらく訳もわからない状況が続くけど、後で必ず博子にもわかるように説明するから、まずは金狐と話をさせて欲しい。」

 と説明したら一応理解はしてくれたようだが、ほっぺが膨らんだままだったので、そこへチューしてあげたら、

 「もう!」

 と言いながら一応待ってくれるということになった。


 金狐に

 「今日、出会えたのは、偶然ではないと思う。俺もさっき覚醒したばかりで、薄ぼんやりとした感覚でしかないのだが、どうやら鬼神一族が、霊峰(れいほう)富士山深淵部(しんえんぶ)に7,000年以上に渡って抑え込んでいた魑魅魍魎(ちみもうりょう)どもの封印(ふういん)が、限界を迎えているようで、来年早々にも封印が決壊し、奴らが世界中にあふれ出して混沌(こんとん)の時代に突入する大災厄(だいさいやく)が起きそうな状況みたいだ。」

 と話すと金狐もその気配を感じていたらしく、配下の神狐一族に探らせていたという事だった。


 「封印が決壊して起こる大災厄に向けて鬼神一族を集めて対策に動くので、神狐一族の力を貸して欲しい。」

 と説明したところ

 「鬼神王殿に頼まれては否とは言えまい。神狐一族皆で手を貸そう。」

 と金狐たちも大災厄の気配を感じていたらしく鬼神一族と一緒に働いてもらえることになったので、後日、改めて打ち合わせをすることになった。


 俺は、博子に向き直ると

 「いきなりで驚いたとは思う。普通に考えたらおかしなことだらけで混乱していると思うけど、自分の言動も行動もすべてが、近未来に起るであろう大災厄と呼ばれ人命にかかわる災害に備えるために必要な事なので、安心して欲しい。これからのことについて少し込み入った話がしたいので、明日の土曜日は、1日時間を空けて欲しい。」

 と説明したところ分かってくれたので、今日のデートはキャンセルして八幡神社から愛車のMVXで石川台にある博子のアパートまで送り届けて帰宅した。



次話 ◇エピソード・ゼロ◇ マイナス7,300年



神域結界(しんいきけっかい):霊素を使って瘴気を持った相手を立ち入らせなくした空間。神狐一族統領が使える能力。

霊素(れいそ):龍脈を通して神域に集まってくる霊気を圧縮したもの。現在は、神域の結界と富士山で魑魅魍魎封印の為に消費されている。封印が無くなるとその分霊素が、大気中に放出される。人が他人を慮ったり、守ろうとしたり、幸せを願う良感情からも発生する。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)魔族(まぞく)魔獣(まじゅう)、アンデットなど、自ら膿み出した瘴気を身に纏って様々な力に変えることができる。

封印(ふういん):獄卒以上と金狐・銀狐が特定の空間に閉じ込めて出られなくする。封印する相手の瘴気が多いと発動できない。

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