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ウィルス

作者: 朋枝悟

シーン:体内

外部音声:ウィルス

役者:患者の細胞代表


暗転状態

外部音声「お、良いところに傷口あるやないか。そこで家族増やそ。」

役者「いやいや、ちょっと待ったらんかい」

ライト照明

役者「人んちに上がるときは玄関からインターホン鳴らすのが常識や。誰や」

外部音声「そりゃすみませんでしたな、でもそう言われましてもわてらもでなおしできねん。許したってや。悪いことしませんさかい、家族増えるまでちょっと居候させたってや。」

役者「あなた、かなり図々しいやないですか、誰なんや」

外部音声「ウィルス」音量抑え気味で

役者「あ?なんだって?」

外部音声「だから、ウィルスですって」控え気味に

役者「はぁ!?いやいや早く出ていってください。居てもらったらこっちが困りますわ」

外部音声「じゃあお腹下すか鼻水とかに乗せて出してもらえまっか」

役者「じゃそこまで移動してくださいよ。そしたら頑張れますわ。」

外部音声「無理なんです。」開き直った感じで

役者「何言う点や、入ってきたんやから出れるやろが。」

外部音声「それがわてら自力では動けへんのや、だから血流に乗せて運んでくれん?その間に家族も増えるから心配せんでええよ。」

役者「心配するわ。あんたまさか最近注目されてたあれとちゃうやろうな」

外部音声「あれとは違う、と願っとります。」

役者「願ってるて、そうかもしれんか。あんたまさかわしらをいてこましに来たんちゃいますやろな。」

外部音声「ちゃいますよ。わてらかてあんさんら死んでもうたら、わしらも死にますやん。共倒れはお互い嫌やろ。あんさんが良くてもわてらは嫌なんや。ほんま共倒れだけは勘弁してほしいわ」

役者「あんたらの被害に会うのはわしらやろが。あんたら言うてること、ようわからんで」

外部音声「いやいや、だから言うてますやん、わてらはあんさんらからおまんまもらわんことには家族が増えへんのや。それにわてら自分では動けんからあんたらに外に出してもらわないと困るんやで」

役者「じゃあ何や、わしらが運んでるうちに適当に増えるから、まとめて吐き出すなりしたらいいんか。これはまた難儀なもんやのう」

外部音声「そやろ、もっと同情してほしいわ。わしら自分で動けんからあんたらに弱られると外に出れんから、ほんましっかり頼んまっせ」

役者「そこ我慢せんかい。増えんかったらわしらも弱ならんし。」

外部音声「すみません無理なんです。」小声で

役者「何だって?」耳を傾ける

外部音声「無理なんですわ、わてらかて死にとうないからあんたらには生きててほしいんや。そやけどわてらは栄養あったら増えてまうねん。だから早う出してほしいんや」

役者「なんやそれ、全部他力本願かいな。そりゃ鬱陶しいことこの上ないのう。わかったわかった、じゃあはよ出てもらいたいから血流にのって排出できるとこまで運ぶから、あんま増えんとってや」

役者には場所を移動して血流にのった状態に場面変化

役者「あんたもうちょっと減量しいや」

外部音声「ちゃうねん。もう産まれる~!?ほら、あんさんらが運ぶの遅いから増えてもうたやないですか。」

役者「ちょっと待てや、被害者ぶんなや。」

外部音声「そう言われてもわてらはあんさんらからおまんまもらえる状態になると家族増産せなあかんねや。でもな、それで増えすぎたらあんたらもつらいんや。そしたらわしらもつらなるからお互いのためにと思って頑張ったってや。」

役者「都合いいように言いよって、ほなちょっと免疫ら頑張ってもろて数減らさせてもらいますわ。」

外部音声「むしろそうして、あんた普段からまともな生活してへんやろ。血液が汚なすぎるわ。この体の持ち主に文句言うた方がええのと違うか」

役者「あんまり、言わんでくれ。どうにもこの人は不摂生が習慣化してるんや。しかしあんたらが気にすることでもないやろ」

外部音声「いやぁ、こんな中やといくらおたくらの免疫で減らしてもろても、もうわてらの数の方が増えていってまうから、まずいんやって。」

役者「はぁ?なんか体だるいのってそのせいなんか。影響でんの早くね?」

外部音声「ああ“あ”~~死にとうないんや。早くここから出してくれ~~」パニック気味に

役者「パニックになんのこっちじゃねえの、何であんたの方が先に不安になってんの」

外部音声「他力本願ゆえの怖さ、あんたにはわかるまい」どや顔が見えそうなニュアンスで

役者「頭大丈夫か、もうええ加減にしてくれ。はよ出ていくつもりなんやったら協力せえや」

外部音声「だから無理なんやって、頭悪いんかいな。口動かさずにて動かしや」

役者「あぁもう黙ってろや、そのまま排除したるわ」切れ気味に


役者「やっとや。早く出てけ。このウィルス野郎が。」蹴り飛ばす動作をつける。

外部音声「ご苦労、じゃあまた」

役者「二度と来るんじゃねぇ」役者が移動前の位置を眺める。

外部音声「ハロー、また来ちゃった」

役者「ふざけんじゃねぇ!!!!!」

暗転


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