地獄の沙汰も恋愛次第だと素敵ですよね?
また、いつもの朝がやって来た
いつもの様に仕事に行く準備をする為に起床する。
僕は、いつもスマホのアラームを合わしている時間より
ほんの少しだけ早く起きる。
朝は、少しでも長く寝ていたいので最低限の身だしなみを整えると家を出発し仕事先に向かう。
仕事先に着くと制服に着替えタイムカードを打刻する。
「おはようございます」
「あっ、店長おはようございます!」
僕の名前は、「幸村政大 」27歳で、コンビニ店長をしている。
携帯ゲーム機を持ってはいるがゲームをする時間がなく趣味と呼べるのか怪しい。それ以外に特に趣味もなくお金を使う用事と言えば食費や家賃や電気水道ガスといった生活に必要な出費程度である。
彼女は、3年前に別れたのが最後でそれ以降いい縁がない為に彼女もおらず地元を離れ仕事をしているので、友達もいなく家と仕事場の行き来するだけの生活を送っている。
そんないつもと変わらない生活の1日がまた始まったが
今日は、違った。店の商品の発注をしていると激しい痛みが左眼に走った。仕事柄パソコンやタブレットの見すぎで
目が疲れたのだろうと思い少しバックヤードのデスクで、休憩を取るが30分程しても痛みが続き痛みも増してる様な気がし、コンビニから歩いて5分程の所に眼科があるので
アルバイトの皆に「ごめん、ちょっとさっきから眼の調子がおかしいから近くの眼科に行って来るから頼むね?」
「分かりまし…えっ?店長大丈夫ですか!!?左眼の眼球かな?真っ赤っかで血だらけみたいになってます…早く行って来て下さい」とかなり驚いた様子で言われたので、あ直ぐに上着を羽織、眼科に向かう。
平日という事もあり余り待たずに呼んでくれたらいいんだけどなぁ…と思いながら眼科の扉を開けた。
「すいません、先程から急に左眼が凄く痛くなって診察をお願いしたいのですが」
「本医院は、初めてでしょうか?」
「はい」
「そうしましたら、こちらの問診票をご記入していただけますか?あと、保険証はお持ちでしたらご提出お願いします」
「分かりました」
席に座り問診票を記入し終わり受付の女性に問診票を渡しに行く。
初診と平日の事もあってか15分程で診察室に呼ばれた。
「はい、初めまして本日は急に左眼に痛みがあるとお聞きしたのですがこの様な症状は、初めてですか?」
「そうですね、元々左眼は先天性の緑内障を患ってまして中学生頃に失明している事以外は特に何も今まで無かったのですが関係あるのでしょうか?」
「そうですね、しかし眼の充血というよりは、出血している様にも見えますね。とりあえず、診察をしてみましょう」
「幸村さん、左眼が細菌に感染しており眼の中に腫瘍が出来ております。本医院としては、大きい病院に移って貰い手術をおすすめ致します。今すぐにでも紹介状をお描きしましょうか?」
「ちょっと待って下さい。手術しなきゃ駄目なのでしょうか?今実家から離れて暮らしていますので、入院となると服の替えや仕事もあるのですが…」
「しかし、手術をしないといけませんので…でしたら、
ご実家の近くの大きい病院に紹介状をお描きしますのでどうでしょうか?」
「分かりました。では、紹介状をお願いします。」
トントン拍子に話がまとまってしまい手術が決定してしまったので、家に帰り実家に帰省する準備をし、その荷物を持ったまま仕事先のコンビニに向かい今日出勤している。
アルバイトの皆には、口頭で説明をし休みの方には、連絡ノートに書き置きを残し店を出発した。
僕が居ない間は、代わりに副店長や本部の人がシフトの穴埋めをしてくれるらしく直属の上司に電話をした時に凄く心配してくれ「入院日数が分かったらすぐ俺に電話してきいや!」と言ってくれ頼りになる兄貴の様な存在の人だ。
そこから、電車を乗り継ぎ3時間程し実家の最寄り駅に着いたら見慣れた女性の姿があった。
「アンタ大丈夫か?久しぶりに電話があって、急に手術決まったから帰るって聞いたからずっと心配で心配で」
「わざわざ来てくれたんや、実家まで歩いて10分ぐらいやから迎えは、大丈夫って言うたのに」
母は、どうやら今回左眼がと言う言葉を聞いて生まれつきの病気が再発したと勘違いし凄く心配してくれた様だ。
家に帰ると弟と妹も仕事を早く上がらせてもらい僕の事を待ってくれていたのだ。
「兄貴久しぶりやのに、大丈夫か?」
「朝は、痛みが酷かったけど鎮痛剤貰ったから大丈夫やで」
弟は、僕より3つ下で税理士の仕事をしておりデスクワークが多い為、腰を気にし始めている。彼女なし。
「お酒買ってきたし、しばらく飲めなくなる?かも知れんねんから今日は飲もう!!!」
「マジか!お前のクセに気が利くなぁ」
「お前のクセにってなんやねん!!!人が心配して、兄貴の好きな梅酒やらウィスキー買って来たのに!」
「あざます!」
「アンタら、病人で手術しなアカンのに酒盛りする気かいなぁ…」
呆れた顔と様子で、母が僕と妹に投げかける。
妹は、僕より4つ下で映画館でアルバイトをしているフリーターだ。お酒が好きで、帰省するとよく一緒に家で呑んで深夜まで喋っている。現在7歳上の彼氏と付き合っている。
次の日紹介状を書いて貰った病院に行き再度診察をして貰うと「確かに症状は、酷いですがこの様子ですと安静にしての自宅での投薬治療のみで、治す事が可能ですよ?それに左眼は、昔何度か手術をしているみたいなので、失明しているとはいえこれ以上手術をして眼に負担をかけるのは得策では、ないと思われます。治療期間としては、1ヶ月半程度だと見込みます」
母も弟妹も「切るよりは、そっちの方がいいし仕事ばっかりだったし、たまにはゆっくりする為に自宅治療にしなよ」
「でも、1度会社に電話してからじゃないといけないので…
少しだけ電話してもいいですか?」
と言い電話を上司にかけた。
「お疲れ様です。幸村です。」
「おぉ、幸村!体調は、どうや?手術はどうなりそうや?」
「それが…」事の顛末を話し終える。
「手術ってなるとお金もかかるしどっちみち復帰期間があんまり変わらん様なら、自宅治療にしいな」と優しく言ってくれた。
「では、しばらくご迷惑をおかけして申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。」
電話を切り終え主治医の先生に目薬と痛み止めを処方してもらい家に帰り1約ヶ月半自宅治療を終え完治したので、
仕事先に戻る事が出来た。
久しぶりの出勤1日目の朝「おはようございます!長い間すいません、ゆっくりさせて貰ったおかげで完治しまた今日からお願いします!」
「お願いします!」「店長太ったなぁ!」「貸し1やな!」
など、様々声が上がり日常に戻っていった。
しかし、1ヶ月後
「さぁ、今日も1日頑張るか」
と思いベッドから立った筈なのに何故か僕の目の前には、
フローリングの床がすぐ近くにあった。