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【完結】異世界追想譚 - 万華鏡 -  作者: 姫嶋ヤシコ
第一部

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容易く蝕まれて行く心 -Dino-Ⅲ【醜悪】①

「ディーノ副団長、魔物の掃討完了しました」

 騎士の報告に頷くと怪我人がいないかを確認し、いれば速やかに帰還することを伝え、魔物は霧散してしまったので後処理の必要はないと先を急ぐ。

 先程ジョエルから東の山道で結界が破られたと伝えられ、第三騎士団の監視区域にも異常がないかを確認するように命じられたのだが、思いの外この区域は平穏で、時折魔物がちょこちょこと襲って来る程度だ。

 結界を破れる程の魔物は見当たらず、また結界自体にも問題はなく、とりあえずは遭遇する魔物を片付けながら確認作業を続けていた。

 目の前に群れを成している魔物はこちらの存在に気づくと、一斉に飛び掛かって来る。

 極めて単純な攻撃で取るに足りないと薙ぎ払うように剣を振れば、あっと言う間に処理が完了し、後処理の為に転がる死骸を一か所に集め、魔術団に死骸の焼却依頼を出す為部下に言付けして城へ向かわせた。


 しかし、どうにも違和感が拭えない。


 ここに来るまでの間に何度か戦闘をしてきたが、魔物を斬った後に()()()()()()()()()()()()()がいるのだ。

 些細なことと言えば些細なことなのだが、斬れば霧散して跡形もなくなる魔物の比率が以前よりも増えているような気がしてならない。

 現に、今日の戦闘で魔術団に後処理の依頼を出したのは、たったの二件だけだ。

 たまたまそうであったのか、それとも、魔物同士での共食いか何かで死骸の残る魔物の数が減っているのか……。

 後で他団の監視区域ではどうであるのかを確認してみようと、持っていた剣を鞘に納めて一息ついた。


「とりあえず、監視区域の見回りはここまでですね」

「先に戻って、特に異常はないとジョエル団長へ報告してくれ。俺はもう少し、周辺を見回ってから戻る」


 わかりましたと先に城へ帰還して行く騎士達を見送り、彼らとは反対の方向へ馬を走らせ一人見回りを続けたが、別段変りもなく、平穏で良かったと安堵すると同時に、東の山道へ現れたと言う魔物に一抹の不安を感じずにはいられなかった。

 具体的に何がどうと言われると、答えられないのだが……。

 一通り見回りを終えて帰還する頃には、陽が傾き始めていた。



 城に戻って早々、慌ただしく走る医療団員とぶつかりそうになり、それを間一髪で避けると、申し訳ありませんと叫びながら走って行くその姿に唖然としてしまう。

 余程急いでいるのか、道行く人にぶつかりながら、それでも走ることをやめない彼は、曲がり角で出くわしたアルマンにぶつかって小さな悲鳴をあげた。

 やっちまったなと両耳を塞いだ直後、案の定アルマンの怒号が響き渡り、この後、ディーノは二人の間に入って仲裁をすることになる。

 セシリヤが魔物の襲撃に遭い意識不明の状態になっていると知ったのは、この医療団員の話を聞いてからだった。



 【22】


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