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【完結】異世界追想譚 - 万華鏡 -  作者: 姫嶋ヤシコ
第二部

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232/290

レオン・ノエルと言う名前 -Leon-Ⅲ【落手】④

 *



 頭痛がする。

 悪い夢でも見ていたのか、酷く寝覚めの悪い朝だった。(夢の内容を思い出そうとしたが、何故か全く思い出せなかった)

 とりあえず朝食を取ろうと食堂へ来てみたが、頭痛のせいで食べる気力もない。

 頭を押さえながらテーブルに伏せていれば、部下の一人が声をかけて来た。


「レオン団長、おはようございます。いつもの頭痛ですか?」

「……ああ……。朝から天気も悪いようだし……、寝覚めも悪くてね」

「医療団で薬を貰って来ましょうか? 今日は定期連絡の担当ですし、支障があっては困りますから」

「そうだね……、お願いしても良いかな?」

「勿論です!」


 レオンの願いに快く頷いた部下はすぐに踵を返したが、何かを思い出したように動きを止めると再びこちらに向き直る。

 どうしたのかと問うと、彼は「ちょっと手を出して下さい」と言ってレオンの差し出した右手を取ると、不思議な文様を指で描いて見せた。(指でなぞっているだけなので何の文様かは正確にはわからないが、恐らくそうだと思う)


「一体、何を描いたんだい?」

「これ、一部の騎士達の間で流行ってるおまじないですよ」

「……おまじない?」


 (まじな)いと言う言葉に引っかかりを覚えて復唱すれば、部下は「そうです」と頷いた。


「誰が一番最初にこんな事を始めたかまでは知りませんけど、この文様を描くと不思議と痛みや恐怖心が無くなるんだそうです」

「不思議だね」

「まあ、所詮はお(まじな)いですから、ただの気休めのようなものだとは思うんですけどね」


 不思議そうに文様を描かれた手の平を眺めているレオンにそう言った部下は、「すぐに薬を貰ってきます」と急いで食堂を出て行った。



「……お(まじな)い、か……」



 文様の描かれた感触の残る右手をぎゅっと握り曇天を見上げたが、レオンの頭痛に大した変化は見られなかった。




【58】



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