黒い”なにか”
ザクザクと森の中を歩く。
「んー。食べられそうな物ないなー」
そこらへんに生えている木の実や山菜を採ってはみるが、変な色や形をしているものばかりだ。とても食べようとは思えない。
「ん?なんだあれ?」
茂みの奥に何か見える。あれは、白い犬?じゃない……。
大きさは普通の犬と同じくらいだが、背中からどろどろとした黒い”なにか”が飛び出している。直感した。あいつはヤバい。よし、ばれないように遠ざかろう。
ソローリ、ソローリ。足音を立てないように……。
パキッ。あ、ヤバい木の枝が。
「グガァァァァァァァァ!」
化け物が僕を追いかけてくる。
やばい、やばいやばいやばい!
追いつかれれば間違いなく殺され……。
ガジュッ!
「ああああああああ!」
肩を噛まれた!
「くそ!離れろ!」
肩に噛みついた化け物を引き剥がそうとするも、全く離れない。
くそ!どうすれば!
『これは毒だ。それも致死性のな』
そうだこの毒を使えば!
「うおぉぉぉぉぉぉお!」
腰に掛けていた剣を引き抜く。そして、化け物の上口に剣を突き刺す。
「ガァァァァァァァ!」
突き刺した剣を使い化け物の口を無理やりこじ開ける。
「これでも食っとけ!くそがぁぁぁぁ!」
隙間ができた口に小瓶を投げ込む。
「ガァァァァ……」
ドサッ。化け物が地面に倒れる。
「やった、のか?よかっ……あれ?」
なんだ?化け物の背中についていた”なにか”がモゴモゴと動き出し、徐々に人型をなしていく。
なにか嫌な予感がする。今は逃げ……。
ザック。あれ?僕は下を向く。僕の腹には太い剣が刺さっていた。
「ゴフッ」
口から血が出る。何がおこっ……。
考える暇もなく僕は”なにか”にバラバラにされた。