居場所
温かい。懐かしい声がする。僕を愛してくれた両親の声がする。あぁ、待って。行かないで。
僕を置いていかないで……。
「目覚めよ!勇者よ!」
大きな声で目が覚める。さっきのは夢だったのか。顔を上げると華やかな装飾が施された椅子に豪華な服を身にまとった王様のような白髪のおじさんが座っている。おそらく、先ほどの声の主はこの人だろう。あれ?でもなんで僕はー
「生きているんだ?」
おかしい。あの時、僕は確かに死んだはずだ。一瞬だけど強い痛みも感じた。しかし、今はこうして生きている。さらに、僕は見たこともないような広い場所にいる。中世ヨーロッパを思わせるような城の外見をしており、たくさんの鎧をつけた兵士達が僕を取り囲むようにして並んでいる。
「ここはどこですか?」
何が起きているのかがわからず王様らしき人に疑問を問いかける。
「ここは新ロイド王国。おぬしがいた世界とは異なる世界ケネヴィスだ。お主をこの世界に召還したのは理由があってなーーー」
王様の話を聞くと、今この世界は「魔王」と呼ばれる怪物によって人間が怪物に変えられているらしい。だから、僕に魔王を倒し人々を救ってほしいという話だった。
僕はいま必要とされている。そう思うととてもうれしかった。だから、僕は魔王を倒すと決めた。
「ーーーというわけなのだ。魔王を倒してくれるか」
「はい!魔王を倒して人々を救いたいです!」
「そうか、そうか。じゃあお主のステータスを見せてもらおう」
そう言うと王様の片目が青く光り僕を見つめる。すると、王様は突然険しい顔になる。
「なんだこのステータスは!農民よりも弱いじゃないか!こんな奴いらん!迷いの森に転移させろ!」
「え……?」
どういう事だ?僕は必要ないということなのだろうか。
「ですが、それははあまりにも……」
僕を取り囲む兵士の内一人が王様の意見に反対する。
「黙れ!逆らうつもりか!」
「い、いえ!なんでもありません!」
「ほ、ほら。行くぞ!」
兵士が僕の腕をつかみ部屋を出る。腕を引っ張られながら後ろを振り向くと部屋にいた人達は皆複雑な顔をしていた。結局ここにも僕の居場所はなかった。これから僕はどうなるのだろうか。
King of lightの続編です。いつもなんとなくラノベを読んでいますが実際に書いてみるととても難しいですね。これからも頑張って小説を投稿していこうと思います。