幸ある福
人間、死のうかななんて考えるやつは、この世界うん十億人の中に、少なからずとも1人はいるもんで、ただ実行に移すやつは少ないだけだ。だから、本当に死んじまうやつはどーしようもない大馬鹿ヤロウだ。
私は生きてても駄目だと思った。だから、死のうと思った。生きているとふと、そんなことを思う日もあるが、今回は本気のつもりだった。
どうせなら、どうせなら、最後に一発、誰にというものではないが、目にものを見せてやりたかった。存在を打ち込んでやろうと思った。私は死に方を、マンション屋上からの落下死と定めた。
いざゆかんと、ゆっくり少しずつ、屋上への階段を登った。エレベーターなるものももちろんあるのだけれど、風情が足りなかった。普段気にしないのに、こんな時だけ気にする私がなんだか可笑しくて、1人、笑ってしまった。
だんだん屋上が近づいていっても、私はなんとも感じなかった。それを意外に思ったが、だからといってなにか変わることはなかったし、怖がって登れないよりはよかった。
やっと屋上についた。マンションの8階まで続く長い階段を登ることは、私にとっては久しぶりの運動であって、少し清々しかった。二度とやるもんかと思った。
空を見た。今は夕暮れ時の、少し前。太陽が沈みかけていて、とても綺麗で、金色で、まん丸で。「美しい」 声が出た。美しかった。私は太陽が完全に落ちるまで、ずっと見ていた。
私は家に帰ることにした。マンションの階段を行きと同じぐらいゆっくり歩いて、マンションを降りた。降りると外は真っ暗で誰もいなかった。面白かった。
家に帰って、飯をつくって、風呂に入り、歯を磨いた。最後に目覚まし時計をセットして、流行りの曲を聴きながら寝た。
目が覚めた。散歩にでも行くことにした。
短編初投稿。
考えさせられることがあったので書きました。
皆さんはこれを見てどう思いますか?
感想や評価をもらうと作者は喜びます。
時期に、長編を投稿する(いつになるかとはいっていない)と思うんで、その時は見に来て頂けると嬉しいです。