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「失礼、黒髪の乙女と話がしたい。」
銀髪の男性。
「そちらの方は何をしようとしているのですか?」
青い髪の男性。
「黒髪の乙女に手を出すなら俺が相手になるぜ!」
赤い髪の男性。
銀髪の人は違うけど、髪がドラゴンと一緒の色だねー。
「なっ、なんでもないっ!」
「今説明しているところです。もう少し部屋でお待ち頂きたい。」
宰相サマが言ってるけど、3人共私を見てる。
ガン見しすぎ。鬱陶しい。
「いつまで見てるの?」
不機嫌そうに言うと、 ハッとしたようで
「失礼!あまりにも綺麗な黒髪なのでつい見とれてしまいました。」
後ろでひとつにまとめているのに綺麗・・・ねぇ
「聞いてもいいかしら?」
「待ってくれ。まだ話が終わってないから、そちらの話は後にしてほしい。」
宰相サマが言ってるけど、
「宰相サマ、私にドラゴンの国に行ってほしいんじゃないの?だったら私が質問してもいいじゃない。」
「それは・・・だが、あなたに不快な思いをさせてばかりで頼めた事ではない。あなたの意思を確認してからと思ったのだが・・・」
「そうね。宰相サマは気遣ってくれるけど他はねぇ・・・」
はぁーっとため息をつきながら首を振る。
「調子にのるなよ!小娘がっ!」
マント男がこちらに詰め寄ってくるが、赤い髪の男性がマント男と私の間に立ち
「おっと、黒髪の乙女に手出しはさせないぜ?俺が相手をしてやるよ!」
「くそっ!」
「黒髪の乙女に近寄るなよ?」
赤い髪の男性が言うと、フン!っと王様の後ろに戻った。
「ありがとう。えーっと使者の方達も座って下さい。それで聞いていいかな?本当に私を連れて行きたいの?なぜ私なの?」
「ええ、あなたを是非とも我が国へお連れしたいのです。なぜあなたなのかという事ですが、我々の事情がありまして、それ以上は・・・」
「事情・・ねぇ。」
「別に痛い思いをさせるとか、不快な事をするわけではありません。あなたに害をなす事はありません。来て下さるだけでいいのです。」
うーん。行くだけなら行ってもいいけど・・・
「その事情がどういうものかわからないけど、私がすることってあるの?」
「いえ、特にないと思いますが我々もわからないので申し訳ありません。」
「その事情というものが片付いたら私はどうなるの?」
「我々では何も・・・」
「ドラゴンの国って、食事美味しいの?どんな味があるの?」
「食事ですか?我が国に来ていただければ召し上がれますよ。お好みの味があるかわかりませんが。」
いや、塩コショウ味以外があるか知りたいんだけど、男性だから肉が食べれれば味なんて気にしないのかもしれない・・・
「この世界の一般常識とか教えてもらえるの?」
「あなたが望むなら。」
答えてもらえない部分もあるけど、見下したりバカにしたりしないから行ってみようかな。ここにいてもまともな扱いされないしね。何かされたら逃げればいいし・・・魔法の練習しないとね!
「わかった。行くよ!貴方達の国へ連れて行って下さい。この国にいても未来がないもの。今すぐ行きましょう!」
「よろしいのですか?荷物など準備が・・・」
チッチッチ!心配無用!持ってきていてよかった。
「荷物なんてこのカバンだけだから大丈夫!それに部屋に戻りたくないし。あなた達の準備が出来次第すぐ行きましょう!さっさと行きましょう!私はドラゴンのところで待ってるから。宰相サマ、そういう事です。あなた達の言う事を聞く訳じゃないけどドラゴンの国に行くので貸し1つですよ?もっとも召喚に巻き込まれて帰れないのだから、貸し1つどころじゃないんだけどさっ!それと、私がドラゴンの国に行った事は内緒でお願いしますね?じゃあさようなら!」
さっさと部屋を出て行きますよ!