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ノックして入った部屋には、派手な服を着た中年男性と、煌びやかなドレスを着た、私達と同じ年齢くらいの女の子が2人、あとは、マントを着ている人が数人いた。
「お連れしました。」
「おお、召喚でき「お父様、私この方がいいわ?」
はっ?
「もうっ!勝手なんだから。じゃあ、私はこの方よ!」
なんだ?
「そうかそうか、決めたか。」
いや、何が?
「私達とお茶でもしましょう?さぁ、行きましょう!」
と、腕にしがみついて引っ張って行ってる。
嫌がる素振りも見せずに、嬉しそうに引っ張られていく係長改め近江と高校生その1。
こんな状況なのに、やはり可愛いければ、許せるんだな。
「決まってよかった。ご苦労だったな。」
と、席を立つ中年男性。
なんとなく、王様と姫様だろうと予想はつくが、私はどうなるんだ?
説明すると言って説明なしなのか?
「ちょっと、何がいいのか知らないけど、説明するって言って連れてきたのに、説明ないの?」
「貴様、不敬だぞ!」
マントの1人が怒鳴ってくる。
「不敬って、何が?誰だか知らないし、こっちの礼儀やマナーなんて知らないもの。私からしたら、勝手に異世界につれてきて、説明なしで、ほったらかしにしようとする無責任なおじさんにしか見えないけど?」
「お・・おじさん・・・。」
「説明しないで、ほったらかしにする前に、元の世界にもどしてよ!大体、召喚なんて誘拐よ!誘拐!あんた達犯罪者なのよ!わかってる?私にも、家族や友人がいるんだからね?突然いなくなったら、心配するし、探すんだよ?あんた達、自分の子供が突然いなくなっても、心配しないの?あの、2人だけでいいなら、私は関係ないでしょ?あんた達の勝手で、迷惑してるんだから、元の世界にもどしてよ!」
「そっ、それは・・別に、お前を召喚した訳じゃないっ!」
ふ・ざ・け・る・なっ!
「召喚してない?なら、なぜ、私はここにいるのかな?私が、来たくて、自分からここに来たとでも?あんた達が召喚したから、ここにいるんでしょうがっ?ふざけた事言ってないで、元の世界に戻せるの?戻せないの?どっち?」
顔を逸らして
「戻せない。」
と一言。
やっぱり・・・
落ち込むのはあと。
思いっきりため息をついて、
「謝罪もないなんて、どっちが不敬なんだか・・・ほんとに人間なのかしらね?ならば、この世界の常識やマナーを教えて。体罰する人やバカにしてくるような人はやめてね!キチンと教えてくれる人にして。覚えたら出て行くから。出て行くときに、5年は暮らせるお金を払ってちょうだい。それと、お世話になる間、人並みの衣食住をよろしく。それと、自由行動も認めて、誰か絡んできたら対処してね?わかった?わかったなら、書面にして、ハンコちゃんと押してね。」
書面を確認する。ハンコは本物かしら?
じーっと見ると、
<本物>
おおっ!出た。鑑定かしら?
ふむ。神様?が色々つけたっていってたから、それだろう。 大丈夫そうね。
「じゃあ、説明して。」
中年男性が、はぁーっとため息をついて、顎を動かす。
「では、私が。こちらにいらっしゃるのが、ロバート・リスボン陛下です。私は、宰相補佐のアルト・パートリッジです。今回の召喚についてですが、先程いた姫様2人の希望です。他国からの縁談を嫌がって、国内で探すにも、釣り合うお相手がいなくてですね。召喚ということになりました。
ご迷惑をおかけしました。」
「ほんと、迷惑だわ。どういう育て方したのかしら?そんな我儘許すなんて、親の顔が見てみたいわぁ。(チラッ)パートリッジさん?あなたも、迷惑かけられたんじゃない?」
・・・
「まぁ、いっか。関係ないし。じゃあ、部屋に案内・・あっ忘れてた。
この人の処遇も話し合ってね。じゃあ、私は、部屋に案内してもらえる?」
高校生その2を置いて、案内してもらおうとすると、
「僕も、彼女と同じでお願いします。」
と、言い出した。
高校生その2も同じ書面を貰って、一緒に部屋に案内される。
隣同士の部屋らしい。