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第15話 痴漢

電車を待っている間ずっと視線を感じていた。

その視線はどこからかはすぐにわかった。

少し離れた所から細身のサラリーマンが新聞を片手にちらちらとこっちを見てきていたのだ。

そんな事を気にしているうちに電車は到着した。

車内は少し混雑していて座る事は出来なかった。

降りる駅までは3駅ほどなので立ってドア近くの手すりに体を預けた。

荷物を足元におき車窓から風景を見つめていた。

一つ駅を過ぎた頃からお尻に何かがあたっているのに気がついた。

誰かの荷物があたっているのかと思っていた。

そのまま気にしないでいるとスカートの中に何かが入ってきた。

車窓の反射した車内に自分の後ろにあのサラリーマンが立ってにやついていた。

その時に痴漢だと気づいた。

スカートの中の手はお尻を触り動き回っている。

体は女でも中身は男のはずなのに動く事が出来ない。

恐怖なのか体がすくみ動けない。

その間も痴漢の手はお尻から内モモをなでまわしていた。

助けを求めようと周りを見渡したが誰も気づかないのか助けてはくれない。

二駅目が過ぎていく。

痴漢は勢いをましついに秘部を触ってくる。

純は感じた事のない恐怖と感覚が体を駆け抜ける。

助けて!!声を出しているはずなのに声が出ない。

手すりを掴んでいなければ立っていられない状態になった。

その時に女の子の声で

「あの人また痴漢してる」

「あの子可哀想・・・」

純は気付いた。

みんなは自分が痴漢されているのは気づいているが助けない事を

見て見ぬふり

自分の事ではない

無視

さっきまでの恐怖や変な感覚は消えた。

3つ目の駅についた時純はサラリーマンの胸ぐらを掴み駅に出て柱にサラリーマンを押し付けた。

「おい!!てめぇ!!」

純は全力でサラリーマンを押し付けた。

サラリーマンは何が起こってるのかわからず目が点になっていた。

「この痴漢野郎!!潰すぞ!!」大声で叫びながら純は完全に女であることを忘れていた。

サラリーマンは純の剣幕に何も言えずにただ立っているだけだった。

もめているのを駅員が気づいて止めに入る。

「どっどうしたんですか??」駅員は純とサラリーマンの間に入った。

純は胸ぐらから手を離さず

「痴漢しやがったんだよ!!こいつが!!」

駅員が間に入っても純の勢いは収まらなかった。

「わかりました。とりあえず場所を変えましょう!!」駅員も必死で純をなだめた。

純も少し落ち着いてた時周りが騒然となっているのに気付いた。

女の子が大声を出しながらサラリーマンを押さえつけていたのだから。

駅員に連れられ個室に移動して話をした。

少し時間が過ぎて警察が来て話をしてサラリーマンは逮捕された。

事情聴取や手続きなとが終わった時すっかり夜になっていた。

「はぁ〜」と大きなため息をついた駅から出た時に買い物した袋を電車に置き忘れたのを思い出した。

駅に戻ろうとした時に女子高生二人に呼び止められた。

声を聞いた時に電車の中にいた子だとわかった。

その子達は大きな袋を2つ。

純の荷物を持っていた。

「あの・・・これ電車の中に置き忘れてたので」

少しおじおじしながら渡してきた。

「ありがとう。どうしようかと思ったんだ」

荷物を受け取った。

「今日の格好良かったです。」

女子高生二人は凄く嬉しそうに話した。

「いやぁ・・・なんか頭にきちゃって(笑)」

女子高生はずっと誉めてくれた。

「あのさ・・・今日みたいに痴漢されてる子見たらさ、今度は助けてあげてくれない??」

女子高生ははっと驚いた顔をしたが

「今度からは勇気を出そうと思います」

女子高生と笑顔で別れた。

「やっぱり言えばわかってくれるじゃん」

話を済ませて帰る時に携帯を見ると真矢から電話とメールがいっぱい来ていた。

「やべっ!!絶対に怒ってる・・・」

真矢に勇気を持って電話をかけた。

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