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五話目



 街並みは中世ヨーロッパみたいな感じで、地面は石畳になっている。


 ちゃんと一枚一枚運んだのか、魔法で全て終わらせたのか疑問に思いながらも、足を進めて冒険者ギルドに着いた。


 周りの建物は大体木造だったりしたのだが、冒険者ギルドは石造りだった。

 荒くれ者が多いからなのか、ギルドがお金持ちなのかは分からないが、石造りだった。


 扉は、2メートル50センチ程あり、よほどのことがない限りは誰でも入ることができるようになっていた。

 扉は木で出来ている。

 

 そんな扉を開ける。

 壊すんじゃないかと冷や冷やしながら、扉を開ける。

 

 普通に開いた。余計な心配して損した。

 


 冒険者ギルドの中身の半分は、酒場になっていた。

 というかほとんど酒場だった。


 どこが受け付けかとキョロキョロしていると、酒場の方から声が掛けられた。


 「おいガキ。ここはお前の来るような所じゃねぇぞ?ギャハハハ。」

 

 テンプレ発生である。

 無視で良いよね?


 「あぁ!?無視してんじゃねぇぞ!」


 あ、受付あった。 


 「すいませーん。冒険者登録をしたいんですけど。」

 「分かりました。ではこちらの用紙に、名前、年齢を書いてください。文字が書けない場合は、私が代筆します。」

 

 耳が長いので、おそらくエルフであろう受付に声をかけた。

 金髪碧眼で、かなり美人だった。美人すぎて、目を合わすことに躊躇してしまった…。

 髪型は、ポニーテイル。


 …字は代筆を頼むか。どんな文字を書いていいか分からん。


 「代筆でお願いします。」

 「…?分かりました。お名前は?」

 「ヨシダ・チヒロだ。名字がヨシダだ。年は15。」

 「…名字があるなら、文字を書けるのでは?」


 やっぱり、名字があると、位が高いんだろうな。

 記憶喪失の出番。


 「いや、記憶喪失でな。俺がどこに住んでたっていうのが分からないし、字もどんなのか覚えていないんだ。」

 「…っ失礼しました!受付が詮索するのはよくないことでしたね。…これが冒険者カードになります。説明を聞きますか?」

 「あぁ、頼む。」


 結構話が長かったので、こちらで要約させてもらった。

 

 ・冒険者ランクはS~Gまである。

 ・冒険者ランクは、普通飛び級はできないのだが、素晴らしい功績をあげると、Gから一気にCだったり、Bにまで上がることができる。(前例は無いとのこと)

 ・冒険者は、ギルドにある依頼を受けてお金を稼ぐことができる。

 ・冒険者カードには、自分が倒した魔物の数が記載される。

 ・冒険者は、ギルド内に資料などを自由に読むことができる。

 ・ギルドは冒険者同士の争いには、一切関わらない。

  

 「まぁ、こんな感じになります。あ、言い忘れていましたが、貴方のランクはGです。」

 「分かった。あぁ、そうだ。この辺にいい宿はあるか?」

 「宿…宿…ギルドを出て右に曲がったところに、セセラギという宿があります。」

 「ありがとう。…ギルドが冒険者同士の争いに関わらないってことは、喧嘩売られたら好きにやっていいんだよな?」

 「えぇ。ギルド内ではしないでほしいのが本音ですが。」

 「なるほど。」


 そう言って、俺は受付から離れた。


 さっきの喧嘩売ってきた男は、律義に待っていてくれたらしく、扉の近くで仲間と一緒にニヤニヤしながら武器を磨いていた。

 ここは一体どこの世紀末なんだ。


 周りの反応は、「あいつまたやってるよ」みたいな、呆れられている感じだった。

 

 「よくも冒険者ランクBである、このガルドン様を無視してくれたな!」


 そんな周囲の視線も気にせずに、俺に話しかける。

 正直、自分に様をつける奴って気持ち悪いんだけど。


 「冒険者ランクBである貴方様が、俺如きに時間を割く必要なんてないと思うんだが。」

 「いや、意外とあるもんなんだぜ?いい感じに殴れる奴がいなくてなぁ、お前位しか。」

 

 …あぁ、なるほど、街中の奴じゃあ捕まるけど、冒険者なら問題ないと。


 「そんなに腹が立つことってあるのか?」 

 「あぁ!俺は昨日、冒険者ランクAになれるはずだったんだぜ?!」

 「何をしたんだよ。」

 「誰も信じてくれやしねぇんだが、俺達は昨日ドラゴンを倒したんだ。」

 

 仲間の男達も頷いている。まぁ、俺に喧嘩を売った可哀相な奴なんだし、最後まで聞いてやるか。


 「ほぉ。」

 「昨日、森に出かけたら、小さいドラゴンがいたんだ。…最初見つけた時は、死ぬ、って思ったんだが、よくよく様子を見たら寝てたんだよ。」

 「そこを忍び寄って殺したと。」

 「あぁ、話に聞いてたよりも小さかったから、楽に殺せたぜ!なぁ?」

 「あれは楽だったぜ。眠ってるところをザクっ、とな!」

 「持ってこれなかったのが、残念だったな。」

 

 その時、ギルドの扉が大きく開かれた。

 

 何事かと思えば、セネガルだった。

 話しかけようとも思ったが、顔が必死な表情だった。


 「大変だ!森から、ドラゴンが10匹飛んできやがった!」


 その声が、ギルド中に響いた。

 そして、俺の視線が、というか、ギルド中の視線が、俺の目の前にいるガルドン達に向けられる。



 …これ、間違いなくドラゴンの仇討ちだよね?

 

 

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