狂気と残った情け「第70話」
久しぶりです。 では執筆していきます。
「加減…? 生憎私は加減させるほど弱くはないのでなっ!」
狂気のオーラを纏い、余裕の一言を言い放つ詩織。 マリスはそんな彼女に対し、静かに身構えると叫び、地面を思い切り蹴り詩織の元へ走って行く。
「うおおお!」
「……」
詩織の間合いに迫るや否やマリスは、槍を取り出し構えると、そのまま槍を詩織に向かって突き出す。
だが詩織は、静かにマリスを睨み付けたまま、槍を片手で握りしめて止めた。
「何っ⁉︎」
「もう簡単に行くとは思うなよ…!」
驚くマリス。 そんな彼女に対して、詩織は静かに深呼吸をし一言呟き、槍の矛先を簡単にへし折ると、同時に目にも留まらぬ速さでマリスの脇腹を蹴りつける。
「ごあ…っ⁉︎」
「たあああ!」
詩織に脇腹を蹴り付けられ、怯んだマリス。 もう一度詩織は呼吸を整えると、マリスに向かって身構え、腹部を殴りつけ叩き飛ばした。
——詩織に叩き飛ばされたマリスは、そのまま城壁に衝突。 衝突と同時にレンガが少々崩れたが、マリスはゆっくりながらも、平然と立ち上がる。
「……」
「確かにな…簡単には行かないな。 然し私もここで引く訳には…行かないっ!」
立ち上がり静かに、詩織を睨みつけるマリス。 そのマリスに対して詩織は近寄る事なく、離れた距離から口元の血を拭いつつ、真顔のまま黙り込んでいる。
——マリスは詩織に向かって高々と叫ぶと、光の槍を作り出し深呼吸をしつつ、詩織のいる前方へと槍を構え…
「この刃に託されたジェノサイド討伐の希望がある限りなぁ!」
「…そうかい」
マリスは青白い弾幕を、詩織に向かって放ちながら、自身は槍を構えて突撃して行く。 詩織は静かにその場に身構え…
「だったら…ここで終わらせてやる…」
「やれる物ならなぁ!」
自身に向かって来る無数の青白い弾幕。 詩織は風のように、軽やかにかわしつつ、向かって来るマリスを待ち受ける。
マリスは一言叫ぶと、テレポートをし、詩織の間合いへと一気に詰め寄る。
「ジェノサイドォォ!」
「マリスッ!」
マリスが向けて来た光の槍、そして対抗する為に握りしめた拳が、衝撃を発しながらぶつかり合う。
だがマリスの槍の温度の高さに、詩織は火傷し拳を一時的に引っ込める。
「隙を見せたなぁ!」
「っ!」
詩織の拳を引っ込めた行動。 これにマリスはニヤリと笑うと、槍の突きの蓮撃を目にも止まらぬ速さで詩織に叩き込む。
詩織は火傷した片手を含めた両腕を盾にして、防ごうとするが…
「どうしたどうした⁉︎」
「っ…くっ…!」
痛みと伴って来る熱さ。 詩織の体は少しずつ、傷ついて行きながら、後方へと後ずさりさせられて行く。
それでもマリスの蓮撃は止む事はない。 そこで詩織が取った策は…
「…だあああ!」
「何⁉︎ コイツ馬鹿か⁉︎」
両腕を目の前から退けての突進。 当然、蓮撃を身体にまともに喰らうが、これがマリスの間合いに詰め寄るきっかけにもなり…
「うおおお!」
「…!」
詩織は宙に浮いていたマリスの頭を殴りつけ、地面へと叩き落とすと、そのまま追撃し…
「今度はこっちの番だろうがっ!」
倒れこむマリスが立ち上がる前に、彼女の前に立ち塞がると、大きく叫び拳のラッシュを叩き込んで行く。
マリスは仰向けの状態で、止めようがない。
「うおおお!」
「ぐっ…がっ…ふざ…ける…なっ!」
拳のラッシュをまともに喰らう中で、マリスは詩織に向かって、身体全身から衝撃波を発し、詩織を少し怯ませる。
その間にマリスはゆっくりと立ち上がり…
「だあああ!」
「させるかっ!」
光の槍を思い切り、詩織に突きつけて来た。 詩織は今度は両手で槍の矛先を止めるが、手から煙が上がって来る。
「さっきのように行くとは思うなよ…! ジェノサイドォォ!」
「ぐっ…がああっ…!」
両手から熱いという感覚が、徐々に無くなってくる。 焼かれる音が手元から聞こえる中、詩織はマリスにゆっくりと押されて行き…
「どうした…? これで終わりにしてやろうか…っ!」
「熱さごときで…っ! 俺が死ぬなんて…」
詩織の背中がついに城壁に達する。 簡単には穴は開かないが、時間の問題かもしれない。 マリスは余裕そうな表情で、詩織に語りかける中詩織は…
「何…⁉︎ そんな馬鹿な⁉︎」
「思うなァァ!」
光の槍に徐々にヒビを入れて行き、マリスも異変に気付き驚く中、大きな叫びと共にマリスの光の槍の矛先を粉砕した。
「槍をへし折った…⁉︎ コイツ…!」
「はぁ…はぁ…! っ⁉︎」
槍を折られたマリスは驚きを隠せない。 だが何かしらの危機感を感じたのか。 無数の青白い弾幕を、詩織が反撃する隙も与えないように放って行くが…
「はあああ…っ⁉︎」
「マリスッ!」
「どうやって弾幕を…⁉︎」
青白い弾幕を放ち続ける、マリスの前に突如現れた詩織。 マリスはただ驚いていると、今度はその姿が自分の足元へ。
「っ⁉︎」
「だあああっ!」
(しまった…まさか飛んでいたのはダミー⁉︎)
先程飛んで見えた、詩織の姿は実はダミーで、本物は足元に構えていた。 詩織は拳に気を纏わせると、思い切りの力でマリスの腹部を殴りつけ、吹き飛ばした。
吹き飛んだマリスは、そのまま城壁へと叩き付けられ、すぐさま彼女が立ち上がろうとすると詩織が目の前に立っており…
「っ⁉︎ こ、コイツ…」
「………」
「何だ…! 情けは要らん! トドメを刺せ!」
マリスは当初目の前に詩織が立っていた為、死を覚悟。 だが、以外にも彼女は何もする事なく真顔のまま立っているだけ。 情けは要らないとマリスは叫んでいると…
「やめだ。 情けどうこうより、おまえが死ねばアイツが悲しむ」
「貴様ッ!」
「それに俺はもう…ジェノサイドじゃねぇ…よ」
やっとの思いで立ち上がったマリス。 そんな彼女の思いを踏みにじるかのように、詩織はマリスに背中を向けるとそのまま歩き去って行く。
情けをかけられたという点に関してはマリスは屈辱だったが、どこか詩織の背中からは哀愁を感じざるも得なかった…
少し、を増やしてみました。 どうかは分かりませんが、不評ならコメント欄に書き込んで下さい。 では




