不気味な盗賊の主。フェネック『6話』
トラスの店からまた歩き始めた2人を襲ったのは、犬族の盗賊であるランスとレンスだった。斬りかかるレンスに対して香織は停戦を要求。ランスはこれを了承したが、レンスは拒否
然し香織は説得をしランス兄弟を盗賊以外の道へと歩ませる…
「今日も何処か行くの?香織。」
「あっ、マイシスさん。何だかトリスさんが来て欲しいって」「そう…なの」
早朝。香織はマイシスの家から早く出ようとした所、起きていたマイシスに声を掛けられる
理由を尋ねられ香織はトリスに呼ばれたと笑顔で答えた
「大丈夫です。そんな怪しい事じゃないですから」「そう…ならいいんだけど…」
「シルフィにも言って下さいね。では行って来ます」「行ってらっしゃい…(…)」
香織は気づかなかったが、マイシスから一瞬、何か怒りのような殺気のような物が感じた…
「えっと…トリスさんはどこかな…」
エーレンスの街に出た香織は読んだトリスを探す。
すると住宅街の一角、その壁にもたれ掛かるトリスがいた為、声を掛けた。
「トリスさーん」「嬢ちゃん。呼んで済まなかったな」「大丈夫です。それで…」
「用件だったな…お前さんランス兄弟に何かしたか?」
「何かはしてないです。出会いはしましたけど…」「そうか…ちょっと来てくれ」
トリスから、まず聞かれたのはランス兄弟の事。何故知ってるのかはさておき、香織はトリスにある場所に案内される。
「…蜘蛛の巣?…って何これ⁉︎」
トリスが待っていた先の路地裏。
人が通れない程の蜘蛛の巣が張られており、香織はあまりの事に唖然とする。
するとトリスは香織にある事を言う。
「ランス兄弟はこの蜘蛛の巣と関係のある奴の部下だ。…改めて聞く何かしたか?」「話しはしましたけど…」「…」
トリスは腕を組み、「だったら何故?」という思いが出てくる。訳の分からない香織はトリスにそれが何かを聞く。
「一体どういう事なんですか⁉︎」
「お前さん…フェネックって奴知ってるか?」「フェネック…?動物ですか?」
「知らないみたいだな…よく聞け。」
フェネックはランス兄弟の主であり盗賊を束ねる者。主の間は蜘蛛の巣だらけの蜘蛛だらけらしい。香織は少しゾッとする
「対話とか行けなかったんですかね⁉︎」
「いけない事はねぇが…お前さん…奴に気に入られた可能性がある」「はい?」
「これはあいつなりの挨拶…と警告だ」
「挨拶であり…警告?」
「この巣を取っ払えば攻撃するという事だ。逆にこの先に…奴がいるという事」
トリスの言葉に香織は息を呑む。
この異世界に人間は珍しい、さらに部下であるランス兄弟を黙らしたとなると、目を付けられても仕方ないかもしれない
「フェネックって人がこの先にいるんですか⁉︎」「いるな。なんなら歩くか?」
「嫌です嫌です!何で危険な所に行かなくてはならないんですか⁉︎おかしいです!」
多少ながらトリスの目が輝いているように見えたが、当然ながら危険な所に行きたくないのが人の本性である。
すると、先から不気味な笑い声がーー
フフフ!アハハハハ!アハハハハハハ!
「ひいいい!」「歓迎してるだろ?」
「してる訳ないです!あれ殺しに来てる笑い声ですよ!」「何故そう言い切る?」「何故って…あっ…返答聞く前に手を引っ張らないで〜…」
もしかしてら単純にトリスが行きたいだけかもしれない。その標的は香織である事で、彼女が呼んだと言う事だ。
トリスに手を引っ張られ、蜘蛛の巣の先を歩くと…不気味な声がまたしても聞こえて来た。然もそれはさっきの声で…
「いらっしゃい?フフフ…」「ひいい!」「怯え過ぎだろ」「だって…!」
姿は見えないが、明らかにこちらに話しかけて来てる。
地面も既に蜘蛛の巣で、すぐに逃げ帰れないようにしてるのだろう
「可愛い子ね?…隣は最悪だけどね」
「おい…俺はおまけ扱いかよ」
「当然よ。用があるのはそこの女の子」
「!(こっち見てる…?徐々に姿が…)」
コツ…コツ…とブーツのような音が響き渡り、声の主が姿を現わす。
香織の顔が青ざめる。声の主は女性。
然し驚きはここではない。手が蜘蛛だったのだ。手の形が2つだけで合計8つある
「やっぱり蜘蛛だぁぁ…」「魂抜けてるぞ」「抜けないものも抜けますよ!」
「フフフ…初めまして私はフェネック。
貴女…私の好みよ…フフフ…」
フェネックは香織に不気味ながらも微笑む。その時、背後の道が蜘蛛の巣によって防がれたのが見て分かったのだった…
案外疲れなかったので、書きました。
用事は草野球です。かなり落ち着いて書けたんですが…どうでしょう?