乱暴な犬と心優しき人間 『5話』
トリスとトラスに捕まえられそうになった香織は、マイシスの提案によりシルフィも同行させる事となった。
街の名はエーレンス。そこの商店街にて店を出してるトラスと再会し、トリスの言った言葉を胸にしまうのだった…
「うおお!」「え?ちょっと危な!」
レンスの攻撃を無意識のうちにかわして行く香織。見ていたランスは何故当たらないのかを不気味に思う。
「おかしい…レンスはかなり強い方なのだが…」「そなの?」「そう…ん?」
「くそ!この!当たれ!」「…え?」
レンスは何度も香織に斬りかかるが、まるで当たる様子がない。香織は不思議に思う内に異世界に入る前を思い出す。
(貴女に読み取る力と防ぎきる力を…)
「(テレサさんが言ってたのって…)」
「くそ!何故だ⁉︎」「(この力の事⁉︎)」
テレサが言ってた防ぎきる力と未来を読み取る力、分からないのなら試せと言っていた。香織は何となくだが理解した。
「手伝うぞレンス!」「兄者!助かる!」「あの…」「ん?何だ人間!」
「近所迷惑なのでやめません?」「え」
ランスが加勢したその時、香織は何と停戦を要求した。
周り全員が迷惑そうにこちらを向いている。馬鹿馬鹿しくなった2人は剣を降ろす
「お姉ちゃん凄い!説得するなんて!」
「私何もしてないんだけど…」「近所迷惑か…面白い言葉を言うな…人間よ。」
「天谷です」「何?」「天谷香織。そっちが名乗ってくれたので挨拶しますね」
弟のレンスはキョトンとしている中、兄のランスは思い切り笑う。
何故だか分からないが香織達を馬鹿にしている感はない
「どうやら…相手を間違えたようだな」
「兄者!」「見ろレンス。彼女は最初から敵対心など無かったのだ」「何ッ⁉︎」
「ふぅ…」「怖くなかった?」「怖い」
ランスは剣をしまい、こちらに近づいて来る。何かしようと言う感じは見当たらなく、ランスは香織に手を差し伸べる。
握手の要求、ランスは改めて香織に聞く
「心優しき人間よ。改めて貴女の名を聞かせてくれ」「天谷香織です。それで…」
「シルフィ!」「天谷とシルフィか…」
「兄者!金を盗むんだろ⁉︎こいつらから!」「逆に罪悪感が残るぞ。レンス」
ランスは香織と握手を交わす。レンスは納得していないようで、ランスに反論する
傷付ける方が罪悪感が残るとランスはレンスに言う。然しそれでも納得が行かなく…
「兄者!俺は絶対納得しねぇ!コイツは恐らく反撃出来ねぇ臆病者だ!カモじゃねぇか!」「私達カモじゃないもん!グワグワ!」「そっちじゃないと思う…」
「うるせぇ!死ねー!」「ほえ?」
カンーー!レンスの刃を香織は止める。
「レンス!」「ランスさん!…任せてください」「分かった…貴女に任せよう」
「…金を盗む理由は何ですか?」「生活の為だ!」「本当に?それだけですか?」「何が言いたい…弱い人間!」
香織は元々、攻撃技を持ってなければ反撃する気もない。
だから言葉にて気持ちを伝える気でいた
「盗み常習犯は…生活に困ってるだけじゃなくて…自己アピールしようとしてるんです」「何⁉︎」「盗んだら目立ちますからね。それが癖になって何回も繰り返すんです」「目立って何が…」
「別の方法はないのですか?レンスさん」
侮辱するつもりもない。彼女は催促と言う形からレンスに一歩だが距離を縮めていく。強制はしないやり方で…
「ないに決まってる!」「決まるんですか?お兄さんと一緒にいても?」「⁉︎」
「まだやり直せますよ。あのお兄さんとなら。だから…意地を張るのはやめましょう?」「……兄者」「俺は構わない」
レンスは兄のランスの言葉を聞き、持っていた剣を再度見つめ直し、鞘にしまう
そしてレンスは香織に尋ねる
「別の方法は何だ…人間」「お兄さんと一緒に探して下さい。私には分からないです」「…無責任な奴だ」「フフフ…」
「感謝する天谷」「気にしないで下さい」
ランスの言葉に香織は笑顔で答えた。
レンスからの感謝は無く、無言で去ったものの代わりにランスは2人に手を振り去る…
「犬族って乱暴な方なのに…凄いね」
「話が通じたら種族も関係ないからさ」「じゃあモンスターも?」「そうだよ」
外が暗くなって来ているのを知り笑顔でマイシスの家に戻る。そして…
「へぇ…2人が新しい道に進んだ…ねぇ?
名前は…そう。天谷香織って言うんだ。会って見ても面白そうかも…フフフ!」
2人の家からかなり離れた路地裏にて、
笑う不気味な人物。この人物は一体何者なのだろうか…
明日、用事があるので書けないかもしれないため、今日書いときます。こんな感じで大丈夫かな?不安はありますが…まあいいでしょう…