心と身を包み込む愛情 [2話]
異世界行きを決めた香織。テレサは香織に[阿世]は能力でもあると告げる。テレサは香織に[耐えきる力]と[未来を読む力]を授け異世界へ送り出したのだった…
「ねえ…私をどこに…」
「お家!」「お家⁉︎え?え⁉︎なんでっ⁉︎」
強い力で香織の手を握って離さない少女から香織はどこに連れて行くか聞く。
すると、彼女は自分の家と答えた。
少女はそのつもりだが香織はまるで意味が分からない。理由としては[困ってるだけ]ただその理由しか把握出来ていない。
「お姉ちゃん困ってるんでしょ?ねえ?」
「いや困ってるよ!でもお嬢ちゃんの家に行くと全然繋がってないよ!」
「つまんねぇ事聞くなよ!」「WHY⁉︎」
いきなり家に行って見えるのは追い出される未来。見なくても察せるだけに行くのだけは香織としては回避しないと行けない。そうこれは決定事項なのだ。
「お姉ちゃん暴れないでよー!そんなに嫌?」「他人の家に連れてかれるこちらの身にもなって⁉︎後、力強っ!イタタ!」
体格は全然違う、恐らく力も違う。なのにだ、彼女の手を香織は離せられない。まるで力士と一般人が握手してるような物で、絶対離さない意志が何故か伝わる
「あっ、着いたよー」「(着いてしまった…ヤバイ…何だか最悪の未来が…)」
「お姉ちゃん⁉︎白くなってるよ⁉︎」
「ナンデモナイナンデモナイデスヨー」
どんだけ絶望しても、少女は手を離してくれない。その内香織は[ああ…もうなんでもいいや]と多少ヤケクソになっていた
ーーーーガチャリ…ーーーー
扉を開けると外国に普通にありそうな一軒家の外見。椅子にその母はいた。
「あら?お帰りシルフィ」「ただいま!お母さん、困ってる人!」「どうもー…こ、こんにちはー…」「顔が結構引きずってるけど大丈夫?」「大丈夫…です」
少女と同じく猫耳で、大きなシッポが見える。子供であるシルフィと言う少女にはシッポは無さそうには見えるが…
「手洗って来るー」「(あっ離してくれた)」「はーい、ごめんなさいね我が子の我儘に付き合ってくれて」「いいですよー…それじゃ私はここでー…(退避!)」
少女が手洗いに洗面台に行き、香織の手を離す。何となく危機感を感じた香織は少女の母に挨拶すると後ろを向きドアノブに手を…
と思ったのだが母からこんな一言
「宿はあるの?」「(グサ)…あります!あります!おっとそr」「ないんでしょ?」
「…はい」「…泊まって行く?」「え」
「フフ…こっち来て」「(これヤバイ…)」
優しさ溢れる笑顔でも今の香織には般若が笑っているように聞こえてしまうが、少女の母にゆっくりとだが近づく。
するとだ。香織は彼女に突如として抱きしめられる。理由もないし分からない
だが抱きしめられているのが事実である事…それだけしか理解出来ない。
「あ…あの…」「辛い経験したね貴女」
「え?どうし…」「目よ。如何にも人を信じたくない目をしてる」「目…ですか」「戻っ…(何で抱きしめられてるの?)」「(あの子めっちゃ見てる…)」
長い手洗いから戻った少女は邪魔はしないと部屋に戻る。更に彼女は香織の頭を撫でて話を続けて行く。
「驚く?初対面でこれだけスキンシップを取ったら」「はい…」「それだけ敵意のない証拠。貴女はもう傷付かなくてもいいの。いる間だけでも辛い思いはさせないから」「何が…分かる…ですか…」
この人が香織にあった事なんて知るよしもない。でもだ、自分を受け入れ、なおかつ包み込んでくれようとしてるのは…紛れもない事実。
「辛かった?信じてもらいたかったよね」「(何で…そんなに理解してくれるの…)私の何が…」「全部」「全…部?」
「見れば辛い経験をしたのは分かるから貴女を私達は受け入れるわ」「……」
忘れかけていた情と優しさが香織に、痛い程突き刺さる。かりそめの時間でも構わない。香織は…彼女に心を許した。
「う…うわあああ…!」
情けないと思えど初対面の彼女の肩を大きく濡らす程泣いた。自分でも馬鹿じゃないのかと思うぐらいに…
ーー20分後
「自己紹介まだだったねお姉ちゃん!」
「えらく唐突!別にい、一日だけ…だからいいよ…」「えー⁉︎ずっといてよー!」
「ずっと⁉︎」「アハハ…折角だから言いましょうか。この子はシルフィ。私の子」
「シルフィでーす!よろしくルビィ!」
ルビィってなんぞや…香織はそう思ったが口には出さなかった。そして今度は母の方が挨拶する。
「私はマイシス。この子の親よ」
「天谷…香織です…」「なっがーい!」
「仕方ないよね⁉︎」「フフ。よろしくね香織」「(いきなり呼び捨て⁉︎)〜っ!」
「顔赤〜い!」「うるさーい!」
少しの間だが、マイシスの所に世話になると決めた香織。彼女の異世界生活はまだ序章。転機が来るのもまた先の話…
文章ってやっぱり難しいですね(白目)
今回から第1部。どこまで行くかは未定ですが完結させます。絶対(使命感)