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俺の部屋。
「どうでしたか、初仕事は。」
玲子の部屋から出て廊下を歩いていると、ケントが声をかけてきた。
「仕事っていってもそんなたいしたもんじゃないですし、できましたよ。」
「そうですか、それはよかった。」
ケントは微笑をこちらに向ける。
「そういえば、なんでここにいるんすか?」
ケントも仕事なのだろうかと思ったが、食事はもっていない。それに守と逆方向から歩いてきたのだ。
「ちょっと、渡し忘れたものがありましてね。ただここじゃなんなので、あなたの部屋で。」
「はぁ。」
ーー-----
「はい、どうぞ。」
自室に二人で入ってすぐ渡されたのは、
「…なんすかこれ?」
おかしな形状をしているものだった。
鉄球を何度も地面に打ち付けてわざと変形させたような。
守の人生の中で初めて見るものだった。
「鍵です。」
「鍵?なんの?」
「『世捨て人』についてる首輪を外すためのものです。職員に渡すのが義務付けられているんですよ。」
「はぁ。」
なんで鍵なんかが必要なんだろう?
「もし施設内で反乱が起こって職員に首輪がつけられたときのために…と曖昧な理由ですよ。深い意味はないです。」
「心読むのやめてもらっていいですか?」
ほんとびびる。
「まあそういうわけで、どうぞ。」
歪な鉄球が投げ渡される。
手のひらにずしんとした重みを感じる。
なぜかそれがとても気持ち悪かった。




