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玲子の部屋。


仕事は単純だった。


一日三回食事を運ぶだけ。


それ以外は何をしていてもいい。


わざわざ山の中にやってきたのだから、過酷な労働を課せられると思っていた守は拍子抜けしてしまった。


部屋の壁に備え付けてある施設全体の地図を見渡す。


この施設は大きくAフロア、Bフロア、Cフロアの三つに分けられている。


どうやら守のいるAフロアで調理室で食事を受け取り、「世捨て人」のいるBフロアにもっていけばいいらしい。

Cフロアの説明はケントから受けなかったが、説明がないということは守には関係ないフロアなのだろう。






調理室から一斉に出される食事のうちの一つを受け取り、昨日も尋ねた部屋に向かう。


自分の食事は後回しだ。





こんこん、と二回頑丈そうな扉をノックする。


扉の奥から「はい」と控えめな声がした。


「昨日の岡部っす。ごはん持ってきました。」


「あら、ありがとう。どうぞ。」


かちゃりとドアが開き、やわらかな笑顔が守を出迎える。


やはりそっくりだ。


「中にお入りになって?」


「いや、でも…。」


「老いぼれのおしゃべりに付き合ってくださいよ。」


変わらず笑顔のまま、しかし少し哀しみを声に滲ませてそう言った。


「そ、そういうことなら少しだけ。」


守としても目の前に立っているのがどんな人なのか興味がないわけではなかった。


守は玲子に勧められるまま、部屋の中に足を踏み入れた。



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