THE・山。
施設へと向かう車の中で、守は長々と男の説明を聞かされた。男は自らをケントと名乗った。
要約すると、こうだ。
・仕事:入居者の世話。子供からお年寄りまで。
・今回守が担当するのはお年寄り。
・一度施設内に入ったら基本外出不可。
・よって、当然住み込み。(親にはケントから連絡済み)
そして、一番不可解なのは、入居者は入居時に首輪をつけることを義務づけられていることだ。
なんの意味があるのかは分からないが、質問してさらに説明が続いたら鬱陶しいのでスルーした。
どうもケントはおしゃべり好きらしい。明らかに説明と関係ないことまで話していた。
そうこうしているうちに、車はある山の前で止まった。
「着きましたよ。」
「あ、おう。」
地面に足をつける。
見渡す限り山しかないところだった。
「あんまり町の近くにつくると土地代がかかるので、こういうところになっちゃうんですよね。」
「そっすか。」
正直興味はない。働けるならどこでも良い。
施設は山の上にあるというので、二人して山を登る。
道らしい道というものはなく、歩くのは楽ではなかった。
運動不足の体に山は堪える。
ケントも流石にしんどいのか、登っている間は一言も話さなかった。
一時間ほど経っただろうか、ようやく建物らしきものが見えてきた。
「あれが、守さんが今日から働くところですよ。」
ケントが上気した顔でこちらに向かって微笑みを貼り付けた。
山の上にあるというのでもっと古いかと思っていたが、思っていたよりも綺麗だった。
しかし真っ白な豆腐のような外見なので、特に「うわーすげー」という感動もなかった。
二人は疲労の溜まった体を引きずって、施設の中に入っていった。
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