おばあちゃんと孫。
こんこん。
控えめなノックが部屋に響く。
(あら、マモが来たのね。)
玲子はちょうど寝巻きから支給された服に着替えているところだった。
どちらも見た目はそこまで変わらないのだが、やはり朝は新しい服を着たい。
「今着替えているから、ちょっと待ってて。」
うん、という声が扉の向こうから聞こえた。
玲子は安心して、寝巻きの上を脱いだ。
がりがりに痩せた青白い腹が露わになる。
新しい服を手にとって、少し固まった。
(最近とても痩せた…。それにこうして立っているのもつらいし。)
今持っているのは一週間前、つまりこの施設に来た当日にもらった服と同じもの。
サイズは変わっていないはず、なのに。
玲子は上着に頭をつっこみ、服を着る。
ちょうどよかったはずのものが、今ではぶかぶかだ。
なぜこんなに痩せてしまったんだろう。心当たりがない。
そういえばマモが待っているんだ、と慌てて下も着替える。
「お待たせ、どうぞ。」
そういうと部屋の扉がかちゃりと開き、マモが入ってきた。
いつも通り机に食事を置く。
でも、何かがおかしい。
「マモ。」
「なに、おばあちゃん。」
「どうしてずっと顔を背けているの?」
マモは部屋に入ってからずっと私の方を見ない。
「これは…、なんでも、ないよ。」
「嘘おっしゃい!」
マモにつかつかと歩み寄り、頬を両手で包んで顔を自分の方へ向けさせる。
泣き腫らしたマモの顔が、そこにはあった。
「マモ…?一体何があったんだい!?」
「おばあちゃん…。」
「おばあちゃんの手、あったかい…あったかいよぉ…。」
そう言いながら、かわいい孫は目の前で泣き始めた。
私はマモになにが起こっているか分からず、呆然とするほかなかった。




