第82回フリーワンライ(耳を擽るテノールボイス)
第82回フリーワンライ企画参加投稿です。
使用お題
失ったはずの光に照らされ
廃墟とピアノ
感情的
耳を擽るテノールボイス
森閑とした雨の中で
俺の名前は思井束菜。
知ってる人はこんにちわ。
知らない人は同じ作者が書いている第80回フリーワンライを読んで欲しい。
そんな俺は今日は休みとあって幼とのデートだ。
居場所は彼女が決めさせて欲しいとのことで今回は任せてある。
さて・・・もうすぐで集合時間の5分前になるのだが・・・
「思井さーーーーん!!」
「あっ!」
来たようだ。
俺を見つけるなり走ってこっちにくる幼。かわいい。
ちなみに俺の彼女だ。いいだろう。羨ましいだろう。
(リア充爆発しろ!!!)
黙ってろ作者!!
「ハァハァ・・・ごめん・・・待ったぁ・・・?」
少ししか距離は走っていないがもう肩で息をする幼。
やはり女の子だ。
・・・それでも、俺のために走ってくれたと考えると・・・
・・・やべぇ、照れる・・・
「いや・・・まだ五分前だし・・・」
「ほんとに・・・?良かったぁー・・・待たせちゃったのかと思ったよぉ」
にへらっと笑っていう幼。
うむ。実際は30分前から待っていたけどな!!
待ってはいない!!!
「ところで・・・幼今日はどこにいくんだ?」
可愛らしい幼の事だ。
きっと水族館とかプラネタリウムとか動物園とか可愛いカフェとか・・・
幼の見た目通りきっと可愛いところなんだろう!!
「ん?えっとね・・・心霊スポット!!」
・・・?
聞き間違え・・・だよな・・・?
「ごめん幼。俺耳が悪いみたいだわ。もう一回言って」
幼は言った。いい笑顔で。
「心霊スポット!!」
前言撤回。人は見た目によらないのである。
「こ・・・ここは・・・」
今俺の目の前にそびえ立つのはいかにもお化けがいますよという雰囲気の廃墟。
大きな家の中もう何年も放置されているのであろう植物が家に絡まっている。
「それじゃ、行きましょうか!!」
帰りたい。めっちゃ帰りたい・・・
けど・・・
幼のこの笑顔をみたら帰れない・・・
「ハァ・・・しかたねぇ・・・行くか・・・」
「はい!!」
俺の言葉にとびっきりの笑顔で返答する幼。
まぁ実際お化けなんてでないだろうし・・・
・・・
な?作者?
(・・・)
なんか答えろよ!!
(さっき黙ってろって言ったじゃん!!)
子供かよ!!
なんだかんだで、屋敷に入った。
ヒューーーバタン!!
「「っっ!!」」
俺たちが廃墟に入った途端に扉が閉まる。
「う・・・嘘だろ!?開かない!!」
さすがに・・・
この作者に限っておばけなんて・・・
「あのー・・・」
「思井さん!!あれ!!」
幼に呼ばれて幼が指差す方を見る・・・
と、光が上から下へと流れていた・・・
「なんだ・・・これ・・・」
「きれい・・・」
「あのぅ・・・」
思わず見とれてしまう。
なんだろう。
言葉では伝えにくいが・・・敢えて言うなら。
光の雨・・・だろう。
「あのぅ!!!!!」
「「!?!?!?!」」
いきなり声を掛けられびっくりする。
心臓に悪いって・・・やめろよ作者・・・
(え?俺じゃないけど?)
えっ
(あ、姿見えるようにするねー)
えっ!?!?
「あ、ど、どうも・・・小場と申します」
俺の目の前にはメガネをかけたやせ細った男・・・
だが・・・だが・・・
足がない!!
「で・・・で・・・」
「?」
「思井さん?」
「でたあああああああああああああああああああああ!!!」
(幼にも見えるようにしました)
「ど・・・どうも・・・小場です・・・生前は・・・ピアノサークルに入ってた学生です・・・」
ぺこり、としながら言ってくるお化け。
なんだよお化けって全然物腰低いじゃねーかよこんなんにビビるやつとかいんのかよ。
「小場さんは・・・どうしてそのような姿に・・・?」
幼の質問。たしかに気になる。
てか小場って名前・・・
作者またおばけのおばを取ったとか言わないよな・・・?
(ギクッ!!)
図星かよ!!!
「私は先程も言いましたがピアノサークルにいました・・・その活動で他校に交流を図りにバスでみんなと向かっていたのですが・・・交通事故に合い・・・そのまま死亡、です」
眉を八の字にしながら言う小場。
だが、気になることがある。
「でもよ、それでなんでそんな姿になったのか分からないのか?」
「思井さんの言う通りです。お化けになってしまったのには、何か理由があるのではないのですか・・・?」
幼が俺の言葉に同調してくれている・・・!
「はい・・・それは・・・」
真剣な表情になって言う小場。
ここは大事なところだろう。
さて、どんな悩みか恨みが・・・
「姫のピアノを、もう一度聞きたいのです!!」
「・・・は?」
・・・キキマチガエカナー・・・
幼も呆然としている。
仕方ないもう一度k
「姫のピアノをもう一度聞きたい!!」
「質問する前に答えんな!!」
まぁ要するに・・・
「ピアサーの姫のピアノが聞きたかっただけかよ!!」
・・・
きまずい沈黙が流れる。
「あのよ・・・俺らを閉じ込めたってどうしようもないだろ・・・?もう帰してくれよ・・・」
こんな奴らがお化けだったなんて・・・
周りに言っても信じてもらえないだろうし・・・
くたびれぞんだ・・・
「いえ、貴方たちなら私たちを成仏させてくれると信じています」
・・・はぁ?
「思井さん、きっと貴方なら・・・」
「っ!!たしかに!思井さんなら!!」
幼まで混ざってきやがった!?!?
「いや・・・期待してるとこ申し訳ないけどよ・・・」
なぜか俺を期待の眼差しで見ている小場と幼に真実を告げる。
「俺・・・ピアノ引けないんだが」
すると、2人(?)は驚いた様子で・・・
「ええええええ!?!?幼さんピアノ引けないんですか!?」
ちょっと待って幼は逆に俺がピアノ弾けると思っていたの!?
「ツッコミで周囲の環境を変えられる力を持つ思井さんでも・・・不可能だと・・・!?」
「お前はなんでそれを知ってるんだ!!」
そして作者はいい加減その話を書いてくれ!!
(だからそういうメタな発言はy)
この流れはもういい!!
「そ・・・それじゃ私はどうすれば・・・もう成仏できない・・・?」
感情的になったのか小場の様子がおかしい。
体中を黒いオーラがまとい始める。
「お、落ち着けって・・・!」
「これが落ち着いていられるかぁぁぁぁぁ!!!」
ひぃぃぃぃいぃぃ!!!
お化け怖えええええ!!!
こんなんにビビらないやついんのかよ!!!
「お、思井さん・・・!このままじゃまずいです!!!」
「幼・・・!そんなこと言ったって・・・!」
こんな状況じゃ・・・と言い返そうとする所である声が聞こえる。
「フッフッフ、お困りのようね〜」
「「こ、この声は・・・!」」
「貴方のアイドル、丘魔参上、よ〜☆」
「やっぱりお前かああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
てかどうやって来たんだこいつ!?!?
「やぁねぇ、束菜のピンチに私有り、よ☆」
「心の中まで読みやがった!?!?」
「・・・」
俺と丘魔の様子を見て落ち着いたのか唖然としている小場。
「ここは一旦、落ち着きましょ☆」
丘魔の言葉に完全にわれに戻った小場は、おとなしくへたりこんだ。
「あ・・・あの・・・!」
突如幼が手を上げる。
「私・・・上手くは引けませんが・・・ピアノ弾きます!!」
「えっ、大丈夫なのか幼!?」
「上手くはないですけど・・・楽譜を読むくらいならできます!」
いや十分すげーよ・・・
というツッコミはせずに置く。
周囲も賛成のようだ。
幼はピアノの椅子に座り・・・演奏を始めた。
「へぇぇ・・・幼・・・やるな・・・!」
幼は必死そうな様子だが、確かにしっかりとピアノを演奏している。
流石は幼だ・・・!
これなら小場も・・・!
「うーん・・・彼女の演奏・・・確かにいいんだが何かが足りない・・・」
・・・何か?
「何かって・・・何だ?」
「うーん・・・そういえば彼女はいつも歌ってくれていた!!」
「歌声まで追加しろと!?無理に決まってんだろ!!」
幼の必死な様子を見ても、幼が歌える程の余裕は見られない。
「んふっ、私がいるじゃな〜い☆」
っ!!
「そうか!!お前がいたか!!いつもは気持ち悪い高い声だと思っていたけど今なら最高だ!!ナイスだ!!ありがとう!!」
「・・・私を罵倒したいの・・・?褒めたいの・・・?どっちなの・・・?」
言いながら俺の首元を掴むオカマ。
「褒めてます!!褒めまくってます!!」
「・・・まぁいいわ・・・」
言いながら離すオカマ。
・・・こんなんで死んだら俺も小場みたいになるのだろうか・・・
「それじゃ歌うわよ☆ラーラ〜ラ〜☆」
・・・!
正直、俺は感動している。
オカマは美声だった。
そう。それはプロとも言えるようなまるでテノール歌手を呼んだかのような・・・
「ってテノール声!!めっちゃ男の声やんけ!!!」
「これだ・・・!」
なぜか感動している小場。
・・・はぁ?
「これだ・・・!この声だ!!」
「えっ!?ピアサーの姫テノール声だったの!?!?今日一のびっくりだよ!?」
小場の目が失ったはずの光に照らされる。
「マジで成仏しそうじゃねぇか!?」
相変わらず続く、光の雨。
森閑とした雨の中で、幼のぎこちないピアノと丘魔の耳を擽るテノールボイス。
廃墟とピアノと美少女とオカマとお化けの組み合わせともあって・・・
すごいファンタジー感が増した。
・・・いや、オカマはいらねぇか?
「なんか失礼なこと考えてない?」
ヒィィィィィぃ!!!
「考えてない!!考えてないから!!」
ま、まぁなにはともあれ・・・
このまま小場が成仏してくれればいい感じに終わる!!
演奏が終わり、小場が涙を流す。
「この声は・・・本物だ!!おいお前ら!!この丘魔様は本物の神だ!!」
・・・え?お前ら?
「うおおおおおお!」
「本物だああああ!!」
光の雨から声がする。
「お前らもお化けだったのかよ!?そしてピアサーだったのかよ!?!?」
いや確かにピアサーのバスの事故でこいつだけってのもおかしいとはおもってたけども!!
「か・・・神様だ・・・!」
「オカマ教を作らねばぁぁぁぁ!!」
「hoooooooooooo!!!お、か、ま!!!お、か、ま!!」
そして結局このオチかよ!!!
こんな感じで、俺と幼の初デートは終わったのだった。
・・・
「あれ!?!?!俺全然活躍してなくね!?!?」
(主人公降板だな・・・)
「待って!!ねぇ待って!!!」
俺たちの物語はまだまだ続く!!(多分)
(今回もなんとか間に合ったーーー!)
(時間がないと地の文があんまりかけませんね・・・笑)
(変なもの書いてごめんなさい!!笑)