#7 薫
#7 薫
まじないというのが学校で流行っているのなら、学校をくまなく調べてみたら、何か分るかもしれない。
薫は今後の行動を思案した。まず昼間はクラスメイトで情報収集。夜は校舎の探索だ。何もないとは思うが、何か分るかもしれない。つまり薫はどこから調べたらいいのか分かっていなかった。
とりあえず、夜の探索の仕込みをする為に特別棟に向かう。校舎は教員棟、生徒棟、特別棟と三つに分かれており、授業でしか使われない特別棟は、その性質上、人気がない。
特別棟廊下の端の方にある二階の窓、ここならそもそも人はほとんど来ないし、気付かれる心配もない。薫はそっと、窓の鍵を開けた。
現在時刻は午前八時十五分。あと十五分ほどでホームルームが始まるので、薫は生徒棟に戻る。
この時間帯、来ている生徒は限られている。大半の人間は、八時二十五分になってから、一気にやってくる。おそらく電車の到着時刻の関係なのだろうが、それにしたって随分とギリギリだな、と薫はかねがね思っていた。
だが、人が来ていないわけでもないし、あまり人が多すぎると会話もしにくい。教室に入ると、何人かの生徒は来ていたが、それでも過半数は空席だった。
話しかけるのなら誰でもいいが……どうせなら、話をよく知っていそうな人間がいい。誰がいいだろうかと思いつつ――二人で話している女子生徒に目をつけた。