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ハニーポット  作者: 指猿キササゲ
$1$ 本質乖離
12/113

#12 薫

    #12 薫


 コミュニケーションに疎い薫でも、流石に今日の事態がおかしいことには気付いていた。

 自分が気付いたのだから、気付いている人間は他にもいるのだろう――その予想は当たっていたのだが、当の本人は知るよしもない。

 そしてこうも思った。この状況に気付いていながらも、むしろ楽しんでいる人間がいる、という事も。

 薫は単身、選択教室に向かっていた。昼食を取る時にはよく利用するのだ。特に備品がないため施錠はされておらず、人が来ないので落ち着ける。

 いざ昼食に手をつけようとしたとき、階段の方が騒がしくなっているのに気付く。薫は小さく嘆息すると、昼食をそのままに席を立つ。

 野次馬が集まっていたので、場所の特定は容易だった。廊下にまで人だかりは溢れている。

「誰かが押したらしいぜ」

「ああ、そういや沼野って藤咲とかに嫌われてたな」

「おいおい、テキトーなこと言ったら藤咲に目付けられるぞ」

 人だかりから、そんな会話が聞こえた。どうやら沼野という生徒が階段から突き落とされたようだ。

 薫が祐輔から聞いた事故の話では、周囲の人間は『彼は自分から飛び出した』と証言していた。だが今回は、誰かが突き落としたらしい。無論、突き落とした人間に乗り移ったりした可能性もあるから、御札の可能性は捨てきれない。だが、もしそうでないなら、これは純粋に誰かが人を突き落としたという事になる。

「いよいよか」

 おそらく祐輔が危惧していた事態が起こった。まじないに誘発された二次災害。このままでは収拾がつかなくなる恐れがある。祐輔は学校自体にはさして興味はないだろう。だが、こうも目立っては裁定委員会に目をつけられる。もし確証がとれれば、奴らはきっと動き出す。

 そうなれば、この近辺は一時的ながらも裁定委員会がうろつく事になる。自分達の住んでいる町に異分子が混ざるのは、あまり気持ちのいいものではない。

 そうなる前に、気味の悪いまじないには消えてもらうに限る――薫は対策を練るべく、選択教室に戻った。

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