95 世の中は甘くは無かった
久しぶりの猫ですけど、さっきに謝っておきます。
ごめんなさい。
「ち、ちくしょーー!!」
台所で俺の叫び声が響く、台所には沢山のボウルが並んでいる。そのボールの中には色々なタレがある。
俺の両肩を慰めるように叩いてくる奴がいる。
「諦めなよ、アル」
「残念です、私食べてみたかったんですけど……」
『アル』
これは俺の新しい呼び名の愛称だ。俺は今まで姉妹にはマスター、カシムには白い猫さんと呼ばれ、カナリアには白猫さんと呼ばれるていた。そんな風に呼ばれていたが、カナリアが
「白猫さんとかマスターなんて呼び方だとなんだか悲しいですよ~、なので名前を付けましょう」
と言う事で俺に名前を付けることになった。俺はオズワルドと言う名前にも飽きていたので、特に何も言わなかった、言わなかった結果が悲惨な名前しか出なかった。
スノー、ホワイト、タマ、シロ、ミルク、アルビノ、ゲッパク、ハクジ etc
色々出たのだが……色に関係ないのがタマだけで、それ以外は全て色に関係するものだった。全て白と言う事を表す単語やそれを連想させるものだった。理由を聞いた所
「「「「いや、どう頑張ってもその綺麗な白い毛があなたのトレードマークだから」」」」
それでももうちょっとマシな名前が欲しかったので、結局自分で名前を付けようとしたのだが、どうしても白を連想させる名前を付けたいと言う事だったので、俺は自分の名前をアルビオンとすることにした。どう頑張ってもこいつらが考えた名前よりはマシだと思う。まあ、少し中二病臭いが自分でも納得できる名前だ。ちなみにアルビオンの意味はラテン語で白いと言う意味だ。そこからアルビオンのアルで呼ばれる事になった。
「なんでだ?!何で作れないんだーー!!」
俺は世界が滅ぶかのように叫んで、天を仰いだ。
「焼き鳥のタレが何で作れないんだーーー!!」
鳥を狩っていて思ったのだが、久しぶりに焼き鳥を食べたくなったのだ。と言う事で俺は焼き鳥を作ろうと思ってタレを作ろうとしたのだが……。
作ろうとしたんだ、うん。
タレなんて適当に味から調味料を想像してそれらしい物を作れると思ってたんだ、うん、思ってた。
世の中そんな簡単に出来ていなかった。お米があって唐辛子があって味噌があって醤油があるんだ。作れるはずだ。味的に醤油と……醤油と……後何だろう?取り敢えず色々試してみよう。
その結果、今の惨状だ。
色々な調味料を混ぜた物がボウルの中に入っている。結局は作れなかったのだ。
「はぁ~仕方ない、片付けるか」
俺はボウルを片付け始めた。ボウルを精霊魔法で水を出して洗い場でボウルを洗う。
「はぁ~、簡単に出来ると思ったんだけどな。少なくてももどきぐらいは作れると考えてたんだけど」
「そんな確実性のない物にあたしたちを付き合わせたの?」
「なんでそんな風にむくれながら言うんだ?」
「あたしたちをそんな不確実な物に付き合わせたからよ!!色々と外に買い出しに行かせたりしたでしょう、美味しい物も食べれるとか言って、手伝わせたでしょう」
「悪かったな、しかし一番の被害は俺だと思うんだが?」
俺はボウルを洗い終わると次のボウルを洗い始める。
「どういう事ですか?」
エリカは俺が洗い終わったボウルを拭いて、戸棚に仕舞いながら聞いてくる。
「俺が全部あのタレを味見したんだぞ」
「自業自得です、自分で作った物でしょう」
呆れたような顔でため息を付かれてしまった。
「まあ、そうだな。しかし簡単には作れない物だな」 俺はどっかの小説の様にトライアンドエラーを続けることで、簡単に出来ると思ったのだが、結果はこの有様。
「はぁ~、あそこにある鳥を今日の晩御飯にしてくれるようにカナリアに頼んでくれ」
本日何回目か分からないため息を付いて、洗い物を終えると猫の姿に戻って、執事服をアイテムボックスに仕舞うのだった。
「食べたい物が作れない」
俺の苦悩に満ちた呟きが台所に響くのだった。世の中は甘くは無かった。
すいません、猫姿は最後に少ししか出せませんでした。次回からは猫から登場させていきたいと思います。
500万PV 80万ユニーク 行ったぜ!!ヤッフーー!!
みなさんありがとうございます。これからも応援お願いします。
裏方
オズワルド改めアルビオン「おい、作者!!」
作者「な、なんだよ?」
ア「猫姿の登場シーンが少ないぞ、どうにかしろ」
作「うるさいな、俺の勝手だろう」
ア「あれだけ読者を待たせておいて」
作「うるさい、うるさい」
ア「……少しはお灸を据える必要がありそうだな」
作「お、俺が今回も負けると思うなよ。俺は文科系運動種族真っ白白すけでお前の創造主だっ!!舐めるなよーーっ!!」
作者は両手の掌をアルビオンに向けた。
「くらえーーー!!」
白い弾が両手を交互に突き出すと、次々とアルビオンに向かって飛び出していく。
作「だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ」
砂煙が立ち、アルビオンの姿が見えなくなった。
作「俺の勝ー」
ア「一つ良いことを教えておこう」
背後からアルビオンの声が聞こえる。
作「何っ?!」
ア「グミ撃ちは負けフラグだーー!!ニャーーー!!(猫の咆哮)」
作「ち、畜生ーーー!!」
お空のかなたに飛んで行く作者。




