94 教皇1
白髪の青年オズワルドを取り逃がしてから、色々と大忙しになってしまいました。
勝手に聖騎士団を動かした団長とその他数名の司祭の監視と聖騎士団とは別で、オズワルドを捜索させるように手配するなど、色々と手回しをしていました。私を教皇まで持ち上げた第六感が、彼と敵対してはいけないと告げていたのです。私はこの第六感に幾度となく救われました。今回も信じて行動しているのですが……
そんな彼と敵対してしまう切っ掛けを作った聖騎士団団長を即刻左遷して、目の前から消してしまいたくなります。彼らとクズ司祭のせいで市民とも敵対してしまうかもしれません。なんせ目の前で他人の手柄を横取りしようとしたところを目撃され、魔族との戦闘にも大して活躍出来なかったようですからね。しかし、何の準備や手回しもなくそんなことをしてしまえば、反発を招くだけですから簡単には出来ません。それに証拠がありませんが、今回の騒動を起こした原因は彼らなんですからどうにかしたい物です。
私はオズワルドがどこかに所属していなかと探すよう指示を出した。それは冒険者ギルドから貴族、そして裏ギルドのような所まで。
ですが彼の話は噂話さえ出てこなかった。
彼は一体何者何でしょうか………ここまで探しても噂話さえも出てこないなんて……魔族と対等以上に戦う力を持っていれば嫌でも噂ぐらいは出て来るものだと思うのですが……。不思議です。
本当はこの事だけに専念したいのですが……そうも行きません、通常の業務に勇者相手の仕事があります。
それにかまけていたら聖騎士団団長がやってくれました。私が出した指示はただの捜索のはずなのに、彼の勝手な判断で指名手配としてオズワルドの事が捜索されていました。
全く市民の感情、特に魔族との戦闘の場にいた市民と冒険者の感情を逆撫でする様なことをやってくれました。
しかも彼は勇者の敵で、魔族の仲間として指名手配されていたが、実際はその男が魔族を倒した事によって教会側の都合が悪くなり、死刑にされそうになったところを逃げ出したと言う噂が流れてしまっている。しかもそれを裏付けるかのような指名手配。これでは入ってくる情報も入ってこない。
全く、まったく、マッタク!! 何をしてくれてるんでしょうね!!本当に国民感情を逆撫でする様な事ばかり!!これでは情報も入って来ないはずです。
私はすぐに指名手配を解除して、探し人として出すよう指示を出したが……あまり効果は見れないでしょう……。
そんな風に思っていると、とんでもない事を教えられた。
教えてくれたのはザーン侯爵とロビン侯爵だった。
あの白髪の青年には私たちは会ったことがあるのではないか、五年前に?
私はそう言われてあの誘拐事件を思い出した。五年前グリモア・アルフレッド司祭の孤児院の子供が攫われたときに、情報提供をしてくれた仮面を付けた青年がいた。私は彼を仮面の使者と呼んだが……。彼は警備が厳しい私たちの寝室に勝手に入れるほどの力量を持っていた。あの事件の後を彼の事を調べたが何も分からず仕舞いになってしまった。
私は当時の事件の資料を持ってくると、自分の部屋の机に置いた。私が今いる部屋は寝室で机とベッドが置いてあるだけの部屋だ。すでに太陽が落ちて、代わりに月が空に出てる時間だ。私は魔法で部屋を照らすと事件の資料を見直した。大したことは書いていなかった。
私は資料を閉じると同時に椅子に座り光を消した。あの時の仮面の使者の事を思い出していた。
確かに思い出してみれば白髪で長髪、そして執事服全てが一致する。思い出せなかった自分が腹立たしいくらいだ。
確かに一致するがすべてが面白い様に。ただ………
「年齢が合わない……」
私の声は静かな部屋に響き渡った。
あの事件から五年もなっているのに体型が全く変わらないと言うことがあり得るのか?分からない。
だがもし仮面の使者なら、彼を探しても無駄だと思った。五年前に探した時と同じ結果になるだろうと。
私は捜索に出していた者を全員を引き揚げさせて、探し人だけを出すこに決めた。もし彼が五年前と同じなら私を簡単に殺す事が出来るだろう。もし違ったとしても聖騎士団を簡単にあしらう程度の力を持っているのだから、簡単に私の事を殺せるでしょう。今、私が生きていると言う事はたぶん彼とは敵対したことにはなっていないでしょうから、殺されることは無いでしょう。
それなら私がすることは簡単だ。
「今度彼が来た時のために聖騎士団団長とあの司祭たちをすぐに切れるように色々と準備をしときましょうかね」
私はそう呟くと自分のベッドに入った。明日からは聖騎士団団長と司祭たちを切れるように、材料集めだ。まったく、教皇も楽じゃないです。
これで外伝は終わりです。次からは本編に戻ります。




