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93 ビイル・グレモリー 5

遅れました  これでビイル・グレモリー編は終わりです。

今、私たちはお城に帰っている所だ。


帰りは側近の方々も合流した。側近の方々は魔物達がそれ以上お城に向かわないように、食い止めていたらしい、魔物を殺さずに。


理由を聞く魔王様は答えてくれる。


「下手にあれだけの魔物を虐殺してしまうと生態系が崩れてしまうのだ。今の魔物の分布地が理想的でな。それを崩したくは無いのだ。そのせいでそちらに来るのが遅れてしまった、すまなかった」

私は首を横に振った。

「いえいえ、それに魔王様のお嬢様が私の娘を守っていてくれたので」

私は背中に背負っている自分の娘を見た。アリサはあの後、泣きつかれて私の背中で寝てしまったのだ。

「我の娘が巻き込んだんだ、それくらい当然だ。まったく帰ったら少し叱らなくては」

魔王様はアリサ同様、泣きつかれて寝ているクミン様を抱っこしながら言ったのだが、あんまりその厳しい言葉と甘い口調があっていなかった。私はそんな魔王様に苦笑しながら、クミン様があそこでしたことを、魔王様に言った。



「確かにそうですが、クミン様は最後まで逃げずに、アリサを守ろうとしていましたよ。御自分の命も顧みずに」

「そ、そうだな」

魔王様はご自分の娘の行動を聞いて、恥ずかしそうに鼻の下を指でこすった。ご自分の娘がやったことが誇れる事で嬉しいのだろう。

「それでも他人を危険にさらした事は変わらない、一応叱らなければならないな」

自分に言い聞かせるように魔王様はそう言うが、やはり顔が少し嬉しそうになっていた。やはり魔王様は娘に甘いのだろうか。

「ビイル・グレモリー、君に新たな仕事を頼みたい」

「それは一体……」

「それはだなーー」










 

それから一週間後、私は魔王様に言われた仕事についていた。私は魔王様の娘クミン様に戦闘技術を教える役割を仰せつかったのだった。


確かにクミン様のレベルは高いが、戦い方はほとんど我流で何かを目的とした戦い方を知らない。今回のようなことが、これ以降起こらないとは限らないので、私が教える事になったのだった。

「良いですか、この様な場合は背中を出来るだけ壁にして戦う事で、背中からの攻撃を気にしないで戦うことができます。これだけでかなり違いますから」

「分かったわ」

クミン様はノートに私が書いた図と説明を写しながら返事をします。別段、昨日の様に授業を抜けようとすることもありません。頭も良くて飲み込みも早い、スポンジのように私が教えたことを吸収して行く。1を教えたら10まで理解しています。このままだと一か月くらいで、私が教えることは無くなりそうですね。





「今日の勉強は終わりです、また明日ですね」

そこでドアがノックされる。

「入って良いわ」

クミン様が返事をするとドアが、開けられた。

「えへへへ、遊びに来たよ」

ドアの向こうに居たのは私の娘のアリサだった。

「アリサどうして?!」

「あたしが呼んだの先生、アリサ、お昼まだよね。一緒に食べましょう」

「うん、まだだよ」

どうやらこの二人は昨日のうちに仲良くなっていたようだ。昨日お城について、目を覚ましたら色々と会話していたからな。

「先生も一緒に食べますか?」

「そうだな、お言葉に甘えるよ」

私たちは一緒にお昼を食べる事になった。





私たちはテラスに案内された。そこで食事はすでに、私たち三人分の食事がテーブルにメイドたちによって用意されていた。主にサンドイッチがメインで用意されている。

「召し上がってください、先生、アリサ」

「お父様いただこう」

「あ、ああ」

私は娘に催促されて、クミン様が用意してくださったサンドイッチを口に入れた。俺たち二人がサンドイッチを食べるところを見ると、クミン様もサンドイッチを食べ始めた。正直この状況についていけてない私は、サンドイッチの味を楽しむどころではなかった。


「お父様、クミンちゃんが相談があるんだって」

「そ、相談?」

「うん」

娘の言葉にクミン様に目を向けると、クミン様は頷いく。

「父様のことで相談があるんです」

「魔王様のことで?」

クミン様は頷いて言葉を続けた。

「そうですが………魔王としての事では無くて、父親としてのエリック・ルシファーのことで相談があるんです」

「父親としての……」


確か魔王様は面倒をクミン様ことで 



「我も仕事に忙しくあの子に中々構ってやれなくて、魔王の娘と言うことで遊び相手も出来にくく。魔物を倒すことが遊びみたいになっていてな。寂しい思いもさせて、ついついあの子に甘くなってしまうのだ」


のような事を言っていたな。



「クミン様、魔王様があなたに構ってくれなくて、不満に思っていることは分かります。ですが魔王様もお仕事が忙しくてー」


「違うのそうじゃ無いのよ。逆よ、逆!!逆で困っているのよ」

クミン様は叫ぶようにそう言って、サンドイッチを口に放り込んだ。

「ぎゃ、逆とは?」

「父様は私に構ってき過ぎて困ってるの!!あたしは!!」

「?どういう事なんだアリサ?」

私は事情を知っていると思われる娘に話を振った。

「お父様実は……」


話を聞くところ、クミン様は魔王様が余りにも自分に構ってくるものでどうにかして欲しいと、言う事らしい。


「それにしても何で私に?」

「あなたはプライベートと仕事の両方に、父様に信頼されているようだからよ。後アリサの話を聞いて話が通じそうな感じがしたからかな。父様のお眼鏡に叶わなきゃここであたしに急に勉強を教えることは無いでしょうからね」

「はあ………………ご自分で言ってみましたか?」

「言ってみても効果が無かったから、先生に相談しにきたのよ」


これは色々と厄介な案件を頼まれるかもしれませんね……。魔王様の娘との接し方に意見を言うなんて……考えただけで頭痛がしてきます。



「実際どれくらい構ってられてるんですか?」

「そうですね。一週間に毎日晩御飯は一緒に食べてます。お風呂にだって毎日父様が一緒に入ってこようとするし、寝る前だって寝る前にお話しして、私が寝るまでー」



そこから私はクミン様から魔王様の甘々で構いっぷりを色々と聞かされた。


「そこまで………」

「お父様さすがにこれはどうにかした方がいいと思いませんか?」

確かに魔王様ははっきり言って依存と言っていいほど、娘に甘々で構いっぷりだった。


「………じゃあ、授業をさぼったりしたのは?」

「別に父様は考えてるみたいに構ってほしいとかじゃなくて、ただ単純に授業がつまらなくなっただけです」

確かにクミン様は頭が良い、つまらなくなって授業を抜け出したくなることもあってもおかしくは無いでしょう。


「じゃあ、魔王様がクミン様を構ってやれないと言っていたのは………」

「父様は基準では全然構ってやれてないと思ってるんだと思います」

「あれ以上に構うのですか……」

アリサが恐ろしげに呟いていた。


「そこであなたにお願いがあります!!父様にこれ以上の構いっぷりを止めて欲しいの」

「アハハハ、ハァ~」


私は掠れた笑いとため息̪しか出なかった。






それから一か月後、私は何とか娘から魔王様の依存を軽くして親馬鹿にまですることまで出来た。

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