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92 ビイル・グレモリー 4

すいません、忙して中々書けませんでした。(汗


「私が時間稼ぎをする。その間に逃げろ」

私は二頭のバレウスから目を離さずそう言った。さすが大人のバレウスだけあって、怒り狂っていてもさっき殺した子バレウスとは違って、怒りに任せて闇雲に襲ってこない。慎重に私たちの動きを観察している。厄介だな。


しかし、そのお陰で私は後ろにいる二人と話すことができるのだが……。



私が戦ったところでどれくらい時間を稼げるか、たぶんこの二頭のバレウスはレベル100オーバーだろう、しかもそれが二頭だ。普段は森の奥の方に住んでいる魔物だ。



そんな風に考えているとバレウスは経験で、私がそこまでレベルが高くないと判断したのだろう。観察するのをやめて、攻撃態勢に入った。後ろ足に力を入れて、跳躍態勢に入ったのことでそれが分かる。


「さっさと行け、早く!!」

「でも!!」

「でもじゃ無い!!」

私はバレウスから目を離さず、私は情けないことに我慢できずに叫びたいような心情だった。私がこの二体のバレウスと戦って、どれくらいもてるか……せめて二人が逃げるだけの時間だけでも稼がなければ。



この命に代えても!!




「行くんだ!!」

その言葉と同時にバレウスが私に向かって跳んできて、背後で二人が走り出すのが分かった。私は剣を握り締めて覚悟を決めた。


その時、私の頭上を何かの影が横切ったことが分かった。その次の瞬間には、バレウスがいた所にクレーターと土煙が目の前に現れる。




一体何が……







土煙が微かに晴れて目に飛び込んだのは、地面に体の真ん中から地面にくの字でめり込んで血飛沫を上げる二体のバレウスだった。



いったい誰が……



完全に土煙が晴れると目に入ったのは、魔王さまの背中だった。二体のバレウスの間に立っている。両腕の拳は血で濡れていた。どうやら私の頭上を飛んで、そのままバレウス二体を拳で地面に殴りつけたみたいだ。地面には三つのクレーターが出来ていた。一番小さいクレーターは魔王様の下に出来ている魔王様が着地した時に出来たクレーター、そして残りはバレウス二体の下に出来ているクレーターだ。



ドラゴンのウロコなんて有って無いようなもので、片手の一撃で倒してしまう。それが魔王様。たぶん魔王様はこれでも全力では無いであろう。



これが魔王様の強さ。格の違いや次元の違いで済まされる強さの違いでは無い。



私がそんな風に魔王様の強さに打ち震えていると、魔王様がこちらにすごい勢いで振り向いて、突然叫んだ。


「クミンは無事か?」


だ、誰?


たぶん魔王様の娘だと思うのだが……。



「無事です、あそこにいます!!」

「そうか」

魔王様の肩から安心したように力が抜けた。魔王様は自分の娘を本当に心の底から心配している。


ドン!!


背中に何かが抱きついてくる。


「エッグ、エッグ。ヒック、お父様」


アリサが腰に顔を埋めて泣いていた。誘拐されて、そしてドラゴンに襲われて色々貯めていたものが溢れ出るようにアリサはワンワン泣き出す。よく出来ていると言っても所詮十歳なのだ。


「怖かった、エッグ、ヒッグ、怖かったよ」

私はそんなアリサを抱き上げ、抱きしめてやった。

「大丈夫、大丈夫」

アリサは私の肩の上に顔を置いて泣いた。



私が振り返ると魔王様とその娘クミン様が対面をしていた。



「クミン……」

「父様……」


クミン様は魔王様から顔を背けて下を向いている、たぶん怒られると思っているのかもしれない。そんなクミン様に魔王様はゆっくりと近づいてしゃがんみクミン様を抱きしめた。クミン様は意外そうな顔をしていたが、そんな顔を次の魔王様の言葉で泣き顔に変わった。


「お前が無事で本当に良かった」

「父様、とうさまぁぁーー!!」


いくらレベル高いといっても、まだ子供だ。人生経験も浅く、甘え盛りだ。怖かったり、不安だったりして泣いてしまう、普通の子供なんだ。例えそれが魔王様の娘であっても。






森に子供の泣き声が木霊するが、それは決して悲しみや恐怖の泣き声では無かった。



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