67 とんでもないチート武器
ガンッ
初撃はナックの両手剣によって止められた。さすが貴族に雇われていたことだけはあるな、強い。
「やらせん」
さらに剣で攻撃しようとするナックを避けようとしたが。
「な?!」
体が重い。俺はかわしきれず剣を篭手でガードする。
なんだ一体?!いつも通り動けない。
さらなる追撃を俺は全力で避けた。くっそ、なんだこれ?この感覚まるで海の中で体を動かしているようだ。別に体に不調があるわけじゃないのに、体がいつも通り動かない。
「なんだよ一体その剣は?」
俺の言葉を無視して剣を突き刺しに来る。そのスピードがさっきより格段に速い。
「精霊を土柱を!!」
俺は精霊魔法で足元に土柱を作ってそれを踏み台に後ろに思いっきり跳んだ。そうしなければよけられなかった。
くっそ、その剣の正体を暴いてやる!!
俺は鑑定を剣に使った。
……最悪だ
ディバイディングブレード
触れた相手のステータスを指定し半分にする。半分にした数値が自分のステータスにプラスされる。一定時間か武器を鞘に収めたらこれは解除される。指定できるのは一人一つ。
つまり俺のAGLが一撃で半分にされたってことだな。そして減った分の数値はあいつのステータスに足されるなんて悪夢だな。俺はすでに二回も剣に触れた。すでに俺のAGLは四分の一。そして四分の三はあっちに持っていかれた。もしかしたら死ぬかも。
俺の今のAGLは120000ちょっとだろうか。対して相手は元々の自分の数値+360000かな。洒落にならないな。
「アハハハ」
俺は乾いた笑いが口から漏れた。そしてそこから防戦一方の戦いが始まった。
「ハアハアハアハア」
俺の顎から汗が垂れる。あれから三十分ぐらい経ったかな?。俺はずっとかわし続けるしか無かった。すぐに一定時間が経ってステータス値が戻ることを期待したが、そんな考えは甘かった。ステータス値は戻らないでままだ。そして今まで避けてこれたのは相手がまだ自分のスピードに慣れていないからだ。だが相手もだんだんとスピードに体が慣れ始めてきている。
それにそろそろ体力の限界だ。気配察知と危険察知を組み合わせて行動の先読みして、さらに精霊魔法で斬撃をかわし続けたけどかわすのはこれ以上は難しそうだな。しかもAGLが下がったことの影響か魔力操作が遅くなって上手く魔力を手に纏わせて伸ばすのに時間が掛かって攻撃が当てられない。
そしてついに俺の体を剣が捉えた。
グサッ
剣が俺の体に突き刺さった。背中から刀身が飛び出る。体の中に焼けた金属を入れられた様な痛みが走る。俺はそれを歯を食いしばって耐えた。思った以上の痛みだ。つらいでも上手く刺さったこれで。
「逃げられないぜ」
俺は体にさらに深く剣を刺して抜けないようにした。その瞬間体に痛みが走ったが耐える。剣の柄を片手で持った。最悪逃げられても剣だけは奪えるように。さらに逃げられないように足の骨を踏み砕いた。STRは下がっていないから力はいつも通りだからな。
俺は指の表面に魔力を纏い心臓がある位置に手を突っ込んだ。纏った魔力が皮膚を貫き、そして心臓にたどり着こうとした。
「死ね」
俺が心臓を握りつぶそうとした瞬間、奴は剣から手を離して片足で全力で後ろに下がった。くっそ、心臓が潰せなかった。片足と言え俺のAGLがプラスされたままだから、森の奥まで飛んで行って見えなくなってしまう。殺されそうになって咄嗟に全力で後ろに飛んだのだろうな。自分のAGLの高さを忘れて、今頃木に叩きつけられて死んでるかな。まあ、あれだけの重症を負わせたんだほっといても死ぬだろうな。
さて次はこちらさんだ。俺が視線を向けると這いつくばって逃げようとしている奴隷商人がいる。俺は自分に刺さた剣を抜いてアイテムボックスに放り込んで、精霊魔法で傷を癒しながら奴隷商人に近づいた。
「ひい!!」
情けなく悲鳴をあげながら後ろに下がる。傷は完璧には治せなかったが、こいつを痛ぶれる程度には回復できた。
四つん這いになって俺にケツを向けて逃げようとした商人の服の襟をつかみ地面に叩きつけた。
「ゲッホ、ガッハ。ハアハアハア」
商人は地面に叩きつけられたことで肺から酸素が一気に抜けたからか、恐怖からか呼吸が荒くなる。たぶん両方だろう。
「ゆ、許してくれ。た、頼む」
地面に大の字になっている商人は涙を流し鼻水を垂らしながら懇願してくる。俺は口の端を歪めて笑った。
「今世紀最大に機嫌が悪い。安眠を妨害され、さらに剣で体をぶっ刺されてな。さて楽しい楽しい質問の時間だ。俺の質問に迅速に且つ正直に答えろ、俺の気に入らない答えや嘘をついたと判断したら……分かってるよな?」
商人は首を縦に何度も振って頷いた。
「それじゃ最初の質問だ。ボウガンの事はお前以外に誰か知っている奴はいるのか?」
俺は商人の首を掴んで聞いた。
「い、いない。他の商人にバレると困るから作るのも自分が設計図を見てやった。ここにいた盗賊以外にだ、誰も知らないはずだ」
「嘘じゃないな?」
「本当だ!!」
…嘘はついていない。じゃあ、次の質問行ってみるか。
「ボウガンの設計図は?」
「持っていない。家の金庫だ。欲しいなら家まで行くしかない」
必死にそう言うが
「嘘だな」
俺の言葉に商人は目を見開く。
「嘘じゃない。本当に家の金庫に」
「うんうん、分かったよ。思い出せるよう協力してやるよ」
俺は自分の近くに落ちていた人の頭ぐらいの石を掴み、空中に放り投げた。落ちる先は……男の股間だ。
「やめろー!!」
男が叫んで暴れたことによって石は男の太ももに当たった。
「ハアハアハア」
男は息を荒くて俺を見る。
「もう一度聞いてやるよ。設計図はどこにある?ちなみに嘘ついたら分かるから」
これはハッタリではなく本当だ。俺は商人の首を掴むことによって逃げられないようにしているが、それと同時に脈拍を見ている。こいつがさっき嘘を付いた時は最初の質問をした時とは違って脈拍が乱れた。
俺はアイテムボックスからクロスボウの矢を取り出した。商人が慌てて喋りだす。
「わ、分かった正直に答える。だから」
俺はそんな言葉を無視して、矢を脇腹に刺した。
「ギャアーーーーーーーーー!!」
矢のお尻から血が出てくる。中が空洞だかな。
暴れようとするのを力ずくで押さえてさらにもう一本矢を掴んで、今度は太ももに刺した。
「話すか、ま、待 ぎゃあーーーーーー!!」
俺は三本目、四本目と順番に刺しながら
「ほらほら、さっさと離さないとハリネズミみたいになっちゃうよ」
さらに五本、六本と刺す。暴れても矢が折れないような所に刺していく。
俺は一旦手を止め、商人に聞いた。
「話す?」
「は、話すか、ら」
商人の体にはすでに八本の矢が刺さっていた。
「設計図はあの馬車の中に」
「ふ~ん」
今は脈拍が乱れまくって嘘かどうかは判別できないから、俺は商人の体に刺さった矢を乱暴の全部抜いて、アイテムボックスに仕舞う。
「来い」
俺は男の服の襟を持って引きずって連れて行った。
「どこにある?」
「ここだ」
男は座席に裏を開けて俺に紙を渡した。書いてあるのは確かに設計図だった。しかも日本語で書かれていた。
俺はざっと読んで戦慄した。それはとんでもない武器だった。
まさか、こんなチート武器を作ろうとしていたなんて。
俺はアイテムボックスにそれを仕舞った。
「これで良いか?」
商人は俺の足に跪いて聞いてくる。俺は無言で首をへし折った。取り敢えずこれが世の中に出ること無いな。
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