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60 現実は甘くなかった

「お頭、村にエルフの奴隷が二人が入りました」

お頭は酒を置いて、口を拭った。

「何?それは本当か」

「はい」

俺が頷くと護衛の人数を聞かれた。

「それが……」

俺が言葉を濁しているとお頭は待ちきれなくなってさっさと言えと怒鳴る。

「護衛はその執事が一人ついているだけでそれ以外はいませんでした!!」

俺が一気に言うと、お頭はさっきとは打って変わって落ち着いた。

「本当かそれは?」

「はい」

「そうか、執事と言ったら貴族だが貴族の執事が護衛も付けずにエルフなんかを連れてこんな所に何しに来たんだ?」

「そんなことよりお頭、エルフですよエルフ捕まえましょうよ。護衛も居ない事だし捕まえて、あの商人に売るなり犯すなりしましょうや」

ほかの奴がそう言った途端お頭は怒鳴りつけた。

「馬鹿野郎!!」

お頭の剣幕にその場にいた全員が身をすくませた。

「いいかよく聞け。相手はもしかしたら貴族だ。しかもエルフを奴隷にできるほどの財力を持つ貴族だ。いくらあの商人でも貴族は相手に出来ない。それにだその男以外に護衛が離れた場所にいるかもしれない。まずそれを確かめて居なかったら襲撃だ。護衛を付けていないとしたら貴族の可能性は低い。分かったな。確かめるまでは勝手な行動は慎め」

お頭の言葉に全員が頷いた。お頭のこの慎重さが、俺たちを救ったことが多い。そして今回の商人との繋がりが出来たのもこの慎重さのおかげだ。



俺たちがしているのはあそこの村を襲撃してそれを陽動に、獣人の子供や女を攫ってくることだ。それを奴隷商人に売る。奴隷商人はそれを村に連れて行って盛大に吹っかけて獣人に売りつける。力ずくで奪おうにも奴隷商人にはかつて貴族に使えていたという程の護衛がついているので無理だ。大人しくお金を払って家族を返してもらうしかないのだ。買わなかったとしても普通に奴隷として売りさばくだけだ。


少し蓄えたら襲ってその蓄えを吐き出させる。金づるが死なないようにバランスを保ちながら襲撃している所がまた賢い。


それを俺たちは既に数回繰り返している。そして今日も襲う予定だった。


「お前たち酒は抜いておけ、夜になったら村の周りを回って護衛らしき人影を探す。なかったら襲撃だ。今回はエルフを捕まえるのを目的とする。獣人はついでにしておく。ちなみにエルフは傷物ならヤっていいぞ。くくくく最近はついている、なにせエルフをもう一回捕まえることができるなんな」

お頭の言葉で全員に気合が入る。

「「「「「オウ!!」」」」」

「それとお前は商人からもらったあれで村のことを見張っておけよ」

「分かりました」

俺は筒を持って見晴らしがいい所に向かった。














                     オズワルド視点

俺たちは族長の家に招かれる。馬は外につないで餌を食べている。ゆっくり休んで明日また出発できるように。

「すまないね汚いところでね」

族長とともに家の中に入った。獣人の家は昔の日本の家のようだった。家の中央に囲炉裏がある。俺が靴を脱いだのを見て、族長は驚いたような声を上げる。

「あんた靴を脱ぐんだね」

「それが普通じゃないのか?」

「くくく、他の人間は家の中に入るときは靴をしたまま入ろうとするがの?あんたはこのような家に馴染みがある生まれかい?」

そう言えば人間の家ではほとんど靴で家の中で過ごしていたな、余り靴を脱いで家の中には入っていなかったな。日本風な家で靴を思わうず脱いで家の中に入ってしまった。


「間違っていたか?」

「いいや、それが正しいこの家の上がり方よ。知っている人間はほとんどいないけどね」

俺たちの話を聞いて、エルフ姉妹も俺に倣って靴を脱いで家に上がった。

俺たちは囲炉裏を囲って床に座った。

「おやまあ、正座まで知っているなんてね。博識だね」

族長は俺が正座をしているのに驚嘆の声を上げた。エルフ姉妹二人はうまく床に座れずに苦戦していた。まあ、椅子しかなかったからな。初めて日本の家に来た外国人みたいだな。

「あんたたち食事はしたのかね?」

「いいや」

「なら丁度いい、これを食べなさい」

囲炉裏にある鍋の蓋を開けて、お皿にに置く出てきたのは鳥の手羽先を煮込んだものだった。

「……いただきます」

俺が皿を受け取るのを見て、リリアナたちも受け取る。

「今の間は何なんだい?」

「気にするな」

俺はそう言った物の内心はがっかりしていた。ここまで日本風なのだ米が出てくると少し期待したのだが、世の中そう上手くは出来ていないようだな。


おれはそれを手で先をつまみ食べた。肉はよく煮込まれていて、柔らかかくてうまかった。二人は結局胡座に落ち着いて俺の真似をして食べ始めた。俺たちが食べ始めるのを見ると、族長も食べ始めた。

「これ食事の代金」

俺はそう言って金貨一枚を投げた。族長は年老いた見た目とは裏腹に素早い動きで俺が投げた金貨を受け取った。

「食事代にしては高いじゃないかい?」

「じゃあ、寝床代込みで」

「それでもー」

「面倒だな。黙って受け取っておけ」

「ありがたく頂くよ」

それでやっと族長もお金を受け取った。




「族長さんに質問なんですけどなんで、あんなに獣人たちは警戒を?何かあったのですか?」

「それはだなー」

「ストップ」

「なんですかマスター?」

「聞くなら俺がいない時にしろ。ここで話を聞いてフラグが立って面倒事になったら嫌だからな」


「「「フラグ?」」」


族長とエルフ姉妹が頭に?マーク浮かべていたが、俺は気にせず肉を食って外に出た。

「俺が外にいる間に話を済ませとけ」

俺はそう言って族長の家から外に出る。


変なフラグがたったらどうするんだ、全く。


俺は面倒事に関わらないように外に出たが、既にフラグに関係なく面倒事の中心なるとことが確定していたことは俺はまだ知らなかった。





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