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42 帰還

「それじゃ、役者さんがそろった所だし種明かしと行きたいんですけどいいですか?」

俺が尋ねると顔を悪くする人たちがいる。やばい癖になるなこれは楽しい。


「種明かしの前に勇者を解放するか」

「良いのか?」

ビイルが俺に聞いてくるが娘を助け出すのを邪魔されないための人質だったからな。それに今人質を解放して突然攻撃されることは無いだろうしな。

俺が頷くとビイルは勇者を立たせて、手を離した。勇者は一瞬俺たちをにらみつけるが何もしないで戻って行った。


「勇者様!!」

巫女はすぐに駆け寄って行った。

「心配かけたな」

そう言って勇者は手に拘束具を付けたまま頭を撫でた。そんな勇者の状態に気づいた巫女が団長を見て

「これのカギはどこですか?」

団長はあわっててカギを出して巫女に渡した。

「これです」

巫女はそれを受け取ると勇者の手首を握り拘束具を外した。


俺はそれを見て話を話し始めることにした。


「では最初に教皇様の質問からお答えしましょう」


「全員剣を抜けーー!!」

団長の言葉で俺たちを囲うように聖騎士団と兵が展開する。

「私の合図でこう」

そんな言葉を遮るように教皇の言葉が飛んだ。

「待ちなさい」

「なぜです?!こいつらは魔族で片方は魔族に味方する人間です。人質を放した今が」

「黙りなさい、それとも何か聞かれてはいけない事でも?」

教皇の言葉にしぶしぶと剣を鞘に仕舞う団長、それに倣うように他の騎士団や兵も剣を鞘に仕舞う。



「では先ず教皇様の質問ですけど。それは聖騎士団が攫ってきたからですよ」

周りがざわめき始める。

「まさか聖騎士団が今回の騒動を引き起こした原因なのか」

ここでグリモア司祭のナイスな言葉で一気にうるさくなる。

教皇は目を細め団長に目に向ける。

「静まりなさい。それは本当ですか?」

「な?!教皇様は魔族に力を貸すような者の言葉に耳を傾けるのですか!!」

そう言って教皇にまくしたてる団長。まあ、下手したらこの街に魔族を呼び込んだことになるからな。認めるわけには行かないだろうな。

「…本当ではないのですね?」

教皇の言葉に団長は顔を横に振り、否定する。

「まさか、そのような事。全部魔族のでっち上げでございます」

「その言葉に偽りは?」

「ありません」

まあ、証拠もないし。アリサの言葉も魔族と言う事で信じることが出来ないとか言ってくるだろうしな。


まあ、事件の証明が目的じゃないけどねこれは。


「あれれ~おかしいな」

某見た目は子供、頭脳は大人風に言って見ました。

「魔族と勇者が戦い始めてから五分も経っていないのになんですぐに魔族との戦いに駆けつけられたんだ?誰かが伝えたにしては駆けつけるのは早すぎるし、まるで魔族が来るのを予期してたみたいだな」


「それは偶々、私たちが魔物と戦うために」

「それにしては遅いんだよね~冒険者ギルドはすでに冒険者を集めてすでに戦っていたんだもん」

俺の顔を忌々しそうに見る団長。


「まあ、俺の推測ですけど。聖騎士団といくつかの司祭具体的には、そいつとあいつとこいつと……」

俺はそう言って顔を歪めた十人ほどの司祭たちを指した。まあ、間違っていても推測って言ってる。大丈夫だろう。

「まあ、そいつらが魔族の娘を攫って、魔族をここにおびき寄せたんでしょうね。司祭たちは勇者がどこにいるのかの情報を担当して聖騎士団は魔族の娘を攫うのと勇者と共に魔族を倒す役割分担ですね。勇者と共に戦った事によって騎士団の権力は増大し、それによって司祭たちも権力の座を与えるみたいな感じですかね」

勇者と共に戦ったのなれば聖騎士団は民衆を味方につけ、勇者からも信頼されることによって権力も増す。確かハロー効果って言ったけかな。

俺はそう言ってビイルの様子を見ると時間稼ぎはもう少し必要だと思われた。まあ、あとちょっと頑張ってみるか。


「誤算が一つあるとすればそれは魔族が勇者も叶わないぐらいに強かったことでしょうかね」



「貴様黙って聞いていればいい気になりおって。それが真実だと言う証拠はどこにある!!」

「そうだ」

「証拠を見せてみろ!!」

団長と俺に指さされた司祭達が一斉に騒ぎ出す。


「証拠?そんなものは無いよ」

その言葉であたりは静まり返る。


「何か勘違いしているようだから言っておく。俺はお前らがやったことを証明するためにここにいるんじゃないんだよ。俺がここに来た目的はアリサの救出、そしてビイルの脱出だ」


ビイルはクリスタルを出す。

「準備は?」

「万端だ」


「それじゃあな。感謝している」

「ああ」


そしてビイルとアリサは魔族の国に帰って行った。


作戦は簡単だ。何らかの理由で教会に呼び出されて教会内部の入る。中に入って誰かを人質にして、その間に俺が娘を見つけ取り返す。まあ、当初は教皇を人質にするつもりだったんだ。そして時間をかけていたのは魔族の魔力が回復するのを待っていたからだ。俺との戦いでクリスタルを発動させるには魔力が足りなかったので回復するまでの時間稼ぎだ。


まあ、俺はここに留まるんだけどね。


「全員術式発動!!魔族の協力者を逃がすな!!」

団長の掛け声とともに俺の周りにはドーム状の膜が張った。


…これは計画外だな。

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