41 娘発見
切がいいところまで書いたら長くなりました。すいません
ビイルに勇者は地面に押さえつけられ、首筋にナイフを突きつけられている。そんな状態に全員がついて行けずに空白の時間が出来た。その時間を破ったのは勇者と共にいた巫女だった。
「勇者様!!」
巫女は言葉共にこちらに駆け寄ろうとしたので俺は慌てて脅しをかける。
「動くな巫女、勇者を殺したいのか?」
俺はそう言って巫女に脅しつけて動けなくした。
やってることはまっるっきり悪役だな。なかなか面白いな悪役も。
「貴様どう言うつもりだ!!」
聖騎士団団長も事態を理解したのだろう叫び声をあげた。
「さっき言った通りだよ。団長さん言う通り俺はこの魔族の協力者だよ」
「なっ?!」
団長は驚いたように声を上げた。そんな風に素直に驚かれたら、からたいたくなっちゃうな。
「あれ?団長気づいてたんじゃないの~魔族の協力だって。まさか、俺から魔族殺しの手柄を奪うためにでっち上げを言ったのかな~」
団長は慌てたようにまくしたて始める。からかいがいがあるなまったく。
「現に貴様は魔族の味方ではないか!!」
「それは結果論でしょう。まさか魔族の味方ってことで殺して手柄を奪うつもりだったんじゃないの?」
「そんなことは」
団長の否定の言葉を俺は遮った。
「別にいいや、それは」
さて、すでに気配は捕えている。この教会の地下だな。
「ビイル、勇者をしっかり押さえとけよ、ついでにその魔封じの拘束具付けとけ」
「分かった」
俺はそうってその場から歩き始めた目指すは地下。
「まて貴様どこに行くつもりだ!!」
団長が俺に問いかける。さすがにすぐに襲ってくることは無かった。まあ、勇者の命を人質に取ってるんだから、当たりまえか。
「地下室に行かせてもらう」
「!?」
団長の顔色が変わった。まあ、大体予想はしていたがな。事件の真相は被害者を助けてからでもいいかな。
周りを見るに俺の発言で顔色を変えたのは聖騎士団と一部の司祭だな。教皇を見る限りはこの事件には関わっていないな。
「くっそ。放せ」
勇者はもがくが無駄だな魔法を封じ、単純な力なビイルが勝っている。
「それじゃ行ってくる」
「よろしく頼む」
ビイルの言葉にすさまじく力が籠っていた。当たり前か娘のことで頭がいっぱいで自分で助けたいところを今日初めて会った奴に託すんだもんな。
「任せとけ」
俺は安心しろと言う思いを込めて言って教皇の謁見の間から出ると走って気配の真上の位置に立った。
そういえば地下室への入り口は知らなかったな。仕方ない聞くか。
「おい、そこのシスター」
俺は廊下の向こうにいた一人のシスターを呼び止めた。
「はい、なんでしょう?」
シスターは小走りで駆け寄って来る。
「シスター地下への入り口ってどこだか分かるか?」
「ええ、分かりますけど。あそこの角を曲がれば地下への階段があります」
「ありがとう、シスター」
俺はシスターにお礼を言って走って会談に向かった。すぐに階段は見つかり、俺は階段を降りるのが面倒でそこから飛び降りた。
「おっと」
俺はよろけながら着地をし、地下を眺めた。地下には刑務所みたいにたくさんの牢屋が並んでいた。幸い見張りは居ないようだった。気配はこの奥からしそこへ向かって俺は走った。
そして見つけた。
牢屋の奥で丸くなっている。
「誰?!」
慌てたように壁に張り付くように下がる。
「味方だ」
俺は魔力を使って無理やり牢屋を歪めて人一人が通れる通路を作った。
「君のお父さんが来ている早く来い」
俺はそう言って手を差し伸べる。
「ほ、本当!?」
ビイルの娘は俺の言葉を聞いて驚いたように声を上げ、恐る恐る俺の手を取った。その手には魔封じの手枷が付いていた。
「ああ。それ少し見せて」
俺はそう言って手枷を見て、隙間と隙間に魔力を入れて一気に膨らませた。手枷ははじけ飛んで外れた。これはどうも付けている者の魔力を抑えるようだな。まあ、触ってる人間の魔法も使えなくなってしまったら大変だからな。
娘の手の手触りは人間と肌が黒い意外に大して変わらんかった。身長から見ると十歳くらいだろうか。体は震えていた。体をよく見ると裸で、鞭で打たれた後とかが見れる。
子供に何してるんだ、あいつらは
俺は何とも言えない怒りを心に秘めていた。ここにあるものすべてが忌々しくてぶち壊したくなる。
「名前は?あとこれ着て」
俺はそんな様子を臆面も出さずにアイテムボックスから執事服を出す。
「アリサ・グレモリーです」
名前を言って服を着ようとするが、鞭の傷が痛むのだろう服が着にくそうだった。
「聞いていいですか?」
「何を」
服を着る前に傷を治しておけば良かったかな。
「あなたは人間なのに何で魔族を助けるんですか?」
アリサは俺に怖々と聞いてくる。
「そうだな……何でだろうな?」
確かに不思議だ。あそこで魔族を殺しても俺には何の損も無かった。なのに何で助けてるんだろうか。まあいいや、理屈で考える必要はないからな。
「それと一つ違ってるよ。俺は人間じゃないよ」
俺はそう言って猫の姿を見せる。
「…猫?」
「猫です。取り敢えずその傷治すから。ニャーオン(猫の癒し)」
魔族の体を光が包み鞭の傷が治っていく。
「治った。ありがと猫さん」
にこりと微笑み。服を着るスピードが速くなる。傷がかなり服を着るのを邪魔していたんだな。
「行くよ」
「はい」
俺はアリサをお姫様抱っこして、地下室から出ようとした。何となくアリサの顔が赤いの気のせいだろうか。
「どうした?」
俺と目を合わせ無い様に横を向いて
「その、男の人に抱き上げてもらうのは父以外に初めてでその…」
そう言ってアリサは俺の胸に頭を預ける。
何だろう、シリアス感が抜けてしまう。さっさとビイルの所に行かなければ。
「ただいま」
俺はそう言って堂々と教皇たちがいるドアから戻って来た。
「父様!!」
ビイルの顔を見るやアリサが嬉しそうに呼ぶ。
「アリサ!!」
ビイルもアリサに抱き着きそうな勢いで名前を呼ぶ。娘に飛びつかずちゃんと勇者を押さえているところがすごいな。
「なんで、魔族の娘がここに?」
教皇のつぶやきであたりの雰囲気が変わった。
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