40 作戦開始
現在教皇に呼ばれて来たわけだが、さすがにビイルを抱えたままだとあれなので、床に落とすようにして下ろした。
「顔を上げてください……あなたが魔族を倒したものですか?」
教皇は俺に聞いてきた。現在ここにいるのは教皇のほかに聖騎士団と勇者、グリモア司祭、それと勇者と共にここに来た治療師の巫女、そして警備兵みたいな奴が幾人か。
「はい、俺です」
「名前は何と」
そういえば俺の名前って……なんて答えよう。まあ、オズワルドでもいいか苗字があるのは貴族だけだしな。
「オズワルドです」
「オズワルドですか……恰好から見るにどこかの貴族の執事をやっているのかと思いますが?」
さすがに血だらけのボロボロ服で教皇様に会うのは止められて着替えるよう言われたのだ。執事服にはまだストックがあるから大丈夫だ。
「いいえ俺は執事ではありません。この服装には大した意味もありません」
俺の答えに教皇様は納得いかないようだが、調べても何も出てこないだろうななんせ俺は猫だったんだからな。
「教皇様!!」
また面倒な事を言い出す聖騎士団団長のご発言だ。
「なんですか?」
「この者を魔族を倒した者と認めるのですか?」
「ええ、そのつもりですか何か?」
さすが教皇と言えばいいか表情を変えずに返事をする。
「この者を調べたところ、門番や住人、冒険者ギルドに聞いた所だとこの者を知っているものはいなく、ここ最近にこの街に来たわけでもございません。そしてあれだけの強さを持ちながら冒険者ギルドにも登録されていない。怪しいです」
「おいおい、関係のない人間が道端ですれ違っただけの人を覚えている事は少ないんじゃないのか?」
俺がにやにやしながら聞くと団長が笑った。なんでだ?
「確かに普通ならな。しかし貴様は違う!!」
確信を持って言う団長の態度に少し違和感を持ちながら聞き返した。
「どういう事だ?」
「その容姿だ。銀髪の長髪そしてその服誰かが見ていれば覚えているはずだ!!」
指を差しながらこれでどうだっと言わんばかりに言ってくる。
…確かに俺の容姿なら忘れないだろうな。面倒な事になって来たな。
「それに魔族に勝てたと言うのもおかしい。貴様まさか魔族の仲間じゃないのか、魔封じの拘束具も魔族に付けていない」
「俺にとって魔族はすでに脅威ではなくなったからな。そう言うなら魔封じの拘束具を渡せ。付けるから」
俺がそう言って持ってくるように言うが
「ダメだ。貴様が付けるならつけたように見せる可能性もある」
こいつ、勘がさえてる。面倒だな。
「だから私が付けよう」
そう言って近づいてくる団長に待ったを掛けた。
「待て」
「何だ」
不快感百パーセントで俺のことをにらみつける団長さん。俺の方がもっと不快だ。
「お前が付けるのは却下だ」
「なぜだ!!」
「お前はさっき俺を殺そうとしたからだよ、さすがに毒物の付いたナイフで刺されれば俺も死ぬからな」
ウソだけど。毒耐性5で毒物で死ぬことなんてほとんどないだろうな。
「貴様!!我々は聖騎士団だぞ。そのような真似は」
俺はそんな言葉を遮り
「ついさっきまで魔族殺しの手柄を奪うために殺そうとした男の発言だとは思えないな」
俺の言葉に団長は顔を歪めた。そして教皇を見る。教皇様は団長に意味ありげに視線を向けている。
「本当ですかそれは?」
「それは、その」
たじたじになって教皇様から顔をそむける団長。
「何らかの処罰は受けてもらいます。……ですが団長の言い分にも一理あります。誰なら拘束具を付けさせてもらえますか?」
「勇者お前が付けろ」
俺の言葉に全員が止まる。
「勇者ならあなたたちも信用できますね。くだらない体裁のために殺されることもありませんし」
俺の言葉に青筋を浮かべる人たち、図星を付かれたからって怒るなよな。そんなんじゃ生き残れないぞ。
「分かりました。すいませんが勇者様付けてください」
教皇の言葉にうなづいて
「分かりました」
そして団長から拘束具を受け取り、魔族に近づいてくる。
「そう言えば団長さん」
「何だ」
団長は戸惑いながら返事をする。
「あんたの発言は間違って無かったぜ」
俺の言葉の意味が全員に分かったと同時にを魔族に近づいていた勇者は地面に叩き付けられ、魔族に拘束され勇者の首筋にナイフを近づけられる。
「動くな。動いたら勇者を殺すぞ」
さあ、作戦開始だ。
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