32 勇者登場
すいません 遅くなりました
俺が教会から出て行く時に何かが気配察知にひかかった。
何だ?この気配は人間じゃない。気配自体は小さいが強い魔力がある。これは……
俺は空中でそこに目線を向けると聖騎士団が四人がかりで大きな箱を運んでいた。日本の昔に使われていた人を乗せる籠のような形をしていたが布が上から掛けられていて何がいるのかは分からなかった。それに聖騎士団は人目を気にするように裏道を使って教会に向かっていたので、俺は不審に思ったが関わるのは吉を出ないだろうと思いそのまま無視して平民居住区に向かって跳んだ。
俺は人目につかないように裏路地に着地すると大通りにある屋台を目指して歩き始めた。大通りに出て屋台に近づくにつれ、肉のいい匂いが俺の鼻を刺激する。俺はわくわくしながら早足で屋台に近づいて屋台のおっちゃんに早速注文をすることにした。
「おっちゃん、それ一つくれ」
俺は焼いていた肉を指さした。
「ほい、銅貨五枚だ」
ここで少し、この世界のお金について説明する。この世界のお金は
白金貨 竜金貨十枚
竜金貨 金貨十枚
金貨 銀貨十枚
銀貨 銅貨十枚
銅貨 ニゼ百枚
ニゼ 鉄に不純物が多いもの
お金の単位はこんな感じになっている。一番安いパン一切れ10ニゼだ。まあ、ニゼは一円玉と思ってくれればいい。
おっちゃんは葉っぱに肉を包むと俺に渡した。俺はポケットからお金を出すふりをしながらアイテムボックスからお金を出しておっちゃんに渡した。アイテムボックスを見せるのは余り良くないと思い隠すことにしたのだ。
肉はたれが付けてあって鳥の手羽先を大きくしたみたいなもので、たれの匂いが食欲をそそった。
俺が早速かぶりついた。
たれは甘辛く、肉の表面の皮がパッリとなっていて、美味しくそして中は柔らかかった。肉汁が染み出して、さらに甘辛いたれと混ざってうまさが倍増する。簡単に言うと
すさまじくうまかった。
「おっちゃん、うまいなこれ!!」
俺は肉にかぶりつきながら言った。
「だろ、特製のたれを表面に付けて、パッリっとなるまで表面を焼く」
おっちゃんは自慢げに俺に言って胸を張る。その間に俺は一本食べ終わってしまったのでもう一本頼んだ。それくらいうまかったのだ。
「もう一本くれ、おっちゃん」
俺はその言葉と同時にさっきと同じようのお金を出した。俺のの言葉に嬉しそうにうなづいて一本俺に渡してくれる。俺は渡されるとすぐにかぶりついた。魚ばかり食べていたからな、久しぶりに食べた肉はすさまじくうまく感じだ。
そんな風に食べ歩きながら目的の屋台に近づいたその時事件が起こった。
「大変だー!!魔物の大群がこちらにこの街目指して来てるー!!」
その叫びであたりは静まり、そして騒ぎ出す。
「どういう事だ!!」
「何があったんんだ?」
「この街は大丈夫なのか?」
「静まれーーーーーーー!!」
男の叫びが場が静めた。
「ギルドマスター」
「ギルマスだ」
「ほお、あの男がギルドマスターか。」
俺は男を見て、その風格に感心したようにつぶやいてしまっう。
この町のギルドに居たことがあったが一回もお目にかかれなかったな。
以前この街のギルドで受付のアイドルをやっていた時に見れなかったが、噂ではかなり強いと言う事は聞いていた。
ギルドマスターと呼ばれた男は片目が眼帯で隠されていて、スキンヘッドだ。誰が見ても歴戦の戦士の風格が見て取れる。
「依頼を出して、すでに冒険者は集結している。魔物も数が多いが強さは大したことは無い」
その言葉でみんなは安心したように表情を緩める。俺には何でそんなに簡単に安心できるか不思議だったが冒険者への信頼と言うものだろうと勝手に結論付けて俺は目的の屋台を食べてここを出ようと思ったその時何かが吹っ飛ばされて屋台が一つ壊れた。壊れた屋台から体を出したのはローブを被った人だった。
「貴様、魔族だな!!」
吹っ飛ばされる前の位置だと思われる場所に一人の少年が立っていた。年齢15歳ぐらいで。剣を構えている。
「勇者様だ!!」
俺の横にいた小さい女の子がそう叫んで飛び跳ねた。
「魔族だと!!」
ギルマスの叫びでローブの人の周りから人が居なくなる。
「どうして気が付いた?」
男はそう言ってローブの脱ぎ去り、姿を見せた。男は全身真っ黒で目が赤かった。髪の毛は銀色だ。確かに本に書かれて通りの姿だった。なかなかかっこいい顔をしている。
「さっきお前が関所を通るときに魔法を使った気配がしたんだが、何も起こらなかった。何も現象が起きてないのに魔法の使った気配がしたのは、なぜかと考えていた。そして闇魔法にたどり着いた。関所を通るときに魔法を使って兵士を誤魔化したんだろう」
勇者の言葉に魔族は頷いた、その時一人の冒険者が飛び出し切りかかって行った。
「くらえ!!」
「馬鹿、止めろ!!」
ギルマスが叫んだが男は構わず突っ込んで行く。
両手で斧を持ち切りかかったが片腕で止められて蹴りで壁に吹っ飛ばされたが、壁との間に勇者が入り、壁にぶつかることは無かった。
あの冒険者どーせ隙ありとか思って切りかかったんだろうけどあの程度の実力じゃ無理だな。俺は内心呆れながらそれを見ていた。
「皆さんは外から魔物をお願いします。僕は魔族を」
その言葉に冒険者一同は頷いてここから離れていく。それと同時に住民も駆け出していく。
さて、魔族と勇者はどれくらい強いのかな?
俺はそう思って魔族と勇者のステータスを覗く。