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159 猫の叫び声

すいません 遅くなりました ((。´・ω・)。´_ _))ペコリ 忙しくて感想とかも見れてません

「薬が完成したよ」


研究所のドアを開けてマールが言った言葉に全員が顔を上げる。研究室から締め出された全員が今か今かと待っていた言葉に興奮する。


「一応ここにいる人数分の薬を作った」


細長いスティック型の注射器を全員に渡す。渡された全員は注射器を不思議そうに眺める。全員がこのタイプの注射器初めて見るのだった。


「こちら側を肌に押し付ければ、針が飛び出してこの中にある液体が注入される」


マールは空の注射器を自分の肌に押し付けて説明をする。アリサ、マリア、クミンは針を出し入れして調子を確かめる。魔王とザイードは中に入っている液体を興味深そうに眺めている。


「今シロウ殿は森に言っているだろう。たぶん盛大に暴れていると思うから直ぐに見つけられるだろう」

「分かった!」


クミンが返事をするとマリアとアリサとクミンが注射器を持って、外へと飛び出していった。魔王とバレルも一拍遅れて、外に飛び出していった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「どこ?」


マリアは焦るように呟く。あれから三人で飛び出したのだが、シロウを全く見つけられなかった。だから別れて探すことになったのだが、別れて探しても森がこうも広いと、なかなか見つける事は出来なかった。


ドン!!


大きな爆発のような音がマリアの耳に飛び込んでくる。マリアは足を止めて、音の方向に顔を向ける。


「距離は無い」


マリアは音から距離を考えて、確認するように呟く。爆発のような音はそこまで遠くには聞こえなかった。二度目の音を聞くと少しずつ移動しているようだったか、追いつけないほど移動している訳では無かったのでマリアは安心した。直ぐに追いつけると考える。



マリアはその音に近づくに連れてなぎ倒された木々、その他にも魔物の死体が目に入る。ほとんどの魔物が八つ裂きにされている。その死体に他の魔物が群がったりしているが、それ以上に騒ぎの中心に向かっていくほど魔物が増えているのだ。魔物はこの森に入った侵入者の命を奪おうと襲いかかってきているのだった。マリアは他の魔物に見つからないように、残っている木を足場に中心へと近づいて行った。


「見つけた」


全身魔物血で汚れている人の姿のシロウを見つけた。襲いかかってきた魔物を拳で粉砕し、蹴りで魔物体を吹っ飛ばしていく。シロウは獣のように唸り、あたりを血走った目で見渡している。シロウを止めることは、今のマリアには出来ない。マリアは一瞬だけで良いので、どうにかシロウの動きを止められないかとあたりを見回した、一瞬でも動きを止めれば注射をする事ができる。今のシロウは魔物に襲われて興奮状態なのだ。取り敢えず魔物から遠ざけたいと考えて、マリアはシロウに襲いかかってこようとする魔物を片っ端に殺していく。マリアに殺せないほどの魔物はいないので、どうにかシロウに魔物と戦わせないことは出来た。魔物が近づいてこなくなったので、マリアはシロウの様子を見る。シロウは魔物が襲いかかってこなくなった事で少し興奮が収まったのだろう。殺気が収まっていた。


マリアは今のシロウなら、すぐに襲いかかってこないと思い、シロウの前に姿を見せる。下手に姿を隠して近づいてシロウに刺激を与えないためだ。マリアが近づいてくるとすぐにシロウは気づいて、マリアの事を睨む。マリアに敵意があるか見極めてようとしているようだった。マリアこのまま近づけば、注射器を刺すことも出来るのでは無いかと期待していた。だがマリアは甘かった。マリアが手を伸ばせばシロウに触れられる距離に近づいた時にシロウがマリアに襲いかかってきたのだった。マリアが手に持っていた注射器がその衝撃で、マリアの手から飛んでいく。マリアはそれに一瞬焦りを感じたが、シロウが自分に対して攻撃をして来ないことに気がついた。そして今のこの行動も敵意が無いことに気が付く。シロウはマリアを地面に押し倒すと首元の匂いを嗅ぎ出す。


「んっ」


マリアはシロウの鼻先が触れるとくすぐったそうに声を漏らした。それから獣ように体をこすりつける。それからマリアの太ももへと手を伸ばす。


「シロウ?!」


そこで初めてマリアは焦った声を出した。こんな展開になるとは思っていなかったのだ。マリアは手足をばたつかせて、どうにか拘束が逃れようとするが、逃れることは出来なかった。シロウは一旦太ももから手を離して、マリアの体を抱きしめる。そこでマリアは抵抗をやめてしまう。何となくこのまま襲われても良いかなと諦めの気持ちになっていた。シロウに対して拒絶感を持っている訳でも無かったし、命を救ってもらった恩人でもある。恩返しと言うことでなら。マリアはそうやって諦めるとシロウと同じように、シロウの首元に唇を近づける。マリアは半ば本能のままに、首筋を舐めるとそこに噛み付いた。


チュー


吸血鬼の愛撫の中に吸血と言う行為も含まれる。マリアはそれを本能的にやったのだ。シロウの体から血が抜かれていく。


「マリア、何してるのお前? と言うか俺は何をしてるんだ?!」


血を抜かれたことにより、幸運にもシロウの頭に登っていた血を抜き取り、さらに毒を一緒に血を抜いたことで興奮状態が和らいだのだ。シロウは正気に戻ったのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



シロウが最初に感じたのは首筋の痛みと自分の中から血が抜けていく感覚だった。少し冷静になると俺は自分が何をしていたか思い出した。自分は抑えられなくなった性的興奮を暴力に変えて、魔物にぶつけていたのだ。だけどその途中から記憶が途切れている。どうやらそこで正気を失ったようだった。

そこまで思い出したところで、誰かが自分の首に噛みつていることに気が付く。視線を向けるとマリアが噛み付いて、自分から血を吸っていたのだ。今も尚それが続いていることによって、自分は正気を保っていられるようだった。


「マリア、なにしているのお前? と言うか俺は何しているんだ?!」


マリアに声をかけたと同時にマリアの姿が目に飛び込む。凄まじく色っぽい格好をしていたのだ。そして自分がマリアを地面に押し倒している状態を認識すると思わず叫んでしまった。マリアがシロウの叫びを聞いて吸血をやめて、首から口を離す。


「あれ、シロウ正気に戻ったの?」


マリアは頬を赤らめながら問いかける。その状態に俺の混乱は拍車をかけた。だがそれと同時に別の衝動も拍車を掛けたのだった。


「や、やばいっ」


シロウは歯を食いしばって、その衝動を押さえ込んだ。その衝動とはマリアを襲ってしまいたいという衝動だった。目の前にいる少女に襲い掛かりたいという。


(おいおい、相手は人だぞ?!)


シロウは混乱していた。猫に襲いかかるのならまだ分かるのだが、なんで人になるのか。実際動物でも他の種類の動物に襲いかかることはあるのだ。それほど不思議な現象でも無かった。


(俺がマリアを女だと理解しているからか?! それとも別の理由が?)


シロウは性欲を抑えながらこの原因を探っていたが、その原因を考えている時間はなかった。マリアが吸血をやめたことにより、興奮状態が戻ってきているのだった。シロウは自分の意識が薄れていくことが分かる。このままではマリアに襲いかかることも予測がつく。


「くそったれーー!」


シロウの意識は叫びと共にそこで途切れた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



シロウが翌朝目覚めると、ベッドに寝ていた。


「あれから一体どうなったんだ?」


布団から上半身を起こすと、自分の体が裸である事に気が付く。シロウはそれと同時に昨日の出来事を思い出す。自分がマリアに襲いかけたことを。そこで自分が寝ている布団にもう一人寝ていること気が付く。シロウは恐る恐るそちらに顔を向ける。そこにはマリアが寝ていた。


「ニャアアアアアアアアアアアアアアア!!」


窓ガラスが割れる音と猫の叫び声が辺り一帯に響き渡った。


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