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145 大事なことだから四回言った 

モンハンと新作でウズウズしてます。新作を早く投稿したい!!←録にストックない人



「これオシャレじゃない?」

「クミンちゃん、こっちもどう?」

「これ、良い」


三者三様に好きな服をお互いに着せようとしている。クミンがアリサにお姫様系の服を勧めている。色はブラックレッド系で色から血を連想させる。マリアはクミンに白黒のゴスロリ服を勧めている。アリサはマリアに水色のワンピースを勧めている。俺はそれを椅子に座って眺めている。正直退屈で仕方ない。


そう、三人がしているのはショッピングだ。ここは魔族の街中なのだが……。



そびえ立つ建物。ウインドウの中に飾られているおしゃれな服と装備と武器。仲良く外のカフェでデートしている魔族のカップル。車や自転車が無いが、それ以外は特に現代の日本と変わらないだろう。ファーストフードを思わせるお店まである。

スマホ、携帯などの通信機器は無いようで、そう言った物を持っている魔族は見られない。街の中には交番のようなものまである。中には武器を持った魔族がいるが、道案内もしているようだ。平和な街が広がっていた。




「……人多い」

「そうだね~、マリアちゃん」

マリアは人が多いと言うが、人間の国の城下町よりは人間は少ない。元々魔族人口が少ないから、人が多いと思うのだろう。

マリアは人ごみに苦手なようで、少し疲れたような顔をしている。

「ここはいつ来ても人が多いわよ。なんて言ったって勇者が作った街で、人気なんだから」

クミンは諦めたようにそう言って、マリアとアリサに飲み物を渡す。

「でも実際は勇者が作ったわけじゃ無いんでしょう?」

「この町のアイデアやイメージなんかを後任の魔王に託したらしいよ」

「教科書にはそう書かれてあったね」

つまらなそうにクミンはそう言って、俺を撫でる。そんな所に俺を連れてきた理由が分からない。正直俺をここに連れてくる理由が見当たらないのだが……

「それじゃあ、ショッピング行こう」


冒頭に戻るわけだが、正直三人のファッションショーに興味が無いから、椅子に座って見ているだけなので、正直退屈で仕方がない。俺はあくびをしてむにゃむにゃと、唸っている。ペットのカゴのような物に入れて運んでくれれば、その中て寝れるのだが、抱っこして俺のことをそのまま連れて来ているので、深くは寝れない。いい感じに寝れそうになると抱っこされた時に起こされてしまう。眠いのに……ある意味生殺しだ。と言うかこのお店に猫入っていいのかな?半ば寝ぼけている状態で、そんな事を考えていた。



俺が後一歩で寝れそうになった途端、クミンが俺を抱き上げる。どうやら服が決まったようで、この店を出るようだ。もう少し時間を掛けてくれれば、深く眠れたのに。俺はそんな不満を持ちながら、目を開けてクミンに訴える。クミンは俺の目線に気づいて、あやすように俺の頭を撫でる。

「アハハ、ごめんね。次はシロウの番だよ」


え?俺の番?


「じゃあ、シロウちゃんも服を着ようね~」


どうやら、俺もこのファッションショーに参加するようだ。俺は心の中で大きなため息をついた。俺の体に次々と服を着せてくる。


「う~ん、白い服を着せるのをやめよう。シロウちゃんの毛の色と同じだと服を着ているのが分からない。やっぱりここは黒い服を着せたい」

「でも、黒なら布の面積を減らしたい」

「黒が目立つ」

「マリアの言う通り。でも私は、白に近い灰色の服を着せて、シロウのこの綺麗な白い毛を強調させたい」

「「それ(です)」」


どうやら買う服は決まったようだ。さっさと終わらせて、寝かせろ。


「フニャ」


俺は不貞腐れたような一鳴きすると、そのまま目をつぶった。


「帰りに美味しいもの食べさせてあげるから、ね」


俺のいじけ様にクミンが俺をあやすように言う。クミンのそんな言葉にも俺は無反応でいた。そんな食べ物で俺が許すと思っているのだろうか………まあ、食べ物が美味しかったら、許してあげてもいいと思う。俺は尻尾でポスポスとクミンを叩いて、抗議はしておいた。


次にクミン達が向かった場所は、どうやらスイーツの専門店のようだ。お店の中に入ると、クリームなどのケーキに関わる匂いがした。正直俺が食べたいのはケーキじゃなくて、マグロなんだけどな。


飲食店にも関わらず、クミン達は俺をお店に入れている。普通はペットお断りじゃないのか?だけど店員が注意しないところを見ると、別段問題が無いようだった。まあ、猫の状態で下手なものを食べて、体調を悪くはしたくはない。最悪猫の癒しで体調は元に戻るだろうけど。


俺がそんな風に考えていると、俺の目の前にケーキが出される。


「ふにゃ?」


俺が疑問の鳴き声を上げると、クミンが訳を話してくれる。


「シロウ、サービスだって。食べていいよ」


サービスね~。


俺は自分の目の前に置かれたケーキを見た。ケーキの生地はスポンジで、その上にクリームは乗っている。砂糖が少なめで、ミルクと卵が主体のクリームだと言う事が匂いでわかる。果物がいくつか乗っている。猫の俺が食べて大丈夫なのだろうか?まあ、悩んで分かるものでもないし、食べてみるか。


パクッ!


口の中に表面のクリームが入ると、ほのかな甘さが口の中に広がる。クリームには特に問題は無かった、次に果実をクリームと一緒に食べると、果物の酸味とクリームの甘さが丁度良かった。スポンジも食べると、スポンジは少し固めで、果物の水分を考慮したのだろうか?スポンジが果物の水を吸うと、スポンジがベチャベチャになってしまう。このケーキの味は特に問題は無かったが、一つだけ問題がある。それはー


「アハハ、シロウちゃんの顔クリームで汚れてるよ」


アリサが言うように、俺の顔はクリームでコーティングされていた。食べる時にケーキに顔を付けたので、

顔の毛なのでクリームが毛に付くのである。すでに三回もケーキに顔をくっつけているので、顔はクリームだらけだ。


「こっちおいで、シロウ」


クミンが俺を手招きして呼ぶと、俺の顔についているクリームを拭いてくれる。


「シロウとはクリーム系のケーキは相性悪いわね」

「フニャ」

俺は同意するように一声鳴くと、自分でも顔を拭く。それに紛れてバレないようにフレッシュで体をきれいにする。流石に拭いただけでは、毛の隙間に入ったクリームは取りきれない。なので、魔法で綺麗にしたが………。


やっぱりこの魔法の欠点は、気分的には綺麗になった気がしない。帰ったら風呂に入ろう。



俺は自分の顔を綺麗にしながら、そう思った。



お店を出ると、お昼を過ぎた頃になったことで、更に街に出ている人たちが増えていた。俺はその増えようを見て、ため息しか出なかった。この中を歩くのかと思うと、歩く前から疲れてしまう。まあ、歩くのは俺じゃ無いけどな。


その人混みをクミンに抱っこされながら歩くのだが、正直いつものより移動スピードが遅い。普段の移動スピードに慣れていると、イライラして仕方ない。ここにいる魔族を猫の咆哮を一掃したくなる。

俺がイラついているのを察したのか、クミンが俺の頭をあやすように撫でる。俺はそれで少し機嫌が良くなるが、それでもイライラすることには変わらない。


やっと、人混みを抜けるとひとつのお店の前に出る。


「やっと到着した~」

「疲れたよ~」

「疲労困憊」


俺たちの前にあるのは高級魚類店のようだ。ドアの前でクミンは俺をアリサに渡すと、自分の服装を整えて確認している。中に入るとお店の店員が横一列にならんで待っていた。


「「「「ようこそ、いらっしゃいました。クミン様、アリサ様、マリア様」 

「予約したものは用意できていますか?」

クミンはいつもと雰囲気と言葉遣いが変わった。店員の対応を見ると魔王の娘として、このお店に来ているみたいだ。いつもの年相応の少女としてではなく、魔王の娘としての言葉遣いだ。


「はい、ご注文の品は準備出来ておりますよ」


店員が自分の影に用意していたものを取り出す。


「感謝するわ」


「にゃあああああああああ」


俺は声を上げて喜んだ。そこにはー


「ご注文のマグロでございます」


マグロだ!マグロ!マグロ!マグロだ!


大事なことだから四回言ったぞ。頭ないけど丸ごとマグロだ。クミンは受け取ると、自分の影に放り込んだ。これが俺のご褒美かな。俺は期待の目をクミンに向ける。クミンは用事が済んだとばかりにお店を出て行く。


次回 お昼寝回です><

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