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129 港を立つ

翌日船の大半は港から姿を消していた。昨日壊れた船は修理のために別の港へ移動したらしい。メインマスト丸々無くなったので、移動したそうだ。メインマストを変えるのには時間がかかるらしい。メインマストが丸々無くなるなんて本当に不運なことだ。


俺が乗る船はそんな不幸なことに巻き込まれることなく、予定通り出航できるという事だった。お昼には船を出すということだった。いやー幸運なことだ。護衛について聞いた所、護衛は付けないそうだ。理由は船員の中に魔法が使える物がいるという事で、話を聞く限りかなりの手練らしいが。……なんでそんな人間が船員をしているかは謎だ。船員なんかにならなくても、稼ぐ方法はあると思うのだが……訳ありなのだろう。俺は深くは追求しないことにした。


今日は雲ひとつ無い晴天だ。出航するにはいい日だろう。そして俺たちの船は港を立った。



俺は何時もと同じように外で昼寝をしようとしたが、雲が無いということは、日陰がなく太陽が激しく照りつける。昼寝をするには暑すぎるのだ。正直気が進まないが、俺は船室で寝ることにした。船室は空気が濁っているので俺は精霊魔法外の空気は船内に入れながら眠りについた。船酔いになることもなく、船の揺れが揺りかごのように私を眠りへと誘うのだった。そんな退屈な時間が過ぎていく。



そんな退屈な時間が少しだけ終わるのことがあったのだ。海の魔物が出現した。俺は船室を飛び出し甲板に飛び出す。そして俺の目に飛び込んだものは海蛇だ。青いウロコに覆われ、海面から三メートルほど出ている。

「全員モリを持て!船に近づけさせるな!モリがないものはオールを漕げ!魔法を唱えるまでの時間を稼げ」

船員に指示を出しているおっさんの手にもモリが見られる。海蛇は船を並走する。海蛇はこの船に体当たりしようとしているが船員がモリを振り回していることによって、海蛇に体当たりをさせないようにさせている。だが海蛇がその気になればモリなんか気にせず体当たりをしてくるだろう。だが体当たりをさせないようにしていることで海蛇のスピードが遅くなり、オールトによって船のスピードは上がったことにより海蛇がだんだんと後方に流れていく。


だがそれで見逃す海蛇でも無かった。完全に船の後ろに回るとものすごい勢いでこの船に迫ってくる。

「まずいぞ、このままじゃ船が」

誰かが呟くその時。

「フレイムキャノン!!」

ついに魔法の詠唱が終わって、海蛇に炎の砲弾が飛んでいく。海蛇に炎の砲弾が当たると炎が海蛇を包み込む。海蛇は海の中に消えていった。案外あっさり海蛇は倒されたな。俺がそんな風に思っていたら

「逃げるぞ!!、全力で漕げ!!」

おっさんがそう叫び、モリを持っていた全員がモリを投げ出し船の帆を動かして帆に風を当てる。そうして船のスピードを上げて先ほどの場所から遠く離れた。先ほどの場所からかなり離れたとき盛大に水しぶきが上がる。どうやら先ほどの海蛇を倒しきれていなかったようだ。さすがにここまで離れれば大丈夫だと思う。おっさんも倒しきれていなかった事が分かっていたのだろう。経験と言うものだろうか。爺さんは経験が浅いと言っていたがそんなことは無いんじゃないだろうか。

おっさんはオールを船員に渡して一息付くと、海を見ると安心したように呟く。

「ここからは海流に乗っていけば魔族に国につく」

という事は海で迷子になることは無くなたと言う訳だ。これで安心という事だ。

俺はそうやって安心しきっていた。






「うえーーー、気持ち悪い」




そんな風に安心していたら、船が嵐に巻き込まれたのだった。船は上下左右に揺れに揺れて俺はダウンしていた。いくら船酔いに強いと言ってもここまで揺れられると気持ち悪くなって仕方がない。まだ吐いていないのが奇跡のようだ。船長には船の中に入っていろと言われたが、このままでは密閉空間にいては吐いてしまう。ゲロだらけの部屋で生活するのは嫌だ。俺はよろよろしながら船室から出て甲板にでた。

甲板の外は暗く雨風が強く振りつけていた。外に出たとたん俺の毛が雨によってびしょびしょに濡れる。短い時間でこのずぶ濡れ具合。さっさと吐いて部屋に戻ろう。俺は海に顔を突き出して胃の物を吐き出す体制を取った。

その時、船が大きく揺れる。それと同時に俺の体が船の外へと投げ出された。



「おっと」


俺は咄嗟に尻尾を引っ掛けて、落ちるのを回避する。危ない危ない。



ザバァ!!



と俺が安心した所に俺が気を抜いた瞬間高波が襲い海へと引きずり込む。俺は海へと投げ出された。


「がぁ、ごっほごっほ」


しまった!気を抜いたの同じように尻尾の力も抜いたから海に。俺の小さな体が波でもみくちゃにされる。それによって俺から冷静な思考を奪われる。


息が出来ない。


俺は前足を必死に動かして海面に顔を出そうとする、空気を求めて。


しかし、その願いは叶わず俺は波に飲まれ意識が途絶える。







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