128 船に揺られて
「ふぁ~」
俺は大きく欠伸をして、朝を迎えた。俺がいるところはリリアナ達姉妹の部屋ではなく、船の隅っこの部屋だ。俺朝日を浴びるために船室の外に飛び出していった。
「おはよう、おっさん」
「ああ、朝飯だ。釣りたての魚だ」
未だにピチピチと動く魚を俺の目の前に吊るす。
「おう、食べる」
俺は飛び跳ねると、おっさんの手から奪い取るようにして魚を口に咥える。
「アグアグ」
魚を前足で押さえつけて、魚のお腹に食らいつく。生きが良い魚は新鮮なのでおいしいのだ。食事はとても上品とは言えないが、新鮮な物がそのまま食べれるのは中々良いものなのだ。
「食料が現地で調達出来るのでいいですね。食料は積んでいる必要は無いですし、しかも魚一匹で済むので」
船員の一人がそんな事を言いながら俺の顎を撫でる。
「猫ですから」
俺は胃の中に魚を収めると日当たりがいい、船の天井で昼寝です。辺はまだ森から完全に出ていないが、林程度のなった。船は帆をたたみ、川の流れに任せて船は進んでいる。
「港には二晩止まる予定だ。船が出るまでにば帰ってきてくれれば何をしていても構わない」
「分かった」
とは言ったものの、特に外に出てする事は無い。一日中寝ているのが良いかもな。最近は戦闘イベントで体に負担が掛かり過ぎたせいか、睡眠欲が強くなった。あれだけ寝たのにまだ眠くなる。あの技はそれなりのリスクと共に睡眠欲が強くなる副作用でもあるのか?でも一ヶ月も経っているのに……ただ単に俺が眠いだけなのかな?
俺はそんな風に考えながら、睡眠欲がに任せて俺は眠りについた。
船酔いに強い俺は安らかな眠りつくことができるのだった。
港までの旅の殆どを寝て過ごした。朝は太陽が上がると共に目が覚めて、魚を食べてお昼まで寝て過ごすそんな感じだ。
港に着くと船員はよろこでん船を飛び降りていく。港に着いて地面な恋しかったにしては、すごい喜びようだ。
「おっさん、あいつらは何を喜んで降りていくんだ?」
「ん?娼婦の所に行ったんだ、長い航海で溜まっているからな」
「そういう事か」
俺は猫になってから性欲と言う物が全くなくなった。たぶん本当なら子供が作れる時期、発情期が来るはずなのだが、寿命が長いせいか発情期が来なかった。
「おっさんも行くのか?」
「私はその前にしなければいいけない事が色々ある。発散させるのはその後だ。お前はどうするんだ?」
「今日も一日中ゴロゴロしてるよ、あっでも久しぶりに肉が欲しいかも」
「肉は買ってきてやる、船番を頼めるか?」
別に船にいるだけなら構わないかな。
「ああ、いいぞ」
「分かった、任せたかな」
おっさんはそう言うと船から降りていった。
俺はおっさんが船を降りた後、港を観察した。港の辺は沢山の船が並び、多くの人間が行き来をしている。
その中には帰属と思われる人間から冒険者まで色々な人間が来ている。貴族は物品の値段の交渉、冒険者は護衛の話などをしている。やはり海にも魔物が出るようで冒険者の護衛は必須なようだ。
この船にも護衛が付くのだろうか?もし、そうなら正体がバレる恐れがあるから喋れないな。喋ったら面倒な事になりかねない。はぁ~過ごしにくくなるね、あーヤダヤダ。
船の上ゴロゴロとしていると、良からぬ事を考えてか船を物色している輩が幾人かいる。夜あたりに忍びにでも来るのかな?まあ、来れば殺すけど。
俺は物色している輩数人を目に焼き付けて置く。
夕方になると、船員が戻ってくる。全員満たされたような顔だ。色々発散させてきたのだろう。戻ってきた船員は周りにいる人間と話しながら食料や積荷を運んでくる。それが終わる頃におっさんが戻ってきた。
「積荷は全部積み終わったのか」
「「「はい」」」
「おい、猫。肉を持ってきたぞ」
おっさんは肉の塊をぶら下げていた。
「おお、肉肉~」
荷物を積み込むことは終わっていたので、この近くには船員しかいない。だから俺は声を上げて喜ぶことができた。
「ほれ」
おっさんが皿の上に肉を載せてくれる。俺は肉に食らいつた。確かにこの船の中にも肉はあるのだが、塩漬けにされていて、しかも若干腐っているのだ。焼けば問題が無いようだが、それでも嗅覚がイイ俺としてはそのような肉は食べたくは無かったので遠慮させてもらった。
生肉だから特に味付けはなかったが、それでも十分美味しかった。新鮮な食べ物とは美味しいものだ。肉と食いちぎって口に入りやすい大きさにして咀嚼する。
モグモグ
俺は肉を食いながら物色していた輩の事を報告する。おっさんは既に事の情報を知っていたようで特に驚く様子は無かった。理由を聞くと
「港で船を狙った盗賊がいることを小耳に挟んでしてな。今日は見張りをいつもの倍にするつもりだ」
「そうか、モグモグ」
それからはお肉を食べることに集中した。
夜、誰もが寝静まっている時間だ。でも、この時間でも船の中には見張りが起きている。夜に交代制で見張りをやっているようだ。船の中で物音が二時間から三時間ごとにする。その音が俺を深い眠りに行くことを阻むのであった。
そしてついに堪忍袋の緒が切れた。この騒ぎの元凶である盗賊が見つかったようで、港は一気に騒がしくなる。俺は船を飛び出し外に景色を目に入れる。その景色には向こうの船のマストを飛び乗って逃げる盗賊の姿が見える。
俺はその姿に怒りを覚える。良くも良くも俺の眠りを妨げてくれたな。
「吹き飛べー!クソ野郎ーーー!!ニャアー(猫の咆哮)」
俺の口から出された破壊光線は船のマストごと盗賊を跡形もなく消し飛ばした。猫の咆哮の直線上に置いてある物は全て消え去る。辺の人々はその光景で静かになる。
「これでやっと寝られる」
俺の呟きくが、その声は誰の耳にも届かない。20分後に辺は盛大に騒がしくなったが、その時には俺は深い眠りについていた。




