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101 ただいま

「ただいいまー!!」

俺が機嫌よく声と高らかに上げてドアを開け放った。さあ、これで油揚げを作ることができる。

「冬の蓄え用の肉取って来たぞ!!」

「あ、お帰り」

俺が帰って来て最初に声を掛けてくれたのは少しボーっとしていたエリカだった。

何だ?なんか悩みでもあるのか?まあ、いいや。俺には関係ないや。

「カシムたちは?」

「地下の貯蔵庫にいます」

「地下の貯蔵庫?」

あれ、この家に地下なんてあったのか?そもそも貯蔵庫って……。

「どこにあるんだ?」

「階段の所です」

階段の所?階段の所に地下への入口なんてあったけ?この家の歩き回った時にそんな物は無かったはずだぞ……。


「あったかそんなもん?」

「ちょっと分かりにくい所にあるから、ちょっとついて来て」

「うん」

俺はエリカの後について行くと階段の前に止まった。


「おいおい一体どこに地下の貯蔵庫があるんだ?」

「ここよ」

エリカはそう言うと階段の前にじゃがむと階段を持ち上げた、持ち上げた?!そして階段の下に階段が!?


「階段の下に階段?!」

「見つけにくい場所にありますからね」

見つけにくい場所にあるて言うより、完全に隠してるんじゃないか?忍者屋敷かよ、ここは!!


「まあ、いいや」

俺はそう言うと階段を下りて行った。階段は石で出来ていて暗く冷たかった。


「暗いな。精霊よ、闇を照らせ」

俺の言葉に応えて、精霊が闇を照らしてくれる。周りも石で壁が作られていた。


タ、タ、タ、タ、タ、タ、タ


俺が階段を降りる音が静かに響いていく、その音だけで世界に自分だけと思わせるような静かさだ。そして暗闇と階段が永遠に続くと感じてしまう。


意外なことに階段はすぐに終わりを告げてくれれた。階段を降りたすぐの所に木で出来た扉があった。俺はゆっくりと扉を開けるとカシムとカナリアが手を掲げて精霊魔法で氷を作っていた。


「寒いのはこのせいか」


「……帰って来てたのか」

「……帰って来たんですね~」

俺の声に気づいて声を出したが、氷を作ることに集中しているようで、反応が遅かった。

「ああ」


「何をやってるんだ?お前たちは氷を作っているんだろう?さっさと作れば良いんじゃないか?」

カシムは手を掲げたまま顔をわずかにこちらに向けて答えてくれる。

「ただの氷ならすぐに作れるんだけどね。溶けにくい氷を作っているんだよ、溶けにくい氷を作るには一手間いるんだ」


氷なんてどれも同じようなもんじゃないのか?溶けにくい氷なんてあるのか?


「氷って言うのはね、空気が入らないようにゆっくりと凍らせて行くと溶けにくくなるんだよ」


俺の心を呼んだかの様にカシムが解説をし始める。


「だから精霊魔法でゆっくりと空気が入らないように氷を作って行くんだ」

「へえ~」

生活の知恵と言う奴なんだろう。しかし疲れそうだな、様子を見る限り氷が作られている間ずっと精霊魔法を使い続けなければならないみたいだ。


「だから氷が出来るまで少し話は待っていて欲しいんだ」

「分かった」


俺はそう言うとさっさと上の階に上がって行った。ここは寒すぎる。猫は丸くなるに限る。



「あれ、どうしたの?」

「氷を作っている最中だから後でだってさ、せっかく色々とって来たから捌いてもらおうかと思ったんだけどな」

俺が残念そうに言うと、エリカは少し考えるような仕草をして。

「……何を取ってきたの?」

「イノシシと鳥だ」

「イノシシと鳥ぐらいだったら私でも捌けるよ」

「おお、そうか。なら任せて良いか?」

「うん!!」

「じゃあ、どこに出せばいい?」


「こっちに出してくれる?一匹ずつ」

「分かった」


俺は台所にアイテムボックスからイノシシ一匹を出して、エリカに任せて、台所の椅子に飛び乗って解体の作業を眺めていた。




「そう言えばお前そんな事が出来たのか……」

俺の言葉に返事をしながら血抜きを始める。

「うん、教えてもらったからね」

「ふ~ん」

イノシシの血をあらかた抜き終わると、頭から尻尾にかけて縦に切り裂き、内臓を抜き出していく。その後頭を切り落とし、次は前足の皮を切り、そこから皮を剥いでいく。意外と手馴れているな。


「まずはここまでかな、次の出して」

俺は無言でアイテムボックスを開けて、次のイノシシを渡した。そして同じことを繰り返すて行くその間に会話は特に無かった。特にそれが居心地が悪いと言う事は無かった。俺が終わりそうだと思ったら次を出す準備をして、終わったら渡す。ついにイノシシの解体は終わり、鳥に移る。




「ねえ?」





この沈黙を破って突然声をエリカが声を出した。俺は今の沈黙に慣れきっていたので言葉すぐに返すことが出来なかった。


「……なんだ?」

「私、告白された、どうしよう」

「良かったな、付き合えば」

数刻の沈黙

「それだけ?!」

エリカがそんなすっとんきょうな声を上げて俺を非難する様な声を上げる。

「お前は俺に何を求めてそんな事を言ってるんだ?」

「いやだって乙女が恋で悩んでいるんだよ、何かないの?」

「……相談相手が間違っていると思わないのか?」

俺の呆れた声にムスッとした顔で振り返って怒ってくる。

「だってお父さんにもお母さんにも相談しにくいんだもん!!」

「だからって猫に相談するなよな、俺は猫だぞ、もう一度言ってやろう、俺は猫だぞ!!」

俺の『猫』と言う言葉で若干言葉の勢いは落ちるが。

「それでも何かアドバイスとから、ほら私より長い間生きているだし」

それでも何か言って欲しそうに俺に言う。だけど一つ反論したい。

「俺はお前より年下だぞ」

「嘘!!」


エリカの驚きの声が台所に響くのだった。




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