勇者格付けチェック
「・・・でっけー・・・」
「ここが勇者ギルド王都本部です」
俺とリオは勇者ギルドに来ていた。
「ここで勇者登録をします」
勇者登録か・・・やっと勇者として認められる訳だ。
でも、ここでリオともお別れかあ・・・さみしくなるな。
「そうですか?以外ですね」
「なっ!?」
「口に出てましたよ?」
うわー・・・恥ずかしいな。
クスクスと笑うリオを見て赤面した。
「まあ、フウトさんとの旅はなかなかハチャメチャで楽しかったですよ」
「そうか。そりゃあよかった」
「ではいつかまた」
「おう。元気でな」
そう言うと、リオは城へと去って行った。
*
ギルドの中は、なかなか賑わっていた。
とりあえず並んで、俺の順番を待つ。
「お待たせしました!要件をどうぞ!」
「えーっと・・・勇者登録をしたいんですけ
ど・・・」
「新人勇者さんですね!お名前をどうぞ!」
「椎谷風人です」
「シイヤフウトさんですね!次は戦闘能力を調べます!」
そういって取り出されたのは、笛だった。
普通の笛と違うのは、よくわからない文字が書かれていることだ。
おそらく、呪文だろう。
「この魔道具を握ってくだだい!握るとおとが鳴るので、その高さで初期ランクが決定されます!」
言われる通りに握った。
・・・。
・・・。
・・・。
「・・・鳴らないんだけど?」
「はい!了解です!Fランクですね!今はまだゴミ虫レベルですが頑張れば虫ケラぐらいにはなれますよ!どんまいどんまい(笑)」
「絶対応援してないだろ!」
っていうか・・・あのステータスで最低ランク?なんで?
・・・もしかして、魔力で強さをはかるのか?だとすれば確かに鳴らないだろう。
「とりあえず自称勇者のゴミ虫さんにも勇者カードを一応渡しておきますね」
「何?イジメ?これイジメ?」
「虫に対して何いっても許されるのでイジメじゃないです。区別です」
カードは白に赤でデッカくFと書いてあり、そのしたにはクズという読み仮名が書かれていた。
*
その夜。
魔王城にて。
「ぎゃああああっ!?何だこの耳触りな音はあああああ!!」
魔王アスデモウスは耳を押さえて床を転げまわっていた。
「くっそー・・・俺様に対する嫌がらせか?スケープゴートにするだけじゃ飽き足らんというのか!?」
「魔王さま。少し落ちつい「ていられる訳ないだろう!」」
ぎゃーぎゃーとわめく彼らは知らなかった。
これが人間には聞こえない超音波で、それが王都の勇者登録によるものだということを。
*
とりあえず俺は勇者ギルドを出て(出るときに塩撒かれたケド)、宿を探すことにした。
路地裏をやさぐれてぶらぶら歩いていると、何かにつまづいた。
「うおっ・・・なんだよ・・・」
そう毒づいて下をみると、ボロ切れが転がっていた。
・・・いや、違う。
これは、フードを被ったボロ切れのような人間だ。
「な!?だいじょうぶか!?」
そういって俺はそいつを揺さぶる。
しかし、反応が無い。
息は、しているようだ。
うーん・・・どうしよっかな?
*
結局、宿に連れて行くことにした。
途中で大きな旅行カバンを買って(見た目の三倍の量が入る四次元ポケッ○モドキ)その中に押し込んでから宿屋に向かった。
「らっしゃーい。何人?」
「一人」
「一泊10Gな」
危ない。ギリギリだった。
「ほれよ。カギ。103な」
俺はカギを受け取り、部屋にはいった。
とりあえず、袋から気絶している人間をとりだして、ベットに横たえる。
*
「ん・・・ここは・・・?」
しばらくすると、そいつは目をさました。
「ここは宿屋だ。倒れているのを拾ってきた。俺は椎谷風人。お前は?」
「・・・ボクは、フィー」
「フィーか。フィーは何であんなところに倒れてたんだ?」
あんな路地裏でこの少年・・・といっても同い年くらいだろうが・・・倒れていた理由が気になる。
「お腹減って・・・」
「親は?」
「食されました」
え。マジか・・・
「あの、貴方は・・・?」
「ん?ただの勇者だ」
「勇者!?」
そういうとそいつは、ベットのすみっこに逃げた。
「え・・・えっと・・・」
「何が目的ですか?」
「いや・・・別に・・・」
「嘘です」
「う」
親に届けて謝礼金を貰おうとはしてたけど・・・
「何が目的ですか?」
「・・・親に届けて謝礼金を・・・」
「・・・見ごとに失敗しているじゃないですか・・・」
同情の視線が痛い。
「とりあえず風呂に入れ」
俺は苦し紛れにそういった。
「え」
しかし、そいつは硬直してしまった。
「え、じゃなくて・・・早く入れ」
「イヤです」
断られた
「いや、でも・・・」
「イヤです」
「入れ。でないと無理やり入れる」
「イヤですーーー!!」
男にしては高い声で叫んでから、ジタバタして抵抗しはじめた。
「入れよ!汚いだろ!」
「だが断る!」
「ええい言うことを聞けーー!」
「変態さんですー!ボクを脱がして『ゲヘヘ。おいちゃんといっしょに入ろうか』とか言おうとしてますー!」
「お前なんて悲鳴あげやがる!?」
抵抗するフィーを取り押さえて、ズボンと下着をいっぺんに脱がす。
「・・・え?」
しかし、下半身を見た途端に、固まってしまった。
なかったのだ。
そして、抵抗したことによりフードが脱げた頭には・・・
猫耳がついていた。