バグはどこでも最凶です
この小説は主人公最強です。
「これにて謁見を終了とする!」
近衛兵の言葉で俺たちは解放された。
・・・いや、ホントにキツかった。
だって・・・
三時間立ちっぱなしだぜ?
しかも、あの王様やけに偉そうに『早く魔王倒してこいよでないと元の世界に帰らせないぞアアン?』っていう内容のことを五回も繰り返しやがるんだ。
五回もだぜ?
よくもまあ、あんな王様なのに暴動が起きないもんだ。
ちなみに、姿を動物でたとえるならウシガエルだった。
*
「次はお待ちかねのステータス確認です」
その日の午後、俺たちは神殿に向かった。
向かったんだけど・・・
「・・・神殿って・・・あれ?」
「あれです」
「・・・ホント?」
「はい」
「・・・Really?」
「はい」
そこには、ボロっちい木造の寺みたいなのがあった。
え?神殿?寺もしくは廃墟じゃないの?
「・・・歴代の勇者も毎回毎回驚くんですけど・・・何か変なんですか?」
「いや・・・なんと言うか・・・うーん・・・」
いや、確かに神様祀ってるんだから神殿といえなくもないんだけど・・・
でも神殿ってさあ・・・白い柱のあれじゃないの?アポロンだのアテナだのの・・・
「微妙過ぎてなんともなあ・・・」
「大神官様に聞かれたら焼かれますよ?」
焼くんだ!?殺すとかじゃなくて焼くんだ!?
でも・・・焼くかあ。
魚ならいいんだけどなあ・・・
魚かあ・・・
そういや焼き魚最近食べてないなあ・・・
魚なら素焼きがいいなあ・・・
「照り焼きはいやだなあ・・・」
「あ、素焼きならいいんですか・・・」
「そりゃあねえ・・・食べやすいし」
「食べる!?」
「美味いからなあ・・・」
「そ・・・そうですか・・・」
む。なんかノリ悪いな。
もしかしてたべる習慣が無いのかな?
「今度一緒にどう?」
「人間として大切な何かを失う気がするので遠慮しておきます」
「そう?残念だな・・・」
何か魚を食べるのは禁忌にふれるっぽい。
気をつけよう。
「とりあえず行こっか」
「はい。サッサと行きましょう」
*
お坊さんだった。
つるっつるである。
「ほら、大神官様に挨拶してくださいよ」
「あ、どうも。シイヤフウトです」
「よく来ましたね。さあどうぞ」
そういってお坊さん(大神官)は俺らを奥の部屋に案内した。
その部屋は・・・和室だった。
まごうことなき和室である。
しかしその中央にある水晶玉が違和感を物凄い勢いで発している。
「さあ、そこの椅子に座ってください」
そういわれて中央の机の前に腰掛けた。
「水晶にてをかざして下さい」
「はい」
言われたとおりにする。
「目を瞑って下さい」
目を瞑った。すると、瞼の裏にこんなものが浮かび上がってきた。
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Lv.1
HP 986不可思議
ATK 2658無料大数×???潤
DEF. 1
SPD. 3768
MP. 0
RES. 0
ユニークスキル アンリミテッド
オートヒールLv10
ブレイクマジックLv10
アンチマテリアルアタック+Lv10
一般スキル 属性強化Lv10
攻撃強化Lv10
スキル倍加
称号 人間やめました
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「・・・バグってる」
ステータスが完全にバグっていた。
ってか称号・・・人間やめましたって・・・
「どうしたんですか?」
リオが心配そうに覗き込んでいる。
「ステータスが完全にバグってる」
「どうされました?」
お坊さんまで聞いてくる。
「いえ。なんでもありません」
俺はお坊さんには隠すことにした。
*
「・・・で。どういうことですか?」
「だから、ステータスが完全にバグってるんだって」
俺らはリオにステータスについて説明しようとしていた。
「どのようにですか?」
「ユニークスキルが四個もあるんだよ」
「ほう」
「でもってアタックが×????なんだよ」
「それで?」
「防御が1なんだ」
「ダウト」
「ホントだって!」
だが、リオは信じようとしなかった。
「っていうか・・・ホントだとしてですよ?
ユニークスキルが四個はありえないですよ」
「でもっ・・・!!」
「というかなんていうスキルだったんです?」
「たしか・・・アンリミテッド」
そういうと、ピタッとリオが凍りついた
「何のことかわからないけど・・・何か凄そうだった」
「アンリミテッドっていうのは・・・限界突破っていう意味ですよ」
「あ~・・・」
じゃあ、あり得るか。
「他には?」
「アンチマテリアルアタックとかブレイクマジックとかオートヒールとか」
「・・・対物攻撃と魔術破壊、それに自動回復ですか・・・」
「どういうこと?」
「魔術は効かず、攻撃された物体は破壊され、ダメージ与えても瞬時に回復するっていうことです・・・一般スキルは?」
「属性強化と攻撃強化とスキル倍加が最高レベルでついてる」
「ほぼ無敵じゃないですか」
ちょっとあり得ないレベルだ。
「ステータスは・・・よくわかんない」
「わからない・・・ですか?」
「HPとATKはなんかもう・・・読めない」
「読めない・・・って・・・」
「防御は1」
「捨て身ですか」
「MPとRESは0」
「完全に脳筋ですね」
「言うな・・・」
「称号は?」
「・・・人間・・・やめました・・・」
「乙」
「乙で済むかあああああ!」
その後もしばらくからかわれた。
評価していただけると嬉し泣きします