神殿
今回はいつもより短いです。
ハリセン。
仕込み刀ではなく仕込みハリセンって・・・
ズウウウン・・・と沈むボクにナターシャは曖昧な笑みを浮かべて、性能の説明の続きが行われた。
「え~・・・おほん。気を取り直して。次の能力は魔力集圧砲です」
えーっと・・・。マリョクシュウアツホウ?
何だろう、それは?
「魔力集圧砲は、所持者が棒の先にある小さな穴に魔力を込め、それを集めて圧縮し、目標物にむかって破壊力バツグンの光線を放つ特殊能力です」
・・・無駄にこの棒が高性能な気がするのはボクだけなのだろうか・・・?
一人で国を落とせそうな性能だ。
「というわけで、魔力を測定しまーす」
・・・ゑ?
そういったナターシャがボクに渡した物は・・・
透明な水晶だった。
「これは、魔水晶という特殊な水晶です。魔力を持った生物が五分間持ち続けると持ち主の総魔力量によって色がかわります。順番は黄色、緑、青、紫、赤、黒の順です。黒以上だと砕け散ります」
五分後。
気になる水晶の色は・・・
「・・・黒、ですか・・・」
真っ黒だった。
「ボクって、以外と魔力量が多かったんだねえ・・・」
これも、妖精女王になった影響かな?
「安心しました。これなら、魔術が存分に使えるでしょう」
げ。
「ふふふ・・・みっちりシゴいてあげますからね?」
そういうナターシャの顔はドス黒かった。
*
私が結界を出てはや一週間。
今、私の目の前に・・・。
地下迷宮があった。
・・・ちょっとレベル上げをして行こう。
そう思って私は中へと入って行った。
第一層は、スノーバットだらけだった。
モンスターデータ:スノーバットランクC
白い毛皮をもち、氷属性の小規模なブレスを吐いて来る。
一匹一匹はたいしたことは無いが、群れると脅威。
北の地方の洞窟などに住む。
私は次々と襲いかかって来るスノーバットをバッサバッサ切り落としていく。
途中で何度かブレスを食らったが、ほとんどダメージは無かった。
だが、だからと言ってレベルが上がって居ないわけでは無いようで、現にデスサイスを振る速度がどんどん早くなっている。
そんな感じでどんどん進んでいると、フロアボスの部屋にたどり着いた。
フロアボスというのは、各階層にいるいわゆる中ボスのこと。
そいつは、だいたい四メートルぐらいのスノーバットだった。
通常のスノーバットの大きさが人間の顔ぐらいの大きさであることを考えると、どれほど巨大化したかがわかる。
モンスターデータ:ボススノーバットランクB
スノーバットの巨大版。ブレスも結構つよいし、動きも早い。
最初は、ボススノーバットから仕掛けてきた。
巨体を生かした突進攻撃だ。
私はそれを全く避けずに、そのままデスサイスを振り抜いた。
私の体にボススノーバット渾身の一撃がもろに当たった・・・が。
そもそも今の私は死神なので、物理攻撃は基本的に通用しない。
そんなわけで、さくっとスノーバットは倒れました。
*
第二層にはホワイトゴーレムが湧いて出た。
モンスターデータ:ホワイトゴーレムランクB
白いゴーレム。氷の初期魔術が使える。
だが、脳みそがないからバカ。
魔術ねえ・・・。やっかいなことになったわね。
私はフウトには言わなかったんだけど、魔術はMPと知識さえあれば使うことが可能。
そのため、簡単な魔術なら子供でも扱えます。
次々湧いて出てくるゴーレム。
私はゴーレムを切りながら、どんどん進んで行った。
第二階層のフロアボスは・・・
アイスゴーレムだった。
モンスターデータ:アイスゴーレムランクA
とても凶暴なため、非情に恐れられている。
その長い腕から放たれる拳は必殺の威力を秘めている。
私は魔術にだけ気をくばり、アイスゴーレムと戦って行った。
結果、簡単に倒すことが出来た。
さすがは物理攻撃無効化。アイスゴーレム如きじゃ相手にならない。
第三階の大きな扉の奥。
ボスの部屋の前だった。
私は中にはいった。
そこには、スノーパンサーがいた。
モンスターデータ:スノーパンサーランクS
とてつもなく移動速度が早く、攻撃力もとても高い百獣の王。
吐き出すブレスもかなりの威力を持っている。
先手をとったのはやはりスノーパンサーだった。
瞬時に体が霞み、猫パンチを食らったわたしが吹っ飛ぶ。
ダメージ自体は無いが、疲れがたくさん溜まっているようだ。
私もスノーパンサーを殺すために飛び出した。
だが、スノーパンサーの体を反らせるような予備動作に不穏な空気を感じ、飛びず去った。
次の瞬間、ついさっきいたところがブリザードに巻き込まれた。
凄い威力だった。
いっきに気温が二度ぐらい下がった気がする。
私は、そんなスノーパンサーにむかって躍りかかった。
*
私はその後、二日間の激戦でやっとスノーパンサーを倒した。
とても強かった。
実際、あいつを倒した時、一変に力が増えた。
そうとうレベルが高かったようだった。